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    ちょりりん万箱

    陳情令、魔道祖師にはまりまくって、二次創作してます。文字書きです。最近、オリジナルにも興味を持ち始めました🎵
    何でも書いて何でも読む雑食💨
    文明の利器を使いこなせず、誤字脱字が得意な行き当たりばったりですが、お付き合いよろしくお願いします😆

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    ちょりりん万箱

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    記念すべき魔道祖師小説1弾

    #魔道祖師
    GrandmasterOfDemonicCultivation

    白い衣季節が変わり、またあの時期が近づいてきた。
    年に一度、姑蘇藍氏で開かれる仙家世家の子弟を集めた座学である。
    姑蘇藍氏の座学は習得すれば修師としての格が上がると世間では認識されていた。
    それ故毎年、参加したい者、参加させたい親は後を断たない。
    藍啓仁が行う座学は元々、世家を対象に行っていたが、それ以外からの参加希望の声が多く、ならばと広く募集したところ多くの参加希望者が名乗りを上げた。
    ただ人数にも限りがあり、各仙家からの推薦と同時に学科試験を行い、毎年の参加者を決めていた。
    ところが、今年は恐ろしい確率に跳ね上がった。
    理由は明白で、姑蘇藍氏の第二公子の藍忘機が仙督になったからである。
    権力に阿るのは人の常で、これを機会に姑蘇藍氏と強いて言えば藍忘機との繋がりを持ちたいと考える輩がこぞって押し寄せた。
    弟子たちは不眠不休の日が続く程の対応におわれ、試験に至っては3日間という未だ前例のない長い期間になった。
    成績の良かった者と名家の者を合わせた20名程が決まり、各自に招待状をだし終えたのが座学が始まる2週間前。
    遠い場所から来る者にはギリギリかもしれない。
    「今年の試験、恐ろしかったな」
    襷で袖を縛り、口に白い布を付け、はたきでパタパタと埃を叩き落としながら藍景儀がうんざりと言う。
    若い弟子たちは夜狩りの合間に、雲深不知処内にある寮の掃除をしていた。
    ただし、これは自分たちの寮ではなく、今度座学に来る者たちの寮だ。
    「そうそう、もう目の色が全く違ってたよな」
    「本人だけじゃなく一族を背負ってるようで、見ていて可哀想だったよ」
    監督官として試験に立ち会った弟子はその場の異様な緊迫感をまた思い出す。
    「そんなに?」
    監督官にならなかった弟子たちは興味津々で尋ねてきた。
    「途中で意識を失ったり、わからない問題に青ざめて倒れる者もいた」
    「俺が見たのは、目の焦点が合ってなくて白紙で出した者だよ」
    ひええとどこからともなく声が上がる。
    「ほとんど何を書いてるかわからない奴もいた」
    「その中で合格したものって凄いんじゃない?」
    掃除の手を止めてみんなでヒソヒソ話す。
    そこに外に布団を干しに行っていた藍思追が戻ってきた。
    「サボってないで、掃除をしないと含光君に叱られるよ」
    部屋の一角に集まり思案顔の仲間に声をかける。
    だが話に夢中で誰も聞いていない。
    藍思追はやれやれとため息をつくと、その輪の中に入ってない窓枠を拭いていた弟子に近寄り、自分も雑巾で拭き始める。
    「間違いなく頭と度胸はあるだろうな」
    藍景儀が断定する。それに皆がうんうんとうなづいた。
    「下手をすれば、景儀よりも優秀かもよ?」
    「言えてる!」
    仲間のからかいに、はあ!?と口を覆っていた布を取り、藍景儀は腰に手を当てた。
    「姑蘇藍氏の若手の希望の星と言われた俺だぞ。座学を習い始めたばかりのひよっこに負ける筈がない!!」
    「希望の星って思追のことだろう?」
    「おまけに、はたきを持ったまま偉ぶられても説得力がないというか何と言うか」
    ぷぷっ、クスクスと忍び笑いが各自から漏れる。
