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    ちょりりん万箱

    陳情令、魔道祖師にはまりまくって、二次創作してます。文字書きです。最近、オリジナルにも興味を持ち始めました🎵
    何でも書いて何でも読む雑食💨
    文明の利器を使いこなせず、誤字脱字が得意な行き当たりばったりですが、お付き合いよろしくお願いします😆

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    ちょりりん万箱

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    『ぼくらの冒険譚』の開催、ありがとうこざいます!😄
    まずは、1作目✨

    何故、あんなに髪の長い人々の中にいるのに景儀だけ、髪が短いのか?という疑問からできた創作話をお届けします。
    いつの作品にも、ショートの子はいるものですが、髪を切ることがタブーな時代に、景儀のように短い子は珍しいなぁと思いできました😁

    楽しんでいただけますように!

    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation
    #少年組
    juvenileClass
    #藍思追
    lamSiChou
    #藍景儀
    blueKingYee

    桃の香「俺さ、ずっと気になってたんだけど。どうして景儀ってみんなより髪が短いんだ?」

    カプッと桃に齧りつきながら魏無羨がさらりと尋ねた。
    「あ、あー……魏先輩はご存知ないのですね。そうか、まだお戻りではない時だからな……」
    そうか、そうか、と一緒に桃を食べていた子弟たちが頷き合う。
    「三年前ぐらいでしたかね〜。市井に質の悪い遊びが流行ったんです」
    「質の悪い遊び?」
    「はい。最初は、我々仙師の身体に触れるとご利益があるって軽いものだったんです」
    それは若い娘たちを中心に始まった。
    元々は仙師に恋焦がれた娘が転んだ所を偶然意中の仙師に助けて貰い、それがきっかけで二人は縁を結んだというどこにでもあるような話だった。
    「それが広まると、仙師に触れると好きな相手と上手くいくようになるって噂が流れ、やがて商売が回りだしたとか、腰が痛いのが治ったとか、絶対ちがうだろ!? ってことも囁かれ出したんです」
    「俺たちに触って商売がうまくいったり、病気が治るんならまず俺たちが真っ先に試してるな」
    違いない、と子弟たちは笑う。
    「で、そんな話が出回ると街の中を歩くだけでも大変で大変で。我々も対策を講じないといけなくなりました。藍氏の校服には見えずとも呪が描かれてます。むやみやたらと触られればその効果もあやしくなり、支障をきたしますから」
    なるほどな、と魏無羨も頷いた。まして異性への耐性がない堅物の多い姑蘇藍氏は特に苦労したことだろう。
    「街にはしばらく外出禁止。用事のあるものは御剣で行くか、校服を脱いで変装することなど、いろいろしましたね〜」
    「対策を講じたおかげで、不埒を働く者はかなり減ってやっと落ち着いたかと再び校服が着れるようになったのですが、次にさらに厄介な者が出まして」
    「はぁ!?」
    「我々藍氏は決して他人には触らせられないものがあります」
    ピンッときた魏無羨は抹額かと叫ぶ。
    昔、魏無羨も藍忘機の抹額を取ってえらく怒られた。その理由を後から聞き、無知とは本当に恐ろしいと身震いした。
    「そうです。あれは両親と伴侶以外は触れてはいけないもの。例え仲間であってもです。未だに仙門の方でも我らの抹額の意味をご存知ない御仁もおられますから、市井の方々が知らないのも無理はありませんが」
    「抹額の意味を知らない者たちが、どうにかして抹額を取ろうと狙うようになったんです」
    アララ……と魏無羨は顔面蒼白になった。魏無羨が藍忘機の抹額を取ったのもわざとではなかったが、意味がわからないまま藍忘機から激しく怒られすっごく怖かった。
    それをやろうとするなんて信じられない。
    「もちろん、抹額を取った相手も怒られますが、取られた者も修行不足、注意力散漫であると罰を科せられます」
    当時を思い出したのか、子弟たちの顔色が悪くなる。よほど藍啓仁に絞られたのだろう。
    ご愁傷様と子弟たちを宥めながら、魏無羨は話の先を聞く。
    「奪い取ることができなくなると、抹額の端切れでもと、はさみで切られる事が起こりました」
    「はさみで!?」
    「流石に引っ張られればわかりますけど、スッって切られると案外気が付かないんです」
    なー、と周りに同意を促すと、皆がコクコクと首を縦に振る。
    「これも、背後を取られて抹額に傷をつけられるとは情けないと先輩方もお怒りで……」
    話せば話すほど、げっそりとしてくる子弟たちの肩を魏無羨は優しく慰めた。
    「その真っ只中に、ある娘が街に降りていた同輩の前で具合が悪いとわざと言い出し、同輩がそれに気を取られている間に、一緒にいた友人に抹額をはさみで切らせようと目論んだんです」
    「最近の娘さんたちって怖いな……」
    恋する者の行動力は時に常識を超えてくる。
    「で、一緒にいた景儀がそれに気づいて、止めたんです」
    「おお! 凄いな!」
    「ですが、この頃、藍氏の子弟たちでこの状況に苛立つ者たちも出始めていました。娘たちの行動に、側にいた同輩たちが遂に文句を言い始めたんです」
    ある程度の修為を修めたものならば、抹額を取られたり切られたりはしない。だが、修行半ばの若い者たちは、ただでさえ厳しい修行の最中、自分の落ち度ではないことで罰を受けなければならないことに不満が溜まり、いつか爆発する。これがこの時だったのだ。
    「街中は混乱し、収拾がつかなくなってました」
    街中で起こった揉め事。
    それ自体は珍しいことではないが、そこに普段は礼儀正しい姑蘇藍氏が絡んでいると、人々は何事かと集まってくる。
    「怒る同輩を宥めようとしましたが、不満はおさまらない。責められている娘たちも泣き出し、場は混沌。もうどうしようもないって時に、景儀が自分の髪を切ったんです」


