愚か者自制が効かなかった霊力を抑え込めるようになった
自分の意思で力を放出することができるようになった
私の魂に取り憑いた亡霊と心を通わせることができるようになった
髪の毛槍を使えるようになった
剣術を覚えた
指鉄砲や体内電気。鬼太郎さんの模倣だけど、自分なりにできるようになった
鬼太郎さん達と一緒に戦うことを許してもらえた
最初こそ悪霊と疎まれた“この子”もいつしか信頼を勝ち得て仲間と呼ばれるようになった
一人でも戦えるようになった
「もう葉月を地上に帰してもいいだろう」
いつからか目で追い続けたその人がそう言った
他の王たちも頷いた
そしてそこからはあまりにも呆気なく、私は地上へ帰された
“地獄の厄介者”だった私からそのラベルを剥がしたなら
残ったのは“ただの妖怪”
私と地獄にはもう何の繋がりもない
これ以上地獄に、あの人の傍にいる理由なんてどこにもない
どうしてこのままずっといられるなんて勘違いをしたんだろう
いつからそんな戯言を本気にしていたんだろう
涙は出なかった
“身の程知らず”と思われるくらいなら“ただの妖怪”でいた方がずっとずっとマシだった
こんなことなら強くならなければよかった
いつまでも半人前で頼りなくか弱い存在でいられたらよかった
こんなことを考える時点で、私は地獄に相応しくない存在だったのだろう
「死ねばもう一度貴方に会えますか」
ああ、やっぱり私は━━━。