人間曦×人魚澄①蓮の名所と言われる雲夢でも、特に美しいという評判の蓮花湖へやってきた。だが、近くの街の者から聞いたところ、季節外れの野分によって蓮の花は殆ど散ってしまったらしい。それでも折角来たので蓮花湖に行ってみる事にした。
後に藍曦臣はこの選択をした己に心の底から感謝した。
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住民の言った通り蓮の花は殆ど散ってしまっていたが残っているものもチラホラと見受けられた。僅かしかないこの状況でも蓮花湖はとても美しく、もし全ての蓮が満開ならばどんなに美しいだろうかと想像してみる。
そんな風にのんびりと湖畔を巡っていると、誰かが岸辺に倒れている事に気がつく。
「大丈夫ですか!?!?」
声をかけながら近づいていくとその人物は服を着ていない事に気付き、気恥ずかしさを感じながらも側にしゃがみ込み状態を確認する。水から上がっている上半身が傷だらけだった。下半身は、と視線を水中に向けるとそこにあったのは宝石のような鱗に覆われた魚の尾だった。
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