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    okomegohan_don

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    okomegohan_don

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    仮タイトルそのままです。
    読む専門で創作する側でなかったのですが、五七で壊れかけのアンドロイド七を拾う五の話を書きたいなと思い立ちました。
    いきなり書くのは難しいので、こうしたメモを作りながら徐々につなぎ合わせたり肉付けしたりして完成できればいいなと楽観してます……。

    壊れかけのアンドロイド七を拾う五の話メモ1 小さな雨粒が集まりフロントガラスに筋を作っては消えていく。前方を照らすライトは人気のない闇を割るが、カーブごとに緑に阻まれる。
     闇、アスファルト、木、草、ガードレール。漆黒、灰、緑・茶、緑、白。
     登り坂の狭い視界に少ない配色が乏しいパターンで延々と続き、五条悟は一つあくびを噛み殺した。道なりに進んでいくと左手側の空間が開けたが、道に沿って崖になっている。居眠り運転による転落など冗談ではない。ハンドルを握り短調で気の抜けない山道を進んでいく。
     
     灰、灰、灰、灰、金、灰。
     不意に闇を裂くハイビームが金を掘り当てた。


    「いやいや!おかしいでしょ!」
     慌ててブレーキを思い切り踏みこむと、目と鼻の先に男が仰向けで倒れていた。金色の髪が雨に濡れている。
    「お兄さん、だいじょぶ?」
     五条は窓を開け、男の後頭部に向かって声をかける。轢いたわけではないので、相手が死んでたって自分に責任は全くない。気楽なもんだ。
    「生きてる?救急車呼ぶ?」
     腕が不自然な方向に曲がっている。一拍、二拍、呼びかけられてから少しの間を挟んでやっと振り向いた男がハイビームに目を細める。
    「呼ぶならゴミ収集車ですね。私アンドロイドなので。これは不法投棄です。」
     事務的に答える者は物であった。
    「へー、よくできてんね。人間にしか見えなかった。こんなによくできてるのに。」
    「私、壊れてるんです。ここまでの記憶情報も呼び出せない。だから捨てられたのでしょう。」
     ふーんと鼻を鳴らしながら五条は車から降りる。雨はやや勢力が削がれているようだがまだ降っていた。『物』は自己申告通り壊れているのだろう。五条が指の背で触れると顔は熱く手は冷たかった。温度調節機能が狂ってる。ただ驚くほど肌は滑らかで、濡れたそれは吸いつくようであった。言葉を発することもなくされるがままのアンドロイドは顎を持ち上げても無防備な喉を晒したまま、折れている腕を触れど顔をしかめるのみ。
    「ゴミは拾わないとね。」
     五条はスマートフォンを取り出した。
    「もしもし?よくこんな時間に3コールで取れたね。あのさ、持って帰りたい物があってね。しばらく遊べそうなんだけど、壊れてるみたいだから回収して中身も見てくれない?僕の車じゃ無理。うん。お前の専門だよ。位置情報送るからすぐ来てねー。」
     発信機能しかないのではと思えるほど一方的な通話。この男はこうすると決めたらそうなるし、そうするだろという自信と傲慢をひとつも隠しもしない。
    「ゴミでも勝手に拾って利用するのは遺失物横領罪では。」
    「僕は環境に優しいね。ゴミは拾うし、直して再利用。表彰してほしいね。」
    「答えになってません。あなたが罪に問われる可能性の話ですよ。」
    「バレなきゃいいじゃん。ねぇ、記憶情報はクラッシュしてるみたいだけど、会話できる程度には頭は無事みたいね。僕の友達が来るまで時間はかかるし、暇つぶしできそうでよかった。」
    「……。」
    「なんで黙るんだよ。」
    「回答が必要なフレーズは含まれていなかったので。」
    「会話をしろってことだよ、会話を!電卓に話しかけてんじゃないんだよ。答えが必要なんじゃないの。はぁ〜、こういうとこはアンドロイド様なのかねぇ。それでも今時はもっと融通が利くもんよぉ?」
    「新品の購入をおすすめします。」
    「雨やんだね。」
     ささやかな風が木々の葉と天を仰ぐ五条の白髪を揺らす。
    「あなたこそ会話ができていませんが。」
    「アンドロイドもため息つくんだ。面白いね。あ。」
     ついに日が顔を出し、一気に朝の空気が循環し始める。自然の光は闇で見つけた金にも降り注ぎ、夜の帳が祓われる代わりにアンドロイドは瞼を閉じた。
    「お前、名前あるの?」
    「製造番号や型は忘れています。」
    「呼び名は?こんなに人間に近く作られてるなら名前だってあるだろ。」
     アンドロイドは目を閉じたまま唸り、頭を右に傾けた。
    「……多分、『ナナミ』です。七つの海と書いて七海。所有者の名前かもしれません。」
     『多分、七海』は何度も口の中でその名を小さく繰り返してみる。自分の名前として呟いてみて何もエラーは出てこない。ただ壊れているせいでエラーも出ない可能性は大いにあるためあてにはできない。
    「七海でいいんじゃない?何も思い出せなかったならポチ丸ってつけようと思ってた。下の名前は?」
     七海が目を開くと五条はふざけているのか本気なのか、妙に真面目くさった顔をしていた。
    「七海が下かもしれませんし、姓と名が揃ってるとは限りません。あなたの言うポチ丸のように。」

    ——私は人ではなく、アンドロイドなのですから。
     
     ハードは壊れかけの状態に反してあまりに落ち着いた声色だった。人にしか見えないせいで無意識に人ならばどういう状態であるか当てはめてしまったゆえの錯覚なのだろうか。

    「僕の名前は聞いてくれないの?お前は僕の物だからね。」
    「所有者登録の機能は壊れてるようですね。」
    「五条悟だよ。五条悟。五条の五に五条の条と書いて五条。そして五条悟の悟ね。五条悟。七海は五条悟の物だよ。」
    「……所有者登録の機能は壊れてるようですよ。壊れてなかったら私の本当の所有者がわかるのですが。」
     眉をハの字にする七海はやはり人間のようであった。
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