予想外な寮生活転校初日から、まさかのトラブルだった。
「……え、マジで?部屋使えないの?」
寮の事務所前で、肩を落としたスティーブに、寮母は苦笑いで頷いた。
「初日からほんとごめんなさいね…。今日の午後から天井の水漏れがひどくなってね。工事が終わるまで、しばらく別の部屋に移ってもらうしかないのよー。」
「で、どこに?」
「んー、えーと……そう!バーンズくんの部屋に空きがあるのよ。彼に聞いたら“別にいい”って返事だったわよ」
*
「まじで来んのかよ、お前が」
数分後、バッキーは部屋の前で腕を組んでいた。
口調はぶっきらぼうだけど、スティーブが荷物を持って立っているのを見ると、どこか口元が緩んでいた。
「急でごめん。でも、しばらくの間だけだから」
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