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    陽炎@ポイピク

    ジョジョ5部プロペシメインです。パソコンもペンタブもないので携帯撮り&アナログ絵しかうpしません。
    🍞🚄🍊🍋の沼にも浸り中
    時々®️®️®️🔥🌊

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    POIPOI 489

    陽炎@ポイピク

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    龍捲風と陳洛軍。
    カップリング要素なし

    豆腐花この青年は本当に飯を奢り甲斐がある、と目の前の男の食べっぷりを眺める。龍捲風はいつものように叉焼飯を食べ終えた後、豆腐花と自分を交互に見遣る陳洛軍に餌を目の前に待てと言われてる犬のようだと内心呟いて苦笑を浮かべた。
    「食べないのか?甘くて美味いぞ」
    甘味のついた滑らかな豆腐を掬い取る。
    シロップに浸された豆腐を洛軍は相変わらず不思議そうに見遣っていた。
    「甘いものなのか、これは?」
    「……苦手だったか?」
    龍捲風は豆腐花を口に運んだ。豆腐花は龍捲風の好物で、阿七は叉焼飯の後の食後のデザートとしていつも出してくれる。
    「苦手とかじゃない。――毒でなければ、何でも食べていたから」
    そういえば、密航者だったか。食べ物の取り合いもあっただろうし、飢えと空腹を凌いだ日々もあっただろう。
    洛軍は恐る恐るまず匂いを嗅いでから豆腐花をつるりと平らげた。澄んだ瞳がきらりと煌めくとそのまま黙々と食べ始める。良かった、気に入ったようだ。
    龍捲風はブラウンシュガーを付け足した。途中で味変するのが龍捲風流だ。
    「あんたは、」
    不意に洛軍が口を開く。
    「うん?」
    「どうしてそこまで俺に親切にする?」
    龍捲風は真っ直ぐに向けられる洛軍の視線に居たたまれなさを感じた。彼の名を聞いた時、あの陳占の息子だとすぐさま気付いた。赤子の時抱いたきりの親友の忘れ形見。
    それが、突然成長した姿で現れた。
    「九龍城砦はお互い助け合う所だ。お前は俺への金を返しても尚懸命に働いてるからな。住民達もお陰で助かってる」
    尤もらしい言葉で龍捲風は誤魔化した。
    本当はお前の父親を殺した罪悪感があるからだとか、お前が陳占に似ているからだとか理由は幾らでもあったが、それを明かしてしまえば洛軍はきっと自分を恨む。
    それが怖かった。
    この瞳が憎悪に変わる瞬間を見るのが。
    「あんたが俺の親父なら良かったのに。信一が羨ましい」
    やがて、豆腐花の入った器あっという間に空にした洛軍がぽつりとそう呟いた。
    「信一とは血の繋がりはないぞ」
    かちゃり、と龍捲風はレンゲを器へ入れると懐から煙草を取り出した。
    「……知ってる。けれど、本当の親子のように見える」
    純粋純朴な洛軍の事だ、その言葉に嘘偽りはないのだろう。
    確かに、11歳の頃から信一の成長をずっと見守ってきた以上義父のようなものだ。だが信一は龍捲風の庇護下だけでは満足せず自ら右腕になる道を選んだ。彼を黒社会から遠ざけたかった筈なのに。
    「だがな、理髪店を継ぐかと聞いたのはお前だけだ」
    「え」
    小さく息を飲んで目を見張る洛軍に龍捲風は煙草へ火を点け煙を大きく吸う。
    「信一の奴、ナイフの腕は確かだが鋏はからっきしでな」
    紫煙を吐きながら肩を竦める龍捲風に、洛軍が控え目に笑って答えた。
    「俺が継ぐなんてまだ早い。あんたの方が俺よりずっとここの住民達に慕われてる」
    そんな洛軍に龍捲風は眩しさすら覚えた。
    お前は真っ直ぐな性格だからな。その内俺以上に此処の人達から信頼されるようになる。
    だが、ぐっと呑み込んだ。
    「やれやれ。隠居生活をさせてはくれないようだ」
    お前の所に行くのは当面まだ先のようだ、と龍捲風は心の中で陳占へと謝罪した――。
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    recommended works

    陽炎@ポイピク

    TRAINING足を怪我して兄貴に背負われるペッシの話
    『恋じゃない』
    #プロペシ版ワンドロ・ワンライ
    流石に姫抱きは勘弁してくだせぇと真っ赤になる弟分にプロシュートは溜息を吐いた。
    かれこれ永遠と続くかのような押し問答。
    ターゲットを追ってビーチ・ボーイの針と糸で捉えかけていた所、標的が残した罠へ掛かってしまい、ペッシが足を怪我してしまったのだ。
    「オレの事は置いていいから追ってくれ兄貴!」
    プロシュートはペッシの言葉に迷った。此処で見失ったら任務は失敗だ。
    だが、プロシュートは足を止めた。
    「兄貴っ!そんな事したらスタンドの射程範囲から逃げられちまう!」
    ペッシの悲痛な叫び。その時聞こえてきたのは仲間のひとりの声帯を真似た声だった。
    「ドウヤラコイツヲ始末スルノハ、ワタシノヨウデスネ」
    次の瞬間ターゲットはサイコロ状にバラバラにされてその場に崩れる。
    「ベイビィ・フェイス……」
    常に笑みを浮かべたような機械の如き肉体を持つ人型のスタンドはプロシュートとペッシを見遣った。
    「ナンテコトナイ任務デシタネ。プロシュート、アナタハドウシテ仕事ナノニ弟分ヲ優先スルノデスカ?」
    ベイビィ・フェイスは教育次第で成長するスタンドだ。故に知識欲も強い。疑問を感じれば主であるメローネ以外にも遠慮なく質問 1413

    陽炎@ポイピク

    DONE #プロペシ版ワンドロ・ワンライ
    お題『キセキ』
    月祈(きせき)は神仏に祈る事
    街中で鮮やかな色の糸を見た。
    糸を辿ろうと其れに触れた途端消えた。
    男は直感した。あの糸はスタンド能力だと。
    男は何日間もあの糸が再び現れるのを待った。
    どうして組織の把握していないスタンド使いが居る?
    パッショーネに所属していないスタンド使いが居るとするならば、ポルポの試験で矢に刺される事の無かった天性のスタンド能力者という事になる。
    きらりと光る針先が通りの遠くの方へ進んでいくのを目撃した男は糸の紡ぐ軌跡を追うように辿った。
    その釣り針は観光客の懐へと潜り込むとあっという間に財布だけを掠め取った。男は釣り上げられた財布と並走した。
    正確には糸を引いている主の元へ辿り着く為に。
    「あっ……」
    釣竿を手にしている少年はボロボロの布切れを身に纏い身体中が痣だらけであった。
    弾かれたように逃げようとしたものだから男は咄嗟に釣り糸を掴んだ。掌の中に食い込む針の痛みに構わず男は唇を開いた。
    「――お前、家族は」
    少年は怯えたように頭を横に振った。声が出ないのか、それとも出せないのか。それでもスタンド能力を解除しようとはしない。男はぞくりとした。腕を這い上がっていく釣り針と糸の感覚。この少年はオ 1665