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    azume_059

    @azume_059

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    azume_059

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    師弟過去捏造です。高度な幻覚です。
    寂しいけれどやさしい夜があったらいいな、と思い書きました🌃

    ##巻戻士
    ##二次創作

    夜更けのふたり おじさんがおれの面倒を見てくれている間、ひとつの布団に二人で並んで眠っている時期があった。着替えの服は買いに行ったのに、どうにも布団まで気が回らなかったらしい。おじさんが使っているベッドは一人用だけど少し大きくて、二人で横になっても少し余裕があった。
     おれたちは寝るときの姿勢が逆向きだから、向かい合うことはない。いつも互いに、背中を向けあって眠っていた。
     ある夜、部屋の電気を消した後に背中側から声がした。
    「おれのことを、嫌だと思ってたりしないか?」
    「え?」
     よく分からない質問だった。でも、寝返りを打って後ろを向くのはなんだか躊躇われて、結局、振り向くことはしなかった。
    「どういうこと?」
    「……妹を助けられなかったおれのことを、恨んだりするときはないか」
     おじさんは、直接名前を言わずにそう話した。
     胸のあたりがザワザワして、思わずパジャマをぎゅっと握り締める。確かにあのときは――本当の意味で、トキネを助けることは出来なかった。けれども咄嗟にトキネを庇って銃で撃たれたこと、目から血が流れていて凄く痛いはずなのに、なんとかしようと最後まで頑張っていたのを、おれは知っている。悔しいと思うことはあっても、恨んだりするなんてとても出来なかった。
    「おれは、……おじさんが生きててくれてよかったと思ってる」
     仮面の男に銃で撃たれたおじさんまで死んでしまったら――。あのときはそう思っていてずっと怖かった。けれども彼は今も生きていて、おれが巻戻士になっていつかトキネを助けられるように、いろいろと教えてくれている。おじさんが居なかったら、おれはきっとあそこから動けなかった。トキネと約束を交わすこともなかった。
    「おじさんと居るのは楽しいし面白いよ」
    「…………そうか。なら、よかった」
     大きく息を吐いて、おじさんは絞り出すように呟いた。その声はつらそうで、でも、どこか安心したような感じもした。
     結局そのあとは会話をすることもなく、いつの間にか眠りに就いていた。

     ――。
     ときどき、あの夜のことを思い出す。
     おじさんは何を訊きたかったんだろう。なんとなく見当をつけてみても、やっぱりしっくり来なくて。また機会があったら尋ねてみたいけど、今は部屋が別だし仕事が忙しいからなかなか難しい。それでも、あの夜のことはおじさんとの大切な思い出のひとつだ。
     窓のない部屋で二人で過ごした夜は、今でもあたたかくおれの過去を照らしている。
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    riza

    REHABILI【rizaのエメ光♀】
    「デートみたい?デートだよ?」
    #この台詞から妄想するなら #shindanmaker
    https://t.co/hckXrMQeba
    これは開き直ったエメトセルク

    いつものミコッテ♀ヒカセンだよ
    ※謎時系列イマジナリーラザハンにいる
    ※実際のラザハン風は多分違うと思う

     まだ土地勘のないラザハンで、ほとんど拉致されるように連れ込まれた店にはウルダハでもなかなかお目にかからないような服や宝飾品が並んでいた。
     彼が選んだ数着のドレスごと店員に任せられたかと思ったら試着ファッションショーの開催となり、頭に疑問符を浮かべたままサベネアンダンサー仕込みのターンを彼の前で決めること数度。
     そういえばこのひと皇帝やってたんだっけと思い出すような審美眼で二着が選ばれ、それぞれに合わせた靴とアクセサリーが選ばれる。繊細な金の鎖のネックレスを彼に手ずからつけてもらったところで我に返ると、既に会計が済んでいた。
     当然のような顔をして荷物を持ってエスコートしてくれるまま店を出たところで代金についてきけば、何故か呆れたように、プレゼントだと言われてしまった。
    「今日なんかの記念日とかだっけ……?」
     さすがに世間一般的に重要だとされるような、そういうものは忘れていない、はずだ。そう思いながらおそるおそる問いかける。
    「私にとっては、ある意味で毎日そうだがな。まあ、奢られっぱなしは気がひけるという 1255