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    ろじーにゃ

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    ろじーにゃ

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    還る場所/レオあん(付き合って半年くらい)

    ちまちま書いてたやつ。ろじはおにいちゃん永レオがすきなんじゃよ....

    #レオあん
    leoPlan

    「はい、没収〜」
    「!」


    今まで延々と向き合っていた書類がいきなり消えた。おそるおそる顔を上げると、風呂あがりの月永先輩がわたしの書類を手に持って笑顔で見下ろしていた。

    ーー叱られる、と瞬時に思った。

    目もとはやさしいし、口角もいつもとおなじように上機嫌に上がっている。口調もいつもどおり楽しそう。他人から見ればそう思うだろう。けれどわたしには全くそうは見えない。目の奥が笑ってなくて不満がにじんでいる。
    月永先輩のマンションに久しぶりに泊まりに来たのに、わたしは恋人が風呂に入っているあいだにコソコソと隠れて仕事をしていた。まるでわるい事をしたのが親にバレた子どもみたいにいたたまれない。けど。

    「あ、あともう少ししたら止めるので...」
    「あんずの”もう少し”は3時間!下手したら徹夜!」
    「うっ」

    ...図星なのでぐうの音も言えない。先輩こそ人のこと言えないのに、と不満を漏らしたくなったけど、わたしを心配してくれているのだ。大人しく黙る。

    「さっきからずっと名前呼んでたんだぞ〜?ぜんぜん聞こえてなかっただろ。今日は仕事はもうだめ〜おしまい!働きすぎ!閉店ガラガラ〜!ぴっしゃーん!本日の仕事は終了いたしましたー!」
    「あ、ああ〜......」

    先輩は無常にもリビングの机にひろがっている書類を強制的に片付けてしまった。それを見て満足そうに頷くと、床に座っているわたしの後ろにあるソファに腰かけた。
    ...ちょっとだけ、ほんのすこしだけ居心地がわるい。


    「ん、」


    ソファに座った月永先輩が自分のとなりをポンポンと叩いて微笑んだ。こっちにおいで、の合図。付き合う前からすでに、彼はわたしを呼ぶときこうしていたと思う。誰かがいても、いなくても。
    わたしは立ち上がって、先輩のとなりに吸い寄せられるようにおとなしく座った。座った、というよりかは、在るべき場所に収まった、という表現が正しい。それだけこの人のそばにいるのが当たり前になってしまったから。

    わたしがとなりに来たことで月永先輩は目に見えて機嫌が良くなった。ソファの背もたれに肩肘をついて、片手をわたしの頬に添えて、やさしく、だけど有無を言わせず自分の方へ向かせた。

    抗えるのに抗わない、むしろ彼に触れられるのを望んでいる。胸が高なる。先輩はわたしの感情が分かっているみたいに、満足そうに目を細めた。先輩と視線をあわせたり、触れられるとまるで丸裸にされたみたいで、はずかしい。
    目を逸らそうとしたら「だーめ」と阻止された。

    頭を撫でられて、流れるような動作で髪を耳にかけられる。キスされるのかと思ったら、あごの下を人差し指で撫でられた。ペンだこで硬くなった、魔法のゆびさき。すこしくすぐったい。

    「いい子いい子〜」
    「...猫にするやつですよね、これ」
    「あんずはかわいい猫ちゃんだからな☆」
    「ねこちゃん.....」

    月永先輩はわたしをよく猫だと言ってるけど、そういう先輩はまるで犬だと思う。わたしにくっ付いてないと元気がなくなるくらいスキンシップが好きだし、愛嬌があって人なつっこいし、結んでいる髪がしっぽみたいだから。

    あごの下を絶妙な感度で滑らせる先輩の指が気持ちいいので負けた気分になってしまう。なんとなくリトル・ジョンの子どもたちを思い出した。先輩は動物の扱いが上手いのだ。わたしは動物じゃないけど、撫でられている猫の気持ちが分かるような気がする。
    そもそも妹さんを溺愛するお兄さんなのもあって、どうも子ども扱いというか、それを通り越して赤ちゃん扱いされている気がしてならない。学生時代から片鱗はあったけど、付き合ってからは顕著である。可愛がられすぎて、いつかだめになってしまいそう。いろんな意味で。

    「目細めてるぞ〜気持ちいい?」
    「......きもちいい、です」
    「ははは素直だなぁ。そういうとこ大好き。いい子。かわいい」
    「ッ!」

    先輩はあごの下を撫でるのをやめたかと思えば、するりと髪をかきわけて頬に両手を滑らせきた。おおきな手のひらで頬をつつまれて、ふにふにと耳をマッサージされる。くすぐったいけど先輩の温度があたたかくて気持ちいい。しっとりしたシャンプーの匂いと先輩の匂いが近づいて、どうにかなってしまいそうだ。

    わたしから仕事を取り上げる時にいつもしてくれるのだけど、顔はちかいし、手つきは愛撫を思い出すし、正直へんな気分になるからやめてほしい。それを狙ってるんだろうけど。先輩はわたしの反応をみて満足そうにやにやしてしている。

