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    2025/7/13ささくうオンリーで頒布しました無配ペーパーの再録です。
    真剣には読まないでください

    #ささくう
    operationalSpace

     私はぴっちという者だ。特殊なマイクを使ってラップバトルをするジャンルで二次創作をしている。その中で私はオオサカディビジョンのリーダーである白膠木簓と、ナゴヤディビジョンのリーダーである波羅夷空却の二人のカップリング小説を書いているわけだが――信じられないことに……今私が乗車している新幹線の車内に、しかも同じ車両の、目と鼻の先にこの二人がいるのである。平日の午前十一時、グリーン車は空いていて静かだ。なものだから、周囲をまったく気にせず喋る陽気な関西弁とヤンキー口調は嫌でも耳に入ってくる。通路を挟んで反対側の紳士は少し迷惑そうに顔を顰めているが、私は喉元までせり上がってきた叫び声を押しとどめ平静を装うのにいっぱいいっぱいだった。

     どうやら二人はこれからオオサカに向かうらしい。お仕事だろうか。オオサカの名所とそれにまつわるエピソードを流暢に、そしてとても楽しそうに話す簓さんの声はテレビで見聞きするものと少々違う印象を抱く。これは私がこの二人をピンクの色眼鏡で見ているからとかそういうことではなく、そうだ――ヌルサラのディビジョンレップバトルのあの雰囲気だ。レップバトルでの二人はラップで地元自慢をしたわけだが、今回は簓さんが空却くんの興味を引こうと頑張ってプレゼンしているように聞こえる。私は簓さんのその嬉しそうな声色に興奮して鼻息を荒くしているのを悟られぬよう努めて口呼吸をした。
     それにしてもやはり簓さんは話芸を生業にしているだけあって話がうまい。私も、そして機嫌を損ねていたふうだった通路反対側の紳士も、つい耳を傾けてフムフムと聞き入ってしまった。
    「楽しみになってきたぜ。んじゃあ拙僧はひと眠りすっから、着いたら起こせよォ」
     えっ。空却くんのこの一言に、私は「そんな」と思って目を剥いた。オオサカまでの道中、もっと二人で他愛もないおしゃべりを和気藹々とするのだとばかり思っていたので、空却くんが寝てしまうと困る。私が。ひいては簓さんが。かわいそうじゃん。あんなに楽しそうだったのに。
     結局寝るんかい! と簓さんが叫ぶ様子から察するに、おやすみ三秒だったのだろう。空却くんの入眠の速さは周知の事実である。
    「……ま、こっちはオオサカに着くまでに旅行プラン練っとこか」
     ところが、聞こえてきた独り言は思いのほか優しい響きをしていた。優しいというか、愛情に満ちたというか、まるで幼子を背負う母親のような……。振り回され慣れている感を感じ取り胸が熱くなる。アッこれはメモしなければと私がスマホのメモアプリを起動したところで、簓さんはなおも続けた。

    「きっと楽しい旅になるはずや。……な?」

     私はドッと胸を押さえた。心臓がひと回り縮んだ。アヒルのおもちゃみたいにプピーと鳴った。私は静かに悶えて、自席でひとり死にそうになった。
     姿は見えないが、簓さんは空却くんの髪を愛おしそうに指先で漉いているに違いなかった。逆に見えたと言っていい。
    「な?」が私の頭の中で反響し、遠くの空にこだまし北の大地の氷河を溶かしてオーロラが発生し、著名な作曲家のインスピレーションを刺激し名曲が生まれた。
     私は確信した。これはデートであると。
    オオサカで簓さんの手を引いてあれ見るぞあれ奢れとはしゃぎ倒す空却くん、やれやれといった顔をしているくせに細部まで徹底した旅行プランを組み上げている張り切り簓さん――。
     熱い涙が頬を伝う。私は車窓の外を眺めるふりをしながら、そっと涙を拭った。
     どうか二人のデートが素敵なものになりますように。
    そして誰かが現地の二人の写真を撮って鍵垢で共有してくれますように。


               完
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    2874itmaxx

    MAIKING読んでるこっちがこっ恥ずかしいエロを書こうと思って、サクッと5千字くらいで書こうと思ったけど全然終わんないしもういい加減に原稿やんないといけないのでいったん書き半端だけど上げる マジで中途半端なとこで終わってる
    三回目の正直 一回目のセックスは、緊張しすぎてよく覚えていない。
     二回目のセックスは、気負いすぎて空回りした。
     では、三回目は――?


     簓と空却が付き合い始めたのは二ヶ月前だ。互いに好き合っていると理解したのは随分前なので、我ながらモジモジしている期間が長すぎてキモいなと思う。結局なんだかんだとくっつくことになったわけだが、簓はともかく空却は恋愛だのお付き合いだのという経験に乏しく……いや皆無で、恋人同士が踏むだろう手順というやつがよくわからなかった。なので、付き合って一ヶ月の記念日に簓にホテルに連れて行かれたときはカチンコチンに緊張してしまい、よくわからないまま行為は終わった。完遂と言えるのかどうかもよく覚えていない。ケガはしなかったが痛かったこと、ひたすら恥ずかしかったこと、簓がやたら優しかったことは覚えている。断片的にでも思い出すだけで顔から火が出そうになって、変な呻き声を上げて頭を掻き毟りたくなる衝動に駆られるのは、ただただ恥ずかしいからだ。自分の体がコントロールできなくなるのも、誰かの眼前にすべてを曝け出すのも、何もかも初めてだったのだから。
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    DONE簓空 オメガバース 巣作り「今すぐ脱げ、パンツも含めて全部脱いでここに置いとけ。外堀が少し足りねぇんだよ」

    開口一番、長らくの収録続きで久々に我が家へと帰ってきた簓を玄関で待っていた空却からのお迎えの言葉である。壮健な空却の発情周期はまさにキッチリと二ヶ月に一度、中旬あたりに必ず来る。それも番となり抑制剤や過剰発情によるフェロモン分泌の不安定さが無くなって久しい伴侶の発情期が来ていることも予測していた簓は持っていた鞄を玄関に置き顔をあげ、自分の服を追い剥ごうとする姿を見上げた。
    その白絹のような緻密なキメをもつ肌を紅く、まるで開花したてのピンクダリアのような色へと薄らと染め上げた空却が儚げな容貌とは真反対の高圧的かつ目的のものが不足していたという枯渇からの苛つきを隠そうともせずに黄金の瞳を気怠さと欲と焦りで揺らがせながら強引な追い剥ぎを告げてきているのは何度見ても一般的には可愛げがないのであろうが、簓の目には可愛く愛おしく思うのは番いになる前から変わらず、眉を下げ自分自身でなく衣服を要求する番に軽口を一つ戯れに返し靴の紐を解く。




    「本物がおんのに皮(ガワ)だけ欲しがりよって…久々に会うたんやで簓さんの 2314