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    owl47etc

    @owl47etc

    🦉。呪の文字置き場。

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    owl47etc

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    呪専夏七。お蕎麦アレルギー七と蕎麦が好物な夏の夏七。アレルギー発覚編。ナナミンがお蕎麦アレルギーなのは捏造。前半は割とまとも、後半からおかしくなる。

    私の任務が思いの外長引いたせいで、予定よりも2時間遅れて始まった、夕方までの、短い5度目のデート。気になっていた映画を鑑賞し、七海の希望で本屋にも寄れた。選んだアクションものの映画は当たりで、七海も欲しかった本が手に入り上機嫌だ。遅刻こそしたものの、デートは成功と言っていいだろう。
    今は閑疎な公園で2人きり。周囲に私たち以外の気配はなく、ベンチに身を寄せ合って座っている。日は西に傾きオレンジ色はなりを潜め始め、夕闇が刻一刻と迫っている。明日は授業があるからもう帰らねばならない。名残惜しくて、本を抱える七海の手を取り、指を絡ませる。今度はいつ、こうして2人で出かけられるか分からないから。

    「もう少しだけ、このままで」

    絡めた指に力を込める。特級術師である私に、いつも七海が合わせてくれているのを知っている。今日だって1級以上の案件と見なされ、急遽入った任務だった。それでも七海は嫌な顔1つせず、私を送り出し、お疲れ様ですと労りの声をかけてくれた。お詫びのつもりではないけれど、門限ギリギリまで、僅かでも七海といる時間を作りたい。

    「いいですよ。…まだ、バスの時刻まであります、から」

    一方的に握った手を、握り返される。七海も同じように私との時間を惜しんでくれている、と自惚れてもいいだろうか。互いに正面を向いたまま、手を繋いでベンチに座り続ける。

    恋人は私が初めてだという七海のために、それはもう、ここに至るまで慎重に事を運んできた。恋人以前にあまり人との接触を好まない七海が嫌がることがないよう、最初は隣に座るだけ。それからそれとなく指に触れるところから始めて、次に手を重ね、肩を寄せ、手を繋ぐまでに至った。七海の反応を見ながら、少しでも嫌がる素振りを見せれば手を止める。そうしてここまで漕ぎ着けた。
    好きな子が近くにいて、お互い好き合っていても七海の気持ちを優先させた。
    行動は、経験も場数もそれなりに踏んだ年上の私の方から。たとえ隣に座ったときに七海の真っ白な項や鎖骨が見えて色っぽいと思ったとしても、手を重ねた際にぴくっと身体を跳ねさせて耳まで赤く染めたとしても、勢いに任せず辛抱強く七海が慣れるのを待った。
    私は聖人君子ではない。健全な男子高校生で人並みに性欲だってある。ふとした拍子に見られる姿を見ても理性で抑えて、今までよく耐えた、と私自身を褒めてやりたい。

    まだ5度目。いや、もう5度目だ。部屋でのデートも含めれば、数え切れないほどしている。夕陽は半分ほど地平線へと沈み、視界はオレンジ1色に染まっていた。足元の影が大きく伸びている。空には幾つかの星と月が浮かび上がっていた。
    場の雰囲気は悪くない。外ではあるが人気も無く、七海からも手を握り返してくれている。これは次の段階に進むチャンスではなかろうか。
    寮では人の出入りが激しく、私の部屋には悟が、七海の部屋には灰原とこれまた悟が頻繁に出入りをするせいで迂闊に手を出せないでいた。何より七海が、他に知られるのを嫌がったので人目をはばかるようにしている。
    まぁ、硝子に「最近女と遊ばずに七海と一緒にいるな」と聞かれて、付き合っていると教えたから、もれなく全員にバレているのだけれども。バレているからこそ、悟はわざと私や七海の部屋に訪れているのだけれども。あとで悟は馬に蹴られてくれ。馬のような呪霊が確か手元にいたな。そのうち隙を見て蹴らせよう、うん。
    当の本人だけが周囲に知られていないと思い込んで、ひっそりと気を配りメールで連絡を取ってくるのが可愛らしいので、当面の間は黙っておくことにしている。受信フォルダに七海からの控えめなお誘いメールがたまるのが、最近の楽しみになりつつある。
    おっと、話が逸れた。
    この期を逃せば、次に誰にも邪魔をされず2人きりなる機会がいつ訪れるか分からない。デートの締め。星が煌めき始めた茜色の中。人気のない公園。別れを惜しむかのように握り返された手。これはいけると確信を持つ。

