私はぴっちという者だ。特殊なマイクを使ってラップバトルをするジャンルで二次創作をしている。その中で私はオオサカディビジョンのリーダーである白膠木簓と、ナゴヤディビジョンのリーダーである波羅夷空却の二人のカップリング小説を書いているわけだが――信じられないことに……今私が乗車している新幹線の車内に、しかも同じ車両の、目と鼻の先にこの二人がいるのである。平日の午前十一時、グリーン車は空いていて静かだ。なものだから、周囲をまったく気にせず喋る陽気な関西弁とヤンキー口調は嫌でも耳に入ってくる。通路を挟んで反対側の紳士は少し迷惑そうに顔を顰めているが、私は喉元までせり上がってきた叫び声を押しとどめ平静を装うのにいっぱいいっぱいだった。
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