    ざくざくざく、と馬の尻尾のように結い上げた髪を藍景儀がはさみで切り落とすと、賑やかな街が静まりかえった。
    「はい」
    娘に藍景儀は自分の切った髪を手渡す。
    娘は、ヒッと声を上げてあまりのことに泣き止んだ。
    「お嬢さん。お嬢さんもご自分の髪を切り落とす事がどんなことか両親に教えられただろう?」
    はらりと肩までになった髪をかきあげて、藍景儀が尋ねた。
    髪の毛を切ることは、親から貰った大切な体の一部を傷つける親不孝なことだと教えられて育つ。整えるにしても毛先を少し切るぐらいで、ばっさりと切ることを嫌う風習があった。
    また仙門では髪にも霊力が宿るとされ、切り落とすことは己の霊力を削ることと忌嫌われている。
    それをあっさりとやった藍景儀に周囲はおろか、同輩たちも驚いて何も言えない。
    「お嬢さんたちが、自分の髪を大事にするように、俺たち姑蘇藍氏にとって抹額はそれに匹敵するぐらい大事なものなんだ。だから、俺の髪に免じてこんなことはもう二度としないでくれないかな?」
    にぱっと笑った藍景儀のあくのない笑顔に、娘は再びはらはらと涙を流す。だが、今度は怒鳴られて恐ろしくて泣いたのではなく、自分がやったことがいかに愚かなことだったかを反省しての涙だった。
    「わた、し……本当に、仙師様が、だい、すきでっ! でも、仙師様はっ…修行に専念なさり、たいからと…うっ……!」
    「今はみんな、修行第一なんだ。友の代わりに謝るよ、ごめんな」
    藍景儀の言葉に、うわわ〜んと娘は大泣きし、それを娘の友達が支える。友達の一人が紙を取り出し、藍景儀の切った髪を包んだ。そして、それを藍景儀に差し出す。
    「仙師の方の髪は貴重と同時に、只人が持つには危険だと聞いたことがあります。これは、藍景儀様にお返し致します。また友人の気持ちばかり考え、姑蘇藍氏の皆様には大変ご迷惑をおかけしました。お詫びいたします」
    娘たちは深々と頭をさげた。
    「雲深不知処に必ずお詫びに伺います。本当に申し訳ありませんでした」
    娘たちは泣いている娘を支えながら、その場を離れる。騒動が収まったのを見届けた野次馬が散り始めた。
    「景儀……」
    「ごめんな、ごめんな! 俺達、ついカッとなっちゃって!!」
    わああっとさっきまで怒鳴っていた同輩たちが藍景儀に飛びつき泣き出す。
    「いや〜、お前らもよくここまで我慢したよ。でも、ほら、藍先生が『いつでも藍氏たれ!』って言ってるだろ? ここで騒いだら、また逆立ち雅正集書き写しだから」
    「でも、だからって!」
    「髪はまた伸びるし、切ったからって俺の才能を損なうまではいかないだろうし」
    「でも、藍先生や沢蕪君や含光君には何て……」
    「ちゃんとお話はする。大丈夫」
    任せろ、えっへんと胸を張る藍景儀に同輩たちの顔に笑顔が戻った。