    「…七海」

    なるべく気取られないように、普段通りに名前を呼ぶ。こちらを向いた七海の表情は、少しばかり影ができている。もう帰ろうかと声でもかけられるとでも思ったのか、握った手に力が込もる。
    今しかない。こちらを向いた拍子に、耳からはらりと落ちた前髪を、塞がっていない手でかけ直してやる。そのままやわやわと耳に触れ、頬から顎に沿って手を滑らせる。嫌悪の色は浮かんでいない。西日のせいか、はたまた期待をしているのか、七海の瞳がキラキラと輝いて見える。
    繋いだ手はそのまま、顎に添えた手で七海の顔を上向きにさせる。何をされるのか分かったのだろう。一瞬息を詰めたあと、七海はぎゅっと目をつぶった。繋いだ手が震えている。そんなに力を入れなくてもいいのに。髪と同様に金色のまつ毛まで震えてしまっている。
    ファーストキスに緊張する七海をこのまま観察するのもいいが、七海は初めてだから。ギリギリまで堪能してから目を閉じ、薄く、それでいて柔らかな唇にそっと触れた。このままバードキスでお終いにするつもりだった。なのに、七海が本を持っていたはずのもう片方の手で私の服を掴んできた。見えないが、ぐい、と服の裾の辺りが引っ張られる。
    可愛いことをしてくれる。お強請りされては仕方ない。口付けはそのまま、顔の角度を変え、少しだけ舌を差し出し、七海の閉ざされた唇をなぞるように舐め上げる。驚いて僅かに空いた隙間に舌を捩じ込み、軽く口内をまさぐった。

    「…んっ、」

    初めてのキスだ。息継ぎの仕方がも分からないのだろう。苦しそうに漏れる吐息に即座に舌を抜いて、顔を離す。やりすぎて嫌われたかな。七海は目元を真っ赤に染めて、息も絶え絶えだったが繋いだ手も、裾を掴む手もそのまま、心ここに在らず、といった様子で私を見ている。どうやら杞憂に終わったらしい。何が起きたのか理解できたようで、焦点の合わなかった瞳がぱちぱちと瞬きを数回したのち、きょろきょろと動き回り、頬まで真っ赤にし出す。

    「七海、…帰ろうか」
    「は、は…い…っ」

    先に立ち上がり、繋がった手ままの手を引く。そのまま立ち上がってバス停まで歩こうとしたところで、七海の足が止まった。引き摺られる形で私の足も止まり、後ろに尻もちをつきそうになる。

    「七海……七海!?」

    どうかしたかと振り返れば、七海が泣いていた。目は赤く充血し、涙腺が壊れたかのようにとめどなく涙が溢れ出て、頬を伝って地面に落ちていく。心なしか呼吸も荒く、ひゅ、ひ、と、か細い音がする。
    ー泣くほど私とのキスが嫌だったのか…?
    キスをする前まではいい雰囲気だった。間違いなくいい雰囲気だった。なのに立ち上がって帰ろうとしたら、これだ。帰りたくなくて悲しんでいるようにはとてもじゃないが見えない。私から告白したし、相手が同性な事もあって多少強引に私を意識させた自覚はある。今日が初めての、性的な意図を持った接触だった。

