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    陽炎@ポイピク

    ジョジョ5部プロペシメインです。パソコンもペンタブもないので携帯撮り&アナログ絵しかうpしません。
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    陽炎@ポイピク

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    みかレモ要素低い
    過去捏造注意

    双生の魂俺達は双子だと名乗ると大抵の仲介業者は訝しげな面をする。それもそうだ。見た目は全然似てねぇ。
    レモンは俺より図体も恰幅もデカイ黒人。性格もまるきり反対。だが俺にとっちゃ肌の色も流れてる血の違いも大した事じゃなかった。
    俺とレモンは同じ孤児院に、同じ日に捨てられてたらしい。
    児童養護施設で育った俺達はすぐに意気投合して、何をするにもどんな時もいつも一緒だった。
    幼い頃のレモンは痩せ細ってて、腹が立つ事に黒人ってだけで馬鹿にされた。お前みたいな奴は親に見殺しにされて当然と言ってきた奴らを俺は殴っていた。
    傍に居るのが当たり前だったレモンを貶され蔑まれて怒らずにいられるか?共にサッカーの試合を見て、ウェストハム・ユナイテッドのチャントを歌って、あいつが組み立て式の機関車のパズルに苦戦したら手を貸してやる。
    当時は子供同士のよくある喧嘩で済まされていた。
    だが俺は腹の虫が収まらなかった。
    「どうして何も言い返さないんだよ!」
    「じゃあ何で庇ってくれたの?」
    レモンはガキの頃から妙に聡明で達観してた。
    感情表現が乏しいからこそ周囲に気味悪がられていた。
    俺の前では普通に笑う癖に他の奴を相手にするといつもそうだった。理由を聞いても『心を読もうとしても上手く行かないから』とかそんな感じだった。
    「お前は家族だから」
    「血の繋がりなんてないのに?」
    「うるさいな!だから、今日からおれたちは家族になるんだよ!おれとおまえは双子だ!」
    レモンは目をぱちくりさせた。闇に溶けそうな黒い瞳は俺の蒼眼とは全然違う。
    「双子。そっか、双子か。それなら、お互い助け合わないとな」
    妙に納得したレモンは少し嬉しそうだった。
    それからは俺とレモンは別々の里親によって引き剥がされそうになった。自分の里親が繋いできた手を振り払いレモンは俺の所まで追い掛けてきた。車に撥ねられそうになった癖に妙に堂々としていた。両手を大きく広げて車の前に立ち上がったレモンは初めて声を荒らげた。
    「来週もトーマス見るって約束しただろ!」
    俺を引き取るつもりだった里親は幸運にもレモンの事も気に入って一緒に養子として迎え入れてくれた。
    最初に義両親になってくれた2人は高齢だったが俺達に良くしてくれた。やっと手に入れた平凡だが幸せな日常。
    だが、それも長くは続かなかった。
    里親は呆気なく死んだ。病死だったか、寿命だったか、もう覚えちゃいねぇが、俺達は早々に育ての親を亡くした。
    俺もレモンも死を悲しまなかった。そんな余裕もなかった。
    次に引き取ってきた里親は父親が最低のクズ野郎だった。
    母親にバレねぇように巧妙にレモンへ暴力を振るう。
    性的な加虐こそなかったが、俺がレモンを守ろうとすれば、レモンの分の飯を目の前で捨てられ、酒に酔った日はオレも攻撃対象になった。俺はひたすら耐えた。このクソみてぇな地獄の日々でも生きる為なら大人しく嬲られ続けた。
    そしてお互い痣だらけになりながら傷を慰め合うように寄り添って眠る。狭いベッドの中でくっつかって寝て、親より早く起きて、レモンの分の食糧も含めて色んな所から盗んだ。
    俺がどっかから食い物をくすねる都度レモンは血が出るんじゃねぇかって位唇を噛んだ。大丈夫だ、お前は血を流さない、俺がお前に血を流させないし、決して飢えさせたりはしない。自分自身に誓うように、レモンに言い聞かせるように、俺はレモンを抱き締めながら繰り返した。
    いつか以前のような暮らしに、幸せな生活に戻れる、そんな有りもしない夢を見れるように、聖クリストファーのメダイに祈りを捧げながら瞼を閉じる日々。
    ――ある夜、俺は心が酷くざわついた。
    理由は特にねぇ。単に嫌な予感だとか虫の知らせだとかそういう類のものだ。だが俺は直感でレモンに何かあったのだと感じた。俺とレモンは心が通じあってる。魂で繋がってる。
    俺達は双子だからだ。
    導かれるようにキッチンへ行くと、月の明かりの下でレモンが佇んでいた。黒人の肌は夜になると青く見えるというのは本当なんだな。レモンは赤い血溜りの上で果物ナイフを片手に無言で俯いていた。足元には先程まで息をしていたらしき人間の塊が倒れていた。それが義父だって事はすぐに気付いた。
    「お前の血じゃねぇんだよな?」
    レモンの手は返り血がべったり付いていた。
    「うん」
    「殺したのか」
    声が震えた。恐怖よりも歓喜の方が強かった。
    「待ってたって、正義のヒーローなんて来なかったから」
    レモンはその夜初めて泣いた。あいつの涙に俺は果物ナイフをぶんどり幾度も遺体へ突き立ててやった。
    これで俺も共犯者だ。
    「逃げよう」
    俺はレモンの手を取った。
    身寄りを無くした俺達の行先はストリートチルドレンだった。それでも俺は舐められないように色んな奴と喧嘩をして殴り倒してきた。レモンはそんな俺を咎めなかった。あんなにも嫌っていた筈のクソ親父に似てきた俺に対しても。
    運命とは奇妙なものでそんな俺達双子に救いの手が述べられた。ただし、そいつはキリストじゃなくて殺し屋だった。
    殺し屋になるのは世間一般から見たら堕ちる行為だろう。
    だが俺達はこの掃き溜めみてぇな世界で伸し上がるしかねぇ。
    大丈夫だ。俺とレモンなら、いずれ腕利きの仕事人になる。
    だって、俺達は運命共同体の双子だから。
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