    雲深不知処は大声では笑えない。
    「見てろよ。俺と思追はいつか含光君のお役に立ち、お支えするんだ!」
    ほぼ口癖に近い藍景儀の台詞にみんながはいはいと返した。
    「含光君をお支えするのはいいけど逆に足を引っ張るんじゃない?」
    「魏先輩程のお力がないと無理だって」
    みんなの脳裏に黒い服の美丈夫が浮かぶ。
    尊敬する藍忘機が一目置く、詭道術法の祖師・夷陵老祖こと魏無羨。
    知識や経験量、分析力等どれをとっても到底かなわない。
    そこに明るい性格で面倒見もよく頼れる兄貴ときている。
    天はこの人にどれほどの恩恵を与えたんだ!?
    やはり顔のいい人は得だな!!とちょっとやっかみも混じった印象を弟子たちは持っていた。
    本人が聞けば、その代わり誰も経験したことない程苦労があるんだぞ!と怒るだろうが。
    でも彼らが魏無羨を大好きなのは間違いない。
    「俺はいつか魏先輩を越える!」
    握り拳を天に突きだし、藍景儀が吠えた。
    おお~と仲間から感心の声があがる。
    「藍景儀、いい加減にしないと時間内に終わらないよ」
    藍思追がしびれを切らした時、キイッと入口が音をたててゆっくり開く。
    「含光君!」
    突然に現れたのは彼らの師匠である藍忘機だった。
    弟子たちは、掃除道具を持ったまま師匠の前へと集まる。
    藍忘機は弟子の前に立つと部屋をゆっくり見回した。
    「どういうことだ?」
    どうしてまだ掃除が済んでないのだ?と言われたと思った藍景儀たちは一様にすみません!と謝った。
    「私がおしゃべりをして皆の邪魔をしたのです」
    藍景儀が項垂れて一歩前に出る。
    口も悪くやんちゃな藍景儀だが、間違ったことや嘘は決して言わず、誤魔化そうとしない態度はみんなの信頼を得ていた。
    「否」
    ゆっくりと藍忘機は首を振る。
    師匠の否定に一同は訳がわからずお互いに顔を見合わせた。
    そういえば何か会話が噛み合ってないように感じる。
    「どうして、君がここにいる?」
    藍忘機の視線が自分たちを通り越し背後に注がれていることに気がついた。
    「・・凄いな、藍湛、よくわかったな」
    ここにいるはずのない人物の声に、みんなが振り返った。
    だが、どこにいるのかわからず誰もが首を傾げる。
    「魏先輩?」
    この場には姑蘇藍氏の校服を着た者しかおらず、魏無羨の黒い服は見当たらない。
    すると、一団の一番最後尾に立っていた者が、ゆっくりと顔から布を取った。
    布を取るといつもの人懐っこい笑みを浮かべた魏無羨が現れ、弟子たちの驚いた様子にとても満足したのか、軽い足取りで藍忘機の隣に歩いてくる。
    「どう?わからなかっただろう?」
    腕を広げてくるりとその場で回り、姑蘇藍氏の校服を披露する魏無羨にコクコクと弟子たちは頷く。
    黒い服と赤い巾をはずしただけで、こんなに自然に溶け込むとは。
    「行こう、魏嬰。君がいると皆の邪魔になる」
    さっさと身を翻し扉の向こうに消えた含光君に魏無羨も弟子もキョトンとなる。
    弟子は師匠に怒られることを覚悟していただけに、どういうことだ?と首を傾げた。
    「なに、あれ。ここの監視に来たんじゃないのか?」
    みんなの疑問を代表して言った魏無羨だが、答える者はすでに外で待っていた。
    「もっとみんなの話を聞きたかったのに」
    ちえっ、と口を尖らせる魏無羨の瞳が意地悪くキラリと光る。
    「早く俺を越えろよ、藍景儀」
    視線を向けられ、にやりと笑われた藍景儀はハッと身体を震わせた。
    さっき俺は何と叫んだ??
    「魏先輩、あれはっ!」
    「いいって、向上心があることは大事だ」
    意地悪な笑いから柔らかい微笑に変わり、これ以上の謝罪はいらないと扉へと向かう。
    魏無羨の背に藍思追が慌てて言葉をかけた。
    「掃除が終わりましたらご報告に参ります」
    「わかった、藍湛に伝えておく」
    ヒラヒラと手を振って、風の様にその姿が消えた。