    「ごめんね七海…」

    手を離し、苦しそうに泣いて、時折引き攣る七海の背をさすってやる。裾を引っ張ったのは強請ったのでは無く、止めたかったからだったのかもしれない。調子にのって舌を入れたのは早すぎたか。男同士では無理だったのか。後悔や嫌な考えばかり浮かぶ。七海は一向に泣き止まない。嫌な相手に触られてるのだ、当然か。

    「本当にごめん、七海…、その」
    「っ、ちが…っ、ひゅ、…はぁ、」

    謝罪を告げながら落ち着かせようとするが、七海は泣き止むどころか、脱水症状になるのではないかと言うくらい涙を零し続け、明らかに息を吸う速度が早くなっている。服の襟元はぐしょぐしょで、顔も赤い…というか、これ鳥肌、いや、じんましんだろうか。ぽつぽつと赤く、頬付近がいくらかむくんでいる。
    撫でていた背がふらふらと揺れる。慌てて腕を腰に回せば、倒れる寸前で抱きとめることができた。声をかけても反応がなく、意識が朦朧としているようだ。
    私とのキスが嫌で泣いてるんじゃない。何が起きているかは分からないが七海がとにかくヤバい!
    バスなんか待っていられない。すぐさま移動用の大鷲の形をした呪霊を呼び出し、七海を抱えて上に乗る。振り落とさない、それでいて最高速度、最短距離で高専まで飛ばした。高専の門を潜った時に結界に引っかかったのか、変な呪力が走ったが気にしていられない。七海の一大事なのだ。
    この大鷲は普段使いをしないから、呪力の登録した覚えがなく、恐らく高専に異物扱いされている。警戒態勢を取って、知った呪力に知らない呪力まで近付いてきている。ああもう、私の邪魔をしないでくれ。
    集まる呪術師を無視して校舎の入口を目指す。この時間ならまだ医務室は空いている。入口が見えたところで大鷲の速度と高度を落とし、七海を抱えたまま地面に飛び降り、そのまま校内を駆け抜ける。胸の中で苦しげに息を吐く七海。頼むから間に合ってくれ。出しっぱなしの大鷲が遠くで祓われたのを感じながら、足を動かし続けた。









    「…アレルギー、ですか」
    「そう。典型的なアレルギー反応。でもおかしいな」

    医務室に飛び込んできた私を驚愕しながらも出迎え、七海を診てくれた高専勤務の医師が首を傾げてみせる。

    「七海くんなら絶対気を付けてるはずなのに」

    口にしたものに入ってたのかしら。治療が済み、意識を取り戻してすっかり落ち着いた七海に医師が尋ねるも、七海は曖昧に微笑んでいる。2人でお礼を伝え、医務室をあとにする。寮に戻る途中、休憩スペースに七海と一緒に立ち寄った。自販機に500円玉を入れながら、隣で俯いている七海に声をかける。

    「七海が無事で良かったよ」
    「ご迷惑を、おかけしました…」

    好きなのを押していいよ、と手のひらを自販機に向ける。迷った末に七海はミネラルウォーターのボタンを押した。七海が取り出し口からペットボトルを掴んだのを見届けてから、無糖コーヒーのボタンを押し、屈んで缶とお釣りを取り出す。備え付けのベンチに隣合って腰を下ろす。公園のときとは打って変わって空気が重い。

    「あのさ」

    プルタブに指をかけながら、ずっと気になっていたことを口にする。

    「七海がアレルギー持ってるの知らなかった。どう考えても私が原因だよね」

    ペットボトルを口に運ぼうとした手が止まる。七海の様子がおかしくなったのは私とのデートの最中。それもキスをした直後だ。ともすれば誰がどう見たって私に原因があるとしか思えなかった。
    映画で飲んだコーラは七海も飲んでいた。ポップコーンは頼んでない。その後は特に食べ歩きや飲食店に寄ってもいない。となると、七海のアレルギーが何なのか分からない。今後も同じようになっては七海に悪い。それにアレルギー反応は強ければ死に至ることもあると聞いたことがある。私のせいで七海が弱っていく姿なんて、もう二度と見たくない。
    思っていたことを全て話し、七海の方を伺う。ペットボトルを持ったまま、七海は固まっていた。あまり聞かないような、特殊なアレルギーなのだろうか。意を決したのか、七海が恐る恐る口を開くのを固唾を飲んで待つ。

    「その…、そば、がダメなんです」

    そば。ソバ。側。蕎麦。…え、蕎麦?

