人間曦×人魚澄⑦ 馴染みの店へと向かうと店主に迎え入れられ、店内の品を見始めた。ところが何にするか決めたのはそれから一時辰経っていた頃だった。手に小包を持ちほくほく顔の店主に見送られ店を出た藍曦臣はそのまま碧霊湖に戻った。
「江澄!戻りました!」
ぷかぷかと顔だけ出して浮かんでいた江澄を覗き込めば杏型の瞳が一瞬大きく開かれる。それから不満を示すようにキュッ!!と一声鳴く。
「遅かったな。待ちくたびれたぞ」
「すみません。どれも貴方に似合いそうだったものですから、つい…」
ハァ、とため息をついた彼はで?と切り出す。
「何を買ってきたんだ?」
「簪です。これなら水中でも動きの妨げにならないかと」
「簪…。藍曦臣が頭に刺してるやつか?」
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