藍曦臣と安学逸と師兄の三人は厳しい表情で額を突き合わせていた。
安学逸が昨晩のうちに臥室から見つけ出した呪織は十点にも上った。牀榻の帳子にはじまり、裁断されていて効力は失われていたものの、敷布や箱の貼布、壁掛けの一部にもなっていた。
「上等な織物でしたから、家僕も宗主の房室にと使ったのでしょう」
眉間のしわをもみながら師兄が言った。彼は今朝になって家僕から織物の行方を聞き出して、すべてかきあつめた。幸い、半分は反物のままだった。
「一番大きな呪紋は帳子ですね。これはいったいどのような効果がありますか」
「夢と現実を錯誤させる呪紋です」
「ああ、やはり……」
師兄が両手で顔を覆った。
「呪織が霊力を少しずつ吸い上げて、どんどん寝ている時間が延びます。そのうちに主人は衰弱する」
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