地獄へ来てからもうすぐで一年が経とうとしている。
未だに十三王とは大きな隔たりを抱えたままで、五官王から妖力の扱い方を教わる時間以外は一人で過ごす日々。
部屋の掃除も洗濯も食事の下準備も全てを済ませてしまえばもう他にすることもない。
地上から持ち込んだ本はすっかり読み切ってしまった。
地獄大王庁内を散歩することも許可されてはいるが、葉月が部屋の外に出ると獄卒達の間に緊張した空気が漂う。
それが申し訳なく、またいたたまれずに、必要以上に部屋から出ることもなかった。
(それに方向音痴だしなぁ……)
この地獄大王庁を初めて五官王に案内された日のことははっきりと覚えている。
道を覚えられずに右往左往して、結局五官王に迷惑をかけてしまった。
4246