前回までのあらすじッ!
お金のない暗殺チームはメローネの何気ない一言で小金を稼ぐ事にッ!
「俺達アイドルやった方が儲かるんじゃね。顔だけはいいし」
自分で言うなとギアッチョは突っ込みたい気持ちだった。そもそも暗殺者なのにアイドルとはどういう事だ。
「しょ~がねぇなぁ。オレは賛成だぜー?ボスからの報酬だけでやってられっかってんだ」
意外と乗り気なのは暴れる猫を抱きながら服をバリバリに裂かれているホルマジオだった。
「ふん、テメェの場合単に女からチヤホヤされてぇだけだろ。で、稼げんのか?そのアイドルってやつは」
ホルマジオへ皮肉混じりの小言を口にしながらも前のめりに鏡から出てきたのはイルーゾォだった。
おい待てオメェもかよとギアッチョは焦る。
「ライブとかコンサートとか会場を抑えるのに金は掛かるがチケットを売って物販でグッズを売れば、少なくともマイナスにはならない筈だ」
流石金にがめついソルベ!そういう所は抜かりないッ!するとジェラートが甘えるようにソルベの肩へ頭を乗せた。
「オレ達がアイドルになればぁ、TV出演とかも決まって更にギャラとか入るよねー?」
待て待て待て。勝手にそこまで話を進めるな。
その前に色々突っ込む所あるだろうが!ギアッチョは助け舟を求めるように血走った目でプロシュートを見た。
「おいおい、オメェら。アイドルになるって言うからには顔がいいだけじゃ売れねぇ。アイドルとして活動するからには!歌って!踊れて!トコトンアピールしなきゃ人気になれねぇ!」
「プロシュート兄貴ィ!やっぱりプロシュート兄貴はすげぇや!」
ギアッチョはとうとう頭を抱えた。ペッシはプロシュートの言葉は全て正しいと信じ込んでるし残るはリーダーであるリゾットが待ったを掛けるしかねぇ!
「ふむ。アイドルデビューするなら衣装もちゃんと用意しないとな。裁縫なら任せろ」
オカンかよッ!ボケにボケを重ねるなッ!
ギアッチョは耐えきれずとうとうブチ切れた。
「テメェら頭おかしいだろ!オレ達はギャングだろ!しかも暗殺チームだろ!?誇りはねぇのか誇りは!そもそも誇りってよぉ~!ホコリと紛らわしいだろうが!ふざけやがってクソッ!」
するとメローネがすっとギアッチョの目の前にポルポとの契約書のコピーを差し出した。
「パッショーネという組織は別に副業を禁止してる訳では無いぞ」
ーーという訳で。あれよあれよと決まってしまった流れで、アイドルとしての長く厳しい道程を彼等は歩む事になった。
アイドルになる為のレッスンは地獄の特訓だった。スタンドの訓練の方がまだマシだ。滝行の中での発声練習。落ちたら真っ逆さまな崖の上でのダンスの練習。リゾットは夜なべしてミシンでひたすら衣装を作り、ソルベとジェラートは徹夜でグッズ作成……。それでも皆根を上げたりはしなかった!
一流の暗殺者(アサッシーノ)たる者、一流のアイドルにならなければいけない!
そして遂に、彼等の最初のステージが決まった。
ライブハウス『酒!飲まずにいられない!』での初舞台。
メンバー全員が明日の本番に向けて心をひとつにしていた(スペースキャット顔のギアッチョを除いて)。彼等の中で増していく緊張と高揚感。
だが、ペッシの戸惑いの声がすっかりレッスン会場となったアジトの中に響いた。因みに壁全面にある鏡はイルーゾォが掻き集めたものである。
「えっ!?明日の本番、オレだけ出るなって……!兄貴、何でです!?」
ペッシはいつもの服と違いアイドルらしいキラキラした衣装を身に纏っている。因みにスパンコールはホルマジオが盗んだものである事はここだけの話である。
「ペッシペッシペッシペッシよぉ~。オメーが1000年に1度の美少年である事は間違いねぇ」
腰に手を当てて低い声で諭す男、プロシュート。
メンバーの一員にも関わらずスデにペッシのグッズを買い占めアジトの一部は彼専用のペッシ祭壇が出来上がっていた。(因みに金をどうやって細工したのかは謎である。何せこの男はペッシの為ならジジイになって乞食の振りすらも厭わないのである)
「だがまだ舞台に立てるレベルじゃーー」
グッズが売れてホクホクなソルベとジェラートが『プロシュートは単にペッシがファンにサービスすんのが許せないだけだろ』と声を潜めていたその時だった。
「待て」
奥から人影が出てくる。
そこに立っていたのはリゾットだった。
……フリフリの桃色ミニスカートを着た状態だが。
「ペッシのミスは俺が目立つ事でカバー出来る筈だ。客は必ず俺に注目するだろうからな」
真顔で言ってるが再度言おう。この男、スゴ味のある表情をしているがフリフリのアイドル衣装である。
果たして、彼等の初ライブは成功するのか?
突っ込み不在のまま、彼等は本番に向けて最後の仕上げを始めるのだった。
to be continue……?