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    zabznak

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    zabznak

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    レティネビに耐えられなくて書いた
    レティ→ネビ片想い
    恋人ではないけど肉体関係あるレティネビ

    ネビ→てし前提
    中将はさものこと大嫌いで、少将は中将のこと若干嫌ってる
    メンタルクソ強中将

    #さもサモ
    #レティネビ

    いずれ破滅に向かうとしても「レティっちさぁ、そういうのよくないと思うよ」

     地獄の第六席、赤き竜六柱の三柱。上司であるアガリアレプトがフルーレティにそんな声をかけたのは、人気のないアガリアレプトの私室でのことだった。
     わざわざ自身を呼び出した要件は、フルーレティには当然に予測出来ていた。このお人好しで情に厚くて、能力故か周囲への気配りを自身に病的に課している上司が、フルーレティの”蛮行“をこれ以上見逃すはずは無いので。


     『そういうの』が何を指しているのかといえば、フルーレティとネビロスがつい最近から肉体関係を持ち始めたことだろう。

     フルーレティが持ちかけた。というか、そう仕向けたことから始まった関係だった。
     取り引きと脅し、上官としての立場さえ利用して、ネビロスに無理矢理に頷かせた関係だ。ネビロスは自分のことを、嫌っているので。


     少し前までは、“そう”では無かった。フルーレティとネビロスの関係は、もう少し良いものだった。
     なんだかんだと情に厚く正義感の強いネビロスと合理主義で組織の利を求めるフルーレティはそこまで相性は良くなかったものの、奔放な他の六柱に比べ、真面目な部類で苦労性の二人はそれなりに仲間意識のような、労りのようなものがあったと思う。

     その関係がずれてきたのは、左門召介にネビロスが召喚されてからだ。


     打倒悪神アンリ・マユを掲げる少年に、ネビロスは持ち前のお人好しを発揮して、師匠となり、親代わりを務めるようになった。果ては職務を放棄し、自身が受肉してまでその人生の矯正をはかるほどに。

     面白くない。その一言に尽きる。

     才ある少年とはいえ左門召介にそれ程の価値があるのか。否、ネビロスにとっては才や価値など考えてもいないだろう。情が湧いた。それだけでああも尽くしている。
     それなのにあのクソガキは、むちゃくちゃな召喚を繰り返して地獄を混乱させている。
     恩を仇で返している。六柱が第五柱が、心を砕いている意味を、価値を理解しようとしない、反抗期の子供。その価値を理解していながら、ネビロスに甘える子供。

     酷く、不快だった。

     フルーレティはネビロスに惚れていた。ずっとずっと昔から、恋慕の情を抱いていた。
     ただ眺めるだけで、相手が幸せなだけで幸せな、子どものような恋をしていた。

     天使ヶ原桜はいい。恋をしているネビロスはひどく幸せそうで、そんなネビロスを見つめるのは楽しかった。
     左門召介はだめだ。ネビロスの『幸せになってくれ』という悲痛な叫びを、あの子供はいつも無視をする。

     そんなフルーレティの態度に、いつしかネビロスは子猫を守る親猫のように、フルーレティを警戒するようになった。
     好いた相手に、そんな風に敵意を向けられるのは流石に堪えた。

     そして、左門召介への苛立ちと嫉妬。ネビロスからの敵意の疲れが、フルーレティに一線を飛び越えさせた。



    「あらためる気はありませんよ。司令」
     そう断言したことに、アガリアレプトが驚く様子は無かった。秘密をあばくアガリアレプトにとってはこの問答は予想済だろう。それでも説得に動くのが、この男だった。

    「そうは言ってもさ〜。このままじゃレティっちがどんどん嫌われてくだけだぜ? 今ならまだネビくんも『何か理由があるのかも…』とかって考えて好感度大して下がってないしさ、俺が保証するよ。今のうちに止めて正攻法で口説こうぜ?」
     ネビくん絶対そういうのの方が効くからさ。大袈裟な身振り手振りを交えながら説得を試みるアガリアレプトに、しかしフルーレティにはアガリアレプトを黙らせる目算があった。

    「何千年待ちました。もう待てません。それに、左門召介も天使ヶ原桜もいずれ死ぬ。天国行きにせよ地獄落ちにせよ、そうなれば関係性は『決定的』に変わる」
     嗚呼、それに、

    「私にとってはネビロス少将が一番の欲です。手放すことは出来ない」


     理知的で合理の鬼。組織に忠誠を誓うフルーレティであっても覆らない、悪魔の本能にして絶対の理。

     悪魔は、私欲には勝てない。


     はあ、と大きなため息をついて、顔をおおったアガリアレプトは手を振って退出を促した。
     いかなアガリアレプトとて、“欲”を持ち出されては説得などできようはずもない。

     そのまま一礼して退出する。

     自身とネビロスの関係はこれからどうなっていくのか。
     坂を転がり落ちるように悪化していくのか、何かの拍子に好転するのか。予言者ならぬフルーレティには予想もつかない。けれど、それでもいい。


     二人の間には、人間には及びもつかぬ永遠にも近い時があるのだから。
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