    「な、なみ…?そばって、食べ物の、あのそば…?」
    「はい。…私、そばアレルギーなんです」

    何を言うかと思ったら、そば。七海はそばアレルギーだったのか。
    ああそうか。そう言えば今日、任務が予定より押して、昼をとっくに過ぎていたから高専に向かう途中で補助監督と一緒にそば食べたっけ。補助監督オススメの店だとかで、中々美味しかったから、今度七海と一緒に行こう、なんて思ってたんだった。
    いや、なに納得してるんだ私。

    「ちょっ、七海!」

    突然大声を出した私に、七海の肩が跳ね、その拍子にペットボトルから水が零れる。

    「今まで何度か、一緒にそば屋行った、よね…?」
    「はい。…でも、その症状は軽度なんで、食べなければ少し痒みが出るくらいで…」
    「だからうどんや丼物しか頼まなかったのか…ああ違う。そうじゃないんだ」
    「夏油、さん…」
    「痒みがあったって、…アレルギーの症状出てたのに、どうして言わなかったんだい?」

    努めて優しく問い質す。七海がそんなことになっていたなんて今の今まで、言われるまで全く気付かなかった。お腹が空いているなどと理由を付けて大盛りのカツ丼やうどんを食べている姿を見ては、うどんも美味しいけどそばも美味しいから今度は食べてくれるといいな、なんて考えていた。一緒に出かける頻度自体が多くはなかったから、今日は気分じゃないのかと、毎回流していた。
    昔、小学生の頃にたまごアレルギーの子が学年にいたからアレルギーの危険性はよく知っている。同じ調理場で作られた給食を食べて、突然倒れて救急車で運ばれていた。危うくそうなるとこだったのか。
    余程言いがたい事なのか、七海は口を開けては閉じ、を繰り返す。決して怒りたいわけじゃない。これから付き合っていく上で、七海のことは知っておきたい。命に関わることなら尚更である。
    七海が話しやすいように、温くなってしまったコーヒー缶に口を付ける。1口、また1口。半分程飲んだところで、七海が手元のペットボトルに視線を落としながら、小さく口を開いた。

    「夏油さんが、そば、好きだから…美味しそうに食べている夏油さんに、教えるの…その、悪いと思って…」
    「……七海」
    「少しくらいなら平気ですから、…痒くなるよりも、夏油さんと一緒にいたくて」

    紡がれる言葉に思わず天を仰ぐ。私の恋人が健気だ。
    そばは私の好物だ。アレルギーにも関わらず症状を我慢して私に付き合ってくれていたとは。そんなことに気付きもせずに、七海に美味しいそば屋を教えていた私は馬鹿か。
    キスが嫌なわけじゃなかった。それは喜ばしいが、私がそばを食べ続ける限り七海とはこれ以上発展しない。ならば取る行動は1つ。

    「私、今日からそば断ちするよ」

    そばさえ食べなければ七海といつでも触れ合えるんだ。万事解決。残りのコーヒーを飲み干して缶を捨てようと立ち上がったところで服を引っ張られる。

    「ダメです」

    七海が泣きそうな顔で、袖の端を掴んでいた。

    「夏油さんが好きなもの、我慢しないでください」
    「それじゃあ七海ともうキスできない。…七海は私としたくない?」
    「…したい、です。けど…私が、夏油さんと付き合う代わりにパンを食べられなくなると思うと、とても、つらいです」