    「ほーら、あんずはどんどん気持ちよくなあ〜る。お風呂に入って、眠くなって、ふかふかのベッドでおれに抱っこされて寝たくなぁ〜る」
    「もう十分です.....これ以上されたら、きもちよすぎて、おふろ、入れない...」
    「あんず、そのセリフえっちだな」

    レオさんの魔法の手でぐにゃぐにゃになってしまって、気がついたら彼の膝の上に向かい合うように乗せられていた。
    なんだか気持ちよさと一緒に数日ぶんの疲れがどっと押し寄せてきて、そのままおとなしく身体をあずけた。首筋に鼻をすり寄せて、先輩の匂いをかぐ。いつも使ってるシャンプーと無邪気なお日さまみたいな匂い。それと、ほのかにくらくらするような大人な匂い。
    だいすきな匂いといっしょにすっぽりと抱えこまれて、頭を繰り返し撫でられる。甘やかされている。とてつもなく。すごくうれしいけど、なんだかちょっとくやしい。

    「おつかれだな〜......正直密着されてると興奮してきちゃったんだけど、疲れてるあんずに無理させたくないのでここは我慢する!ーーお風呂入れる?もうねむい?」
    「ねむい...」
    「じゃあ明日の朝シャワー浴びるということで〜」

    身体の浮遊感とともに、ひょいっと簡単に抱え上げられた。学生時代から背も伸びて身体つきがしっかりしたから男のひとみたいだ。今でも童顔だし、可愛いのは変わらないけど。本人に言ったら不機嫌になるから内緒。
    慣れというものはおそろしく、わたしはしっかりと彼の首に無意識に手をまわしている。

    そのまま寝室へ連れて行かれて、その先輩はふにゃふにゃのわたしにささっとパジャマを着せてしまった。服を脱がすのも上手ければ着せるのも上手。ファンが聞いたら卒倒するとおもう。良い意味とわるい意味で。付き合ってることは絶対に秘密だからおそろしく感じる。

    ...レオさんはたまに「あともう少しの辛抱」と言ってわたしの薬指を愛おしそうに撫でている。わたしもその日が来るのをずっと待っているのかもしれない、なんて。


    「あんず、おいで」
    「...ん」

    いっしょにベッドのなかに入ると、すっかり抱き枕のように抱え込まれてしまった。ぬくぬくとあたたかい先輩の体温にぎゅっと包まれた。どんな毛布より安心する。
    ふと思い出して先輩の髪に手を伸ばせば、髪は自然乾燥してしまっていた。仕事をさっさと手放していれば、いつもみたいにドライヤーで乾かしてあげられたのにな、と後悔した。
    すると、わたしをあやすみたいに先輩がまぶたにキスをしてくれた。そしてふふっと微笑みかけてくれたから、胸がきゅうっとなった。

    「つきながせんぱい」
    「んー?」
    「だいすき」

    くちびるにそっと触れるだけのキスをした。私なりのせいいっぱい。でも、気持ちが伝わるように。
    わたしからするのは珍しいから月永先輩は目をまるくして驚いていたけれど、すぐにとても嬉しそうに笑って、わたしをぎゅうぎゅうに抱きしめてキスのお返しをくれた。わたしよりもはるかに大きな、あふれるほどの愛。

    「おれもだよ。あんず、大好き。愛してる」

    先輩のことばが、存在がうれしくて、胸がいっぱいになって、返す言葉が出てこない。返事代わりに先輩の胸元にすり寄ると、髪を梳いてくれた。

    目を閉じれば耳元でメロディがきこえた。先輩がうたってくれる、わたしだけの子守唄。あんずのうた。
    透き通った声が鼓膜をやさしくなでる。まるでゆりかごの中にいるみたいだ。

    このぬくもりを手放したくない、ずっとそばにいてほしい。あなたがいつも言ってくれるみたいに、わたしもいつかあなたに言えるかな。喜んでくれるかな。きっとそう。そうであってほしい。

    わたしはつよく願って、まぶたを閉じた。
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    「!」


    今まで延々と向き合っていた書類がいきなり消えた。おそるおそる顔を上げると、風呂あがりの月永先輩がわたしの書類を手に持って笑顔で見下ろしていた。

    ーー叱られる、と瞬時に思った。

    目もとはやさしいし、口角もいつもとおなじように上機嫌に上がっている。口調もいつもどおり楽しそう。他人から見ればそう思うだろう。けれどわたしには全くそうは見えない。目の奥が笑ってなくて不満がにじんでいる。
    月永先輩のマンションに久しぶりに泊まりに来たのに、わたしは恋人が風呂に入っているあいだにコソコソと隠れて仕事をしていた。まるでわるい事をしたのが親にバレた子どもみたいにいたたまれない。けど。

    「あ、あともう少ししたら止めるので...」
    「あんずの”もう少し”は3時間!下手したら徹夜!」
    「うっ」

    ...図星なのでぐうの音も言えない。先輩こそ人のこと言えないのに、と不満を漏らしたくなったけど、わたしを心配してくれているのだ。大人しく黙る。

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