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    ato_dream_

    夢小説を書いております。主にenst凪砂(その他も)

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    enst凪砂夢

    雨の日に彼女が傘を持って待っていたら車と自分の傘の選択肢を全て無視して彼女と一緒に相合い傘して帰ってくれる凪砂くん

    #enstプラス
    enstPlus

    雨の日 乱凪砂 帰宅しようとすると、雨が強まっていた。今日は雨だとわかっていたから幸い折り畳み傘を持っている。
    「閣下! 雨も強くなってきましたし、車を用意致しました!」
    「ありがとう、茨」
     エレベーターから降りてエントランスへ向かうと、傘を持った彼女が外の様子を伺いながら待っていた。手には傘がある。
    「おや? 彼女は今日休みのはずでは……」
    「茨」
    「アイアイ! 何でしょうか?」
    「車、出さなくても良い」
    「え? 閣下!」
     茨には申し訳ないけど、彼女が迎えにきてくれたことに喜びを感じて思わず走り出す。
    「あ、凪砂くん! 雨だから迎えに来――」
     嬉しさのあまり抱きしめ、君が発する言葉を遮る。
    「な、凪砂くん? ……離して?」
    「……嫌」
    「こんな所で抱きしめないの!」
    「来てくれたんだね、ありがとう」
    「今日、雨だって伝えなかったから傘持っていかなかったかなと思って」
     せっかく来てくれた君に対して持っていた、なんて言えずに嘘をつく。そんな時、彼女が傘を一本しかもっていないことに気づく。その意味をすぐに理解できた。
     以前『相合い傘』というものがあることを何かの本で読んでいたことがある。これは君なりの甘えなのかもしれない。そう思うと笑みが溢れる。
    「もう、聞いてるの?」
    「ふふ」
     君は私に新しい感情を芽生えさせる。君といると本当に飽きないな。怒っているように見えて照れている、抵抗してるように見えて優しく撫でてくれている。
     君の言動一つひとつが私にとっては真新しく、全てが愛しくて堪らない。
    「……えー、そこのお二方? 公共の場でそのような行動は控えていただきたいのですが」
    「ごめんね! ほら凪砂くん離れて!」
    「……疲れたから、君に癒されたくて」
    「そっか。お疲れ様……じゃなくて! 外でくっついたらダメ!」
    「照れてる?」
    「照れてないよ」
    「ふふ、照れているね」
    「……疲れてるでしょう? 早く帰ろう」
    「うん」
     耳まで真っ赤な君は私の手を取って歩き出す。君の手は冷たく、長い間待っていたのかもしれない。私の手を取って「凪砂くんの手、暖かいね」と微笑む君。その笑顔を見るだけで疲れが徐々に薄れていく。
    「私が傘を持つから、君は私に寄りかかっていて」
     小さく頷く彼女の顔は林檎のように赤く染まっていた。その表情でさえ、私に向けたものなのだから愛おしい。
     いつから待っていたのだろう、待っている間何を考えていたのだろう。早く君から聞きたい。
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