    七海はパン大好きだものね。自分に置き換えて相手の気持ちを考えられるのは七海の長所だ。呪術師にしては優しすぎる。美点でもあるけれど、心配でもある点だ。呪術界は有象無象が渦巻いている場所。私はそうでもなかったけれど、七海は生真面目だから、灰原みたいに上手く息抜きをする術を覚えてほしいものだ。
    ああ、また脱線してしまった。七海の心遣いはありがたい。でもそのせいで七海とキスが、その先ができないのは非常に困る。私は普通の男子高校生なんだ。恋人といるのだから、キスは当然、その先だってできることなら早く進みたい。
    かと言って折角の七海の好意を無碍にもしづらい。何故私はそばが好きなんだ。1番初めに食べたそばの鼻に通る風味とさっぱりした喉越しの良さに惹かれてしまったのだ。初めてに美味しいそばを用意した両親が憎い。
    つまるところ、七海にはそばを食べていない時なら触れられるんだ。
    その場で屈んで視線を合わせ、七海の手に私の手を重ねる。

    「…分かった」
    「夏油さん?」
    「七海と時間が合いそうなとき、あとはデートの数日前からかな。その時はそばを食べない。…それでどうかな」

    七海と会う時だけ、そばを食べない。泊まりの任務、授業の都合で恋人として会えない時や時間が取れないときは食べる。それであれば、これからも七海と付き合っていけて、そばも我慢せずに済む。何より七海が危険な目に合わない。我ながら素晴らしい案ではなかろうか。肝心の七海はというと、しばし考えたのち、それならば…と、納得してくれた。知らず知らずのうちに詰めていた息を吐く。

    「本当、驚いたんだよ」
    「それはその、ご迷惑を…」
    「ううん。アレルギーもだけど、キスした途端に泣き出したから。嫌だったんじゃないかって」

    はっきりと脳裏に焼き付いている光景。直に嫌だと言われるよりも、胸に突き刺さるものがあった。あのまま別れ話にまで発展するかと、どぎまぎしたものだ。その後、別の意味で心臓に悪い思いをしたのだけれども。
    思い出したのか、七海はたちまち林檎のように赤くなる。肌が白いから、直ぐに変化が分かる。

    「嫌じゃなかったですよ。…もっと、したい、です」

    顔を逸らし、手で覆いたいのか、腕を振りほどこうとする。もっと見たいからそう簡単には離すつもりはない。うわ、私の恋人、可愛過ぎる。これ、もう1回してもいいよね。
    いや待て。ここに戻ってきてからコーヒーを飲んだだけで、まだ口の中にそばの成分が残ってるかもしれない。ここでキスしたらまた七海が倒れる。危ない。なんで昼にそばを食べたんだ、私。誘った補助監督が目の前に現れたら理不尽に殴る自信がある。

    「っ七海!」
    「は、はいっ」
    「夕飯、食べよう」
    「へ…」
    「それで歯を磨いて、お風呂にも入って、うがいとマウスウオッシュもしてくる」
    「あの…」
    「終わったら七海の部屋に行くから。…もう1回、やり直させて」

    ね。首を傾け尋ねれば、七海はおずおずと首を縦に振った。一刻も早く夕飯を食べてすること済ませて七海の部屋に向かおう。結果的に最悪になってしまったキスじゃなくて、もっとしっかりした、納得のいくキスで今日を終わらせたい。七海の初めてを嫌な思い出にさせたくない。
    これから何をするのか分かった七海は、終始無言で私の後をついてくる。2度目なのに緊張しているんだろう、ウブだな。




    「夏油、探したぞ」

    食堂の前に仁王立ちしていた夜蛾先生のおかげで、2度目のキスは日付を跨いでしまった。眠る前だったからセーフ、ということにしておく。
    翌日、反省文と報告書、罰として1週間のトイレ掃除、それに同輩のからかいが待っていた。
    反省文には正直に、己の行動に後悔していないと書いて提出して、教育的指導を受けたが、七海のためだから痛くも痒くもない。その態度に、夜蛾先生に更に罰を増やされたのはだけは納得がいかなかった。
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