Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    陽炎@ポイピク

    ジョジョ5部プロペシメインです。パソコンもペンタブもないので携帯撮り&アナログ絵しかうpしません。
    🍞🚄🍊🍋の沼にも浸り中
    時々®️®️®️🔥🌊

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍊 🍋 🐎 🐅
    POIPOI 476

    陽炎@ポイピク

    ☆quiet follow

    ・ジョナサン×スピードワゴンです
    ・ディオの居ない平和なロンドン
    ・エリナとは出会わなかった世界線
    ・何でも許せる方向け

    ラピスラズリの泪「ジョースターさ~ん?」
    此処は泣く子も黙るジョースター卿の屋敷。
    その一人息子のジョースターさんに呼ばれた俺はこうして訪ねて来た訳なんだが。広々とした屋敷の中はがらんとしていてやたら静かなせいか俺の声だけがやたら虚しく響く。
    「ジョースターさぁん!居ないんですかい!?」
    俺が急に不安になって周囲をキョロキョロ見渡すと。
    「ハッピーバースデー!スピードワゴン!」
    派手なクラッカー音と共に階段の影から人影が飛び出してきた。
    「はっ!?ジョースターさん!この徹底したサプライズっぷり!俺ぁてっきりドッキリかとヒヤヒヤしたぜッ!」
    素直に驚いた俺にジョースターさんは微笑んだ。
    「当たり前だ、君の誕生日を祝いたくてずっと前から計画してたのさ」
    そう言ったジョースターさんが使用人から奪うようにして手にしたトレーの上にはごてごてのアイジングが施されたいかにも甘ったるそうなケーキだった。
    「お手伝いさんと僕で頑張って作ったんだ」
    照れ臭そうに頭を搔くジョースターさんに改めてまじまじとケーキを見遣る。表面には一生懸命チョコペンで描いたであろうふにゃふにゃの線の俺の似顔絵があった。
    「それじゃ食べるのが勿体ねーじゃねぇか!」
    「でもやっぱり君に食べて貰いたいんだ。ほら、紅茶も用意するから」
    「そこまで言うなら頂きやすけどよぉ~」
    ケーキナイフで端の方だけ切って食べるとアイジングの甘さの後にラムレーズンの香りが口の中に広がった。
    「そうそう、誕生日プレゼントも用意したんだ」
    「うぐっ!?」
    俺は紅茶を噎せそうになった。
    ゴロツキだった頃彼を襲おうとしたこの俺にそこまでするなんて。
    「ジョースターさん!俺ぁ貴族から施しを受ける程落ちぶれちゃあいねぇぜッ!」
    「施しなんかじゃないよ。純粋にスピードワゴンの誕生日だからプレゼントをやりたいと思ったんだ」
    ああ、どこまでも甘ちゃんだこの人は。
    俺がそのプレゼント何も言わず質に出して金に換えちまうようなワルかも知れねぇって可能性を全く考えてねぇんだ。
    「わ、分からねぇよ。アンタが俺にそこまでする理由が」
    ジョースターさんは一瞬きょとんとしてそれから俺の手を取ってきた。
    「僕達は親友じゃないか。それだけじゃ駄目かい?」
    親友……。そう、俺とジョースターさんは親友だ。
    それ以上の感情は抱いちゃいけねぇ。生まれも、身分も、育った環境も真逆なこの人を。
    「じゃ~ん!新しい帽子だ!くたくたになってたからね!勿論仕込み刃もある!」
    何ィーッ!?
    目の前に差し出された帽子に俺は頭がくらくらしそうになる。
    「それからコートも!そんなボロボロじゃ見窄らしいだろう?」
    ああ――そうか。
    「すまねぇジョースターさん……俺ぁプレゼントに浮かれちまって大事なコトを忘れる所だった。俺が貧民街出身らしい見てくれじゃあ、一緒に居るジョースターさんが恥をかいちまうもんな」
    ジョースター家は誇りある貴族だ。ジョースターさんも領主の息子たる故付き合う友人も厳しく制限されてきただろう。
    それなのに。流行病の父親の薬を探しにやって来た彼を俺は襲いかかろうとしちまった。だがラグビーで鍛え上げられた重機関車のような躰はびくともしなかった。
    「君にも父や母やきょうだいが居るかも知れないと思った!君の家族を悲しませるような真似をしたくない!」
