ウィス→マナ 俺がこのシンヨーの国に迷い込んでから何日経ったのか…日付の感覚がこの国同様に緩やかに過ぎていく日々は、新鮮だ。
倒れていた俺に声を掛けたアサツキの図書館に今日も脚を運ぶ。国の伝承や歴史書の中に俺のように他国から迷い込んだ事例など手掛かりになるものがないか…ただ、その探す行為を連日続けていてもこれと言った収穫がない。となると途方もなく思えてくる。
「ウィスト!今日も来たんだね。調子はどう?」
図書館に入るとアサツキの快活な声が聞こえた。人当たりの良い青年だ。誰とでも仲を深めていく事ができるのだろう。
「ううん…全っ然…成果無し。今日は、何もしたくない。」
そう言って、机に突っ伏す俺を眺めて「そっかぁ〜」と苦笑しているだろう声のトーンと表情をしている事が見もせずとも分かる。
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