かぞくのとびら(The way to say I'm home.)13.
悠仁が言った通り、幼稚園最後の学年の冬は一瞬で過ぎ去った。何を言ってるかわからねーと思うが僕もわからん。
その悠仁とは相変わらずなかなか会えないけれど、それでも一緒に食事をしたり出かけたり。僕の誕生日や、恵の誕生日、毎年どこかセンチメンタルになっていたクリスマスですら、4人で騒がしく過ごした。(もちろんサンタ業もこなしたよ!)
時々は二人きりになって、その先も。
◇
都内はまだ肌寒く、桜も満開とは言えない。それでも、1日ごとに春になっていのが肌でわかる。
3月20日。
悠仁の誕生日と、そして、恵と野薔薇の、卒園式。
「いたどり先生」が現れた幼稚園は大騒ぎだった。〝先生〟のエプロンじゃなく、スーツを纏った姿に、園児やその父母、職員の人たちまでもが驚き、またたく間に悠仁は囲まれた。
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