    「確認に来たんじゃないのか?終わったら思追が報告に来るって」
    スタスタと先を行く背に問うが答えず、その歩調も変わらない。
    「藍湛、何か俺、怒らせた?」
    無言の雰囲気にいたたまれず、怒っているのならば取り敢えず謝ろうと魏無羨は重ねて問う。
    手を伸ばして藍忘機の腕を掴もうとすると、突然、前を行く背が止まる。
    「うわっ、ぷっ!」
    ドンと背に顔を打ち付け、魏無羨は後ろによろめいた。
    「急に立ち止まるなよ、藍湛!」
    鼻を押さえてあたたと抗議すると、藍忘機はボソリと何かを呟いた。
    「は?」
    聞こえずに魏無羨は首を傾げる。
    「昔の君を思い出した」
    どこか懐かしそうな声の響きに魏無羨は、そうだったなと返す。
    「座学の衣装、白だったな~。肩に雲夢江氏の家紋が入ってた」
    幼馴染みの江晩吟とその姉の江厭離と3人で初めてここに来た時のことだ。
    「初めっから藍二公子はケンカ腰で参ったよ」
    藍忘機を追い越して、魏無羨は前を歩き、それを追うように藍忘機は歩き出す。
    「結界を破り、門限を破り、尚且酒を持って塀を登るからだ」
    「あんな綺麗な月夜に酒を飲まずにはいられないだろう?おまけに姑蘇の銘酒、天子笑だぞ?」
    さも当然とばかりに言う魏無羨に藍忘機は苦笑を浮かべた。
    「君は本当に自由な人だ」
    「おっ、それは誉め言葉?」
    こくりと藍忘機はうなづく。
    素直な態度にアハハと魏無羨は笑った。
    「ずっと見ていたからわかる」
    「嘘だね、あんなに嫌がってたじゃないか」
    ぴょんと石を飛び越えた魏無羨の白い服の裾が跳ね上がる様は、藍忘機を見つけてはこうやって裾を翻し、追いかけてきていた昔の魏無羨の姿と重なる。
    「でもやはり藍湛は誤魔化せないかー。結構みんなが気がつかなくていいと思ったんだけどな」
    何でバレたんだ?と首を傾げる魏無羨を、藍忘機は当然だろうと思う。
    それは、今の君しか知らないからだ。
    私はずっと君を見ていた……
    衣服が変わろうと、その身体が違う者であろうと君の魂は変わらない。
    「たまには校服を着てほしい」
    ぽそりと呟いた藍忘機の言葉に、魏無羨は振り返りへへっと笑った。
    「気にいった?藍湛がそう言うならそうしよう」
    再び手を広げて服を見せてくれる恋人を動きごと抱きしめる。
    「ちょっと!藍湛!」
    「江晩吟や聶懐桑みたいに君と戯れてみたかった」
    慌てて暴れる魏無羨に藍忘機は昔できなかった事ができて胸が暖かくなる。
    目の端に翻る白い衣。
    もう過ぎてしまった懐かしい日々に思わず帰れた一時。
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    DONE※シブに魏嬰の分と結をまとめてUP済。
    このあとは結書く。
    実は龍の化身である藍忘機の話藍湛視点


     藍忘機は緊張していた。何故なら魏無羨と恋仲になれたのはいいが、絶対に受け入れてもらわねばならない大きな秘密があったからだ。思いが通じ合ったのは天にも昇る心地であったが、これから明かさねばならない秘密が、藍忘機の心を深く沈めていた。

     藍忘機は龍の化身である。

     いや正確に言うならば龍神の使いなのである。藍氏本家直系は龍神の使いとして代々、人の身と龍の身、この二つの身を持っているのである。

     しかしそれを知るものは直系の人間とその伴侶以外いない。

     外弟子は当然ながら、内弟子でも知らぬことだ。しかし逆に伴侶は知らねばならない。知って、この事実を受け入れなければならない。何故ならば直系の子との間に子を産めば、それは龍の身となって産まれてくるからだ。大抵の者は自らの産んだ子を見て発狂する。母が二人も産めたのは今にして思えば奇跡だと、否、二人目までは大丈夫な者も多いのだそう。次こそはと願いその希望が叶わなかった時、ぽきりと心が折れてしまうと、いつだったか聞いた。それでも愛しまぐわうならば知らねばならない。龍の精を受け入れれば、男女に関係なく孕んでしまうのだから。
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