Acquarioオレは水槽に飼われた魚のような人生だった。
ガキの頃から時からギャングの世界に生きる事が決まっていたようなもんだ。つまりオレの親父の仕事はカタギじゃなかった。幼い頃からこの水槽での処世術を叩き込まれた。
ボスの命令は絶対。従っている時は何も考えるな。
同じ組織の者でも信用するな。自分の思惑を悟られるな。
殺されたくなければ殺せ。でなければ惨めに死ぬだけだ。
この狭い水槽の中でオレは自由がない事に疑問すら抱かずにたたひたすら泳ぎ続けた。それでも良かった筈だった。
親父はある日パッショーネにオレを『献上』という名目で「売った」。条件はスタンドの矢に耐性があるかどうか。
結局オレは見世物にされる為だけに育てられた。
能力を手に入れたオレが生存競争の相手に選んだのは父親。
それでもオレの心は満たされねぇままだった。
父親を殺めた所でオレはこの水槽から逃げられねぇ。
それなのに――ある日オレは自由に泳ぐ魚を見つけちまった。
「…あいつも入れちまおうか…この息苦しい水槽ん中によ」