    「なに、それ! カッコ良すぎる!!」
    「でしょ!?」
    「俺の知ってる景儀とは別人みたいっ!」
    「あはは! 景儀、魏先輩の前だと子供に戻るからな!」
    ドッと笑いが起こる。ここにいない人物への親愛の笑いだった。
    「それから、抹額が狙われることはなくなって一連の騒動は収束したんです」
    「景儀のおかげ、だよな!」
    「結局、話を聞いた藍先生から逆立ち雅正集書き写しと厠の掃除と動物たちの世話を命じられたんですけどね〜」
    髪も切られた上に罰まで受けるのは可哀想だと、藍啓仁に罰の軽減を願い出たが、市井を騒がせたことには違いないと藍啓仁は耳を貸さなかった。
    「決まりは守るべきことだとはわかってます。だけど、それだと景儀があまりに可哀想です。だから、みんなで一緒に罰を受けました」
    「逆立ち、きつかったな〜」
    「厠も!」
    ワイワイ賑やかな空気の中、ふわりと桃の甘い匂いが動き、ひょこっと顔が現れる。
    「あーっ!! みんないないと思ったら、何、桃なんか食べてるんだよ!!」
    藍景儀がひどいっと言いながら、やってくる。その後ろを藍思追もついてきた。
    「魏先輩」
    二人は魏無羨の前に立つとぺこりと礼をする。
    うん、と頷いた魏無羨は二人に座るように促した。
    「魏先輩が彩衣鎮の街で、桃を買ってきてくださったんだ」
    「それをみんなで食べてたってわけ」
    ほら、と友から桃を手渡された藍思追と藍景儀は、魏無羨にいただきます、と礼を述べる。
    「そうなら早く声をかけてくれよ〜。みんなを探したんだぞ?」
    口を尖らせて、ぶうぶう文句を言いながら、藍景儀は器用に皮を剥くと、一気に齧り付いた。
    「うっまー!」
    幸せ〜と目を細めながら美味しそうに食べる藍景儀に、藍思追が手ぬぐいを差し出す。
    「桃の果汁が落ちてきてるよ、景儀」
    「おっ、ありがとう」
    二人のやり取りを見ていた魏無羨が、うーむと腕を組んだ。
    「これが俺の知ってる景儀なんだよなぁ。さっきの話が信じられない」
    魏無羨の呟きに、うんうんと周りも頷いた。
    「わかる、わかりますよ、魏先輩。でも、事実なんです」
    「普段から男前なのは思追、時々男前になるのが景儀」
    藍思追と藍景儀を指さしながら、同輩たちが言う。
    「なんだとー! 俺もいつもカッコいいだろ!?」
    不満がある藍景儀が反論するが、仲間たちはハッと肩を竦めた。
    「わかってないな〜、景儀。常に男前だと当たり前すぎてカッコ良さがわからなくなるだろ? 時々男前だからカッコ良さが際立つんだぜ?」
    「……そうなのか?」
    「……どうだろうね?」
    藍景儀は隣で桃を綺麗に切り分けている藍思追に尋ねるが、藍思追は穏やかに微笑みながら言葉を濁した。
    「とにかく! お前ら二人はカッコいいってことだ!」
    そうそう! と仲間たちに言われて、うーむ? と首を傾げながらも再び藍景儀は桃に噛み付いた。
    プッと吹き出した魏無羨が、ポンポンと藍景儀の頭を撫でる。
    「お前は素直でいい子だよ」
    「……なんですか、急に」
    じろっと魏無羨を睨むが、頭に置かれた手を振り払おうとはしない。頬がちょっと赤くなっているが、怒っているわけではなさそうだ。
    さらりと藍景儀のまだ長くない髪を撫でる。
    「もう離してください、魏先輩! 俺、含光君から睨まれたくないです!」
    ブーブーと言い始めた藍景儀に、なんだそれ! と大笑いし、魏無羨は手を引っ込めた。
    パチっと藍思追と目が合い、藍思追はにっこりと笑む。
    「似てる、でしょ?」
    「……誰が誰に?」
    「他人の為に傷つくことを構わないんで、私も含光君も心配です」
    言外に、魏無羨と藍景儀は似てると言われ、魏無羨は空を仰ぐ。
    白い入道雲に落ち始めた夕陽が当たり、今、食べている桃の様に淡く染まる。
    「似ちゃいけないところが似てるな」
    「はい。だから、二人とも目が離せないんです」
    ボヤいた魏無羨にクスクスと藍思追が笑いを漏らした。
    「なになに? 何の話?」
    桃の汁で汚れた口の周りを拭き、藍景儀が首をかしげる。
    「…………桃、美味いか?」
    「はいっ! とっても!!」
    元気に返事をした藍景儀はまた新たな桃に齧り付く。立ち上る甘い香りが夏の空気に溶け込んでいった。
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    『ぼくらの冒険譚』の開催、ありがとうこざいます!😄
    まずは、1作目✨

    何故、あんなに髪の長い人々の中にいるのに景儀だけ、髪が短いのか?という疑問からできた創作話をお届けします。
    いつの作品にも、ショートの子はいるものですが、髪を切ることがタブーな時代に、景儀のように短い子は珍しいなぁと思いできました😁

    楽しんでいただけますように!
    桃の香「俺さ、ずっと気になってたんだけど。どうして景儀ってみんなより髪が短いんだ?」

    カプッと桃に齧りつきながら魏無羨がさらりと尋ねた。
    「あ、あー……魏先輩はご存知ないのですね。そうか、まだお戻りではない時だからな……」
    そうか、そうか、と一緒に桃を食べていた子弟たちが頷き合う。
    「三年前ぐらいでしたかね〜。市井に質の悪い遊びが流行ったんです」
    「質の悪い遊び?」
    「はい。最初は、我々仙師の身体に触れるとご利益があるって軽いものだったんです」
    それは若い娘たちを中心に始まった。
    元々は仙師に恋焦がれた娘が転んだ所を偶然意中の仙師に助けて貰い、それがきっかけで二人は縁を結んだというどこにでもあるような話だった。
    「それが広まると、仙師に触れると好きな相手と上手くいくようになるって噂が流れ、やがて商売が回りだしたとか、腰が痛いのが治ったとか、絶対ちがうだろ!? ってことも囁かれ出したんです」
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