癒えない傷「何故1人で勝手に行動したんです!!」
暗いマンションの廊下で、心配した様子の男性の声が響く。その声に対し、全く反省していないような態度でもう1人の男性が答える。
「別に悪くないだろう?それと、君に私を制限する権利は無いはずだよ?桐野江くん。」
閉じていた瞼を薄く開き、深緑色の瞳を覗かせて心配する顔を睨みつける。
「ですが…俺はただ雅楽様が心配で…!」
「勝手な心配はしないでおくれ。まあ確かに、君があの場を見ていてくれなかったら私は死んでいただろうね。おチビまで呼んでくれて…君は本当に過保護だねぇ。」
「誰がおチビだ!あの狼の代わりにボクが喰い殺してやるこの虫野郎!」
突然殺意剥き出しの少年らしき声が2人の男性より少し離れた所から聞こえた。
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