    ジョースターさんの言葉に本物の紳士の魂ってやつを見た。
    そして高値を吹っ掛けて薬を売ろうとした売人を締め上げてタダで渡した俺をジョースターさんは懐く気に入って、俺に会いに来たりするようになった。スリや乞食に狙われる可能性だってあんのにそのリスクも顧みねぇ甘ちゃんに俺は根負けして、ジョースターさんの父親への説得もありジョースター家の離れに住まわせて貰う事にした。
    俺には勿体ねぇ位の贅沢な暮らしで時折息苦しさもあるが、ジョースターさんが危険な目に遭うよりはずっとマシだ。
    だが、ジョースターさんと親しくなればなる程彼を遠く感じた。ジョースターさんはいずれジョースター卿の仕事を受け継いで領主として貴族たる振る舞いを求められるに違いねぇ。そうなったら俺ぁ傍に居るべきじゃあないんじゃねぇかって。
    けど、ジョースターさんは。
    こんな俺でも対等に接してくれる。そこら辺の金持ちみてーに見下したり偏見の眼差しを向けたりして来ねぇ。
    俺はそんなジョースターさんの人柄にどうしようもなく惹かれてた。こんなにも魅力的な紳士の為なら引き立て役になったって構わねぇ、ってな。
    俺もつくづくお節介焼きなもンだぜ。
    そのジョースターさんは俺にプレゼントをグイグイ押し付けながら。
    「スピードワゴン。君が僕に相応しくないとか不釣り合いだと思ってるのならそれは間違いだ。僕は君の事が特別で大切だからプレゼントを贈るんだ」
    ジョースターさんの真剣な眼差しに俺ぁ弱いもんでよぉ。
    「わ、分かったよぉ!弄れた捉え方しちまって悪かった!」
    ジョースターさんから奪うようにしてプレゼントを取り上げる。
    「いや……いいんだ。僕の方こそ僕のせいで君に惨めな思いをさせてすまない」
    「はは――そういや誕生日をちゃんと祝って貰ったのはいつぶりだろうな」
    俺ぁゴロツキになっちまった時点で両親を悲しませちまったような男だ。貧民街で生きていく為、両親に飯を食わせてやる為、って自分を正当化してただけだ。
    「スピードワゴン、喜んでくれたかい?」
    「ジョースターさぁあん!俺ぁ世界一幸せモンだぜぇ!」
    「大袈裟だなぁ。それにまだ渡せてないものもあるんだよ?」
    「へ?」
    「じっとしてて」
    ちっ、近い!ジョースターさん近過ぎますぜーッ!?
    高貴でいい匂いがプンプンしますぜーッ!?
    ジョースターさんが俺の胸元に付けてくれたのはラピスラズリのカフスボタン。ジョースターさんが身に付けているものと同じものだ。
    「スピードワゴン、誕生日おめでとう。君に出逢えた運命に僕は感謝している」
    穏やかに微笑みながら言われて俺ぁ鼻の奥がつんとした。
    「ジョースターさぁ!!」
    「うわっ!?泣かないでくれよスピードワゴン」
    「違うんですよぉこれは嬉し泣きってやつですよォ!」
    年甲斐もなくボロボロ涙を零す俺とオロオロしてるジョースターさん。傍から見たら滑稽な光景に違いねぇ。
    それでも。ジョースターさんという星が俺を照らしてくれる事が幸せで。
    「スピードワゴン」
    ジョースターさんの凛とした声がすぐ近くに聞こえた。
    甘ちゃんな紳士が少しだけ屈みこんできて。
    「ジョースター…さん…?」
    ちゅっ。
    濡れた頬に温かいものが触れた。
    「あ――、あ、あ、あ、あ、あの?」
    「これでびっくりして涙も止まっただろう?良くダニーがしてくれてたんだ」
    いやいやいやいや!ジョースターさんは犬じゃねぇだろうが!恥ずかしさと驚愕でパニックになりそうな俺にジョースターさんが更に畳み掛けてきた。
    「それとも唇の方が良かったかい?」
    「はうあっ!?」
    卒倒しそうな俺は熱い顔面を両手で覆ってもうしなくていいアピールをするしかなかった。
    ジョースターさん、俺ぁやっぱりジョースターさんの事好きですぜ。親友以上に。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺☺☺☺🎂💖☺☺🎂🎂🎂😭👏🎂🎂
    Let's send reactions!
    Replies from the creator