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    a_9matu

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    a_9matu

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    転生現パロで🏏だけが前世の出来事を覚えていてトラウマになってる。
    相変わらず闇のバツ配なのでなんでも許せる人向けです。

    もう一度やり直したい俺は逃げていた。誰にだって?ビクターからだ。俺はいわゆる前世の記憶を持って生まれたらしい。あの地獄のようなゲームをさせられたこと悪夢に見ては魘されるような日々を送っていた。そんな時にたまたまビクターの姿を見かけたんだ。夢の同じ容姿だったから間違いない。声をかけてみようかと思った。でも、あんな悪夢思い出すのは自分だけでいい。けれどなんとなく気になってそれからこっそり様子を見ることにした。昔と同じように手紙を手に駆け回っていてその変わらない姿に思わず笑みが溢れた。するとビクターと一瞬だけ目があったのだ。気づいたときには逃げ出していた。出会えば思い出させるかもしれないと考えたから。けれどビクターは俺を追いかけてきて今に至る。クリケット選手として日頃から鍛えているので一般人よりは体力はある方だし振り切れるだろうと思っていた。しかし、ビクターは俺から千切れるどころかドンドン迫ってきている気がする。やばい追いつかれるかもと後ろを気にしていながら走っていたせいで前からやってくる刺客に気が付かなかった。
    「ワン!!!」
    目の前に子犬が現れて俺は足を止めざる追えなかった。その隙にビクターが俺に飛び込んできて捕まってしまう。
    「つ、つか…ま、えたっ!!」
    逃さないように俺をがっちりとホールドするビクターに恥ずかしくなって、逃げないから離せと訴える。本当かどうか疑惑の目を向けるビクターに抵抗するのをやめて大人しくしてみせると渋々離してくれた。
    「君は誰?」
    ビクターが問いかけてきた。なんと答えたらいいのか咄嗟にわからなくて言葉に詰まってしまう。前世でビクターと過ごしたこと言ったとして信じてもらえるはずがない。だって…そうだ。お前はあのとき……そしてその後…俺は…あいつに……。何度も見た悪夢の映像が頭に流れ込んでくる。もうあんな出来事起きるはずがないのに思い出して苦しくなって息ができない。フラフラとその場に倒れ込むそうになったのをビクターが支えてくれた。
    「だいじょうぶ……だいじょうぶ……」
    背中に手を回して抱き締めるように優しく撫でるビクターに安心感を覚える。なんだろう昔もこんなことがあった気がする。今より短気で自分の感情が抑えられなくてダメだと分かっていても抑えられない。そんな俺に怯えながらも手を差し伸べてくれたのはビクターだった。あのときのビクターは声を出すことはできなかったけれど、優しく撫でる手は全く変わっていなくて。俺は自然とポタポタと涙を流していた。
    「ごめん…ごめんな……」
    何を言われているか今のビクターにはピンときていないかもしれない。それでも俺は謝りたかった。謝って許されることじゃないけれどそれでも俺はきっとビクターに許されたかったんだ。いくら謝っても返事が返ってこなかったあの日から。
    「……うん。許すよ。大丈夫だから落ち着いて。ねっ」
    笑顔を向けて許すと告げたビクターに俺の心がスッと楽になっていくのを感じる。よかった。やっと俺は許されたんだ。そのままホッとしたのか意識が遠のいていくのを感じる。
    「今はゆっくりして。それで落ち着いたらでいいから貴方の秘密を僕に話してくれると約束して?」
    最後の意識を振り絞り分かったと返事をすればビクターがおやすみと呟いた。その言葉は前にも聞いた気がする。あのときは恐ろしく聞こえて仕方なかったのに、ビクターが言うと不思議と安らかに眠れそうで俺は安心してその意識を手放した。
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