【薔薇咲展示】Promise You -Ⅰ- -Ⅱ-Ⅰ
「……いえ、マスター。治療は結構。」
淡々と語られる初めての任務についての報告の中で、この言葉もまたひどく淡白に発せられた。捲られたシャツから肘まで見えている腕には包帯が巻かれている。今日の曇り空のせいかもしれないけれど、白い肌は任務の前と比べてくすんで見えた。
「へ……?」
簡潔で解りやすかったはずの報告に、私の口からは息が抜けるような情けない声がこぼれ落ちる。
「ですから、傷の治療は結構です。」
治療は結構、ラップさんはそう言った。その左腕の真新しい傷は、彼が人間だったなら完治を待つしかない。でもラップさんは貴銃士で、私はその傷を治す力を持っている。その力を必要とされてここに居る。なのに……。
5861