「…アダム、元気にしてっかな」
ふと俺は懐かしい名前を口に出した。
アダムに別れを告げられてから一年半が経っていた。
最初は落ち込んでいた薫も徐々に元気を取り戻していて、そんな薫にアダムの名前を出すのは最低だなと思ったけど言葉は取り消さなかった。
あの後高校を卒業した俺たちはそれぞれ大学と専門学校に進学して、別々の道を歩き出していたけど、夜になったらボードをもっていつもの場所に集うのは今も昔と変わらない。
「……」
薫は何も答えなかった。
けど、その目は悲しげに伏せられていた。
「薫、話があるんだ」
俺の言葉で凹んでる薫、悲しんでる薫、今すぐ抱きしめてやりたいくらいだ。
でも、それはダメだ。
だって俺たちは幼馴染だから。
2001