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    にまにま

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    にまにま

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    結構前からいばあんにはまり、すぐ書き始めた文です。書き終わる気がしないので少しだけモチベアップのために上げます。

    #茨あん
    thornyProposal

    未定「好きです、あんずさん」
    何度目の告白だろう。ESに入ってからというもの、こういうのが増えたと思う。
    今回の男性は以前2winkのCMで一緒になった人だ。確か…ADさん。
    普通、こういうのは断るべきなのだろうか。別にこの人が嫌いなわけでもないし、振るのは可哀想だから、とかそういう憐れみでもない。
    「ありがとうございます、これからよろしくおねがいします」
    愛がどんなものか知りたいから、私は色んな人とお付き合いをする。
    そんな私を見て、綺羅星たちは幻滅するだろうな。


    私、ことESのプロデューサーのあんずは愛に飢えていた。といえば聞こえはいいだろうか。
    まぁ実際、そういうところだ。高校ではロクに恋愛だなんてしてこなかったし。それでも学生時代を後悔だなんてしてないけれど。
    今までそういうのに触れてこなかった分、高校を卒業してESに就職してから何かが壊れてしまったんだろう。
    見た目もそんなに良くない私に意外にも想いを馳せてくれる人はいるらしく、恋愛初心者の私は初めての彼氏をつくった。
    まぁそこから色々あり、色んな人と付き合っては別れを繰り返していた。あ、ビッチとか、そんなんじゃないですよ。自分だって女だし、誰かと付き合ってぬくもりを分けてもらいたい。それでも遊び歩く暇なんてないし、時間があれば仕事か睡眠時間に当てたい。
    そんな生活に相手の方は満足するわけもなく、振られてしまうのだ。いつも。
    告白されては別れ、また告白されては別れを繰り返すのだ。一番長いのは…一ヶ月?いや、2ヶ月かもしれない。
    「愛、ねぇ」
    午後の人影もない食堂で、それでも周りに聞こえないよう、小さな声で呟いた。
    私は多分、おかしいんだと思う。
    彼氏が手を握ってくると、途端冷める。キスをされると、気持ち悪くなる。別に嫌いなわけじゃない。だけどなぜか、普通の恋人のその距離感が、私には合わないらしい。話していると楽しいし、まぁそれなりに、ドキドキもする。でもそれだけで、私に触れられると、拒絶反応が出てしまうのだ。
    なんか違うな、と思ってしまうのだ。別に誰かと比べてるわけでもないんだけれど。
    この違和感、こいつを解消しない限り、私は結婚なんてできないと思う。
    「こんなところで仕事ですか?プロデューサー殿」
    真上から声が降ってきた。
    振り返るとそこにはコズプロの副所長。
    またの名を、Edenの七種茨さん。
    今の、聞かれてた?
    「七種くん…実は情けないことに、今日は帰って休めって言われたんだ。気遣いは嬉しいんだけど、何もしないでいるのは落ち着かないから、ちょっとだけここで仕事してる。でも、なんか仕事も手につかなくて」
    「あなたともあろう御方が悩み事ですか?女神様と謳われるあなたを悩ませる御方でもいらっしゃるのでしょうか!あぁ気になるっ!自分のような汚れた人間には到底理解できないんでしょうけどね!あぁっそういえば、また恋人ができたそうじゃありませんか!いやぁプロデューサー殿の美しさには何人たりとも抗えませんからね!その困ったお顔もお美しい!恋人がいながらも仕事をこなすなんて自分には到底できません!あぁすみません!自分としたことが長話であなたの貴重な時間を奪ってしまいました!本当に申し訳ないっ!お詫びに夜、お食事でもいかがですか?もちろん!お代は自分が払いますので!」
    「いえ、今日は私…」
    「あぁ!これまた自分としたことが!恋人がいる女性をそう易易と誘うものではありませんね…!重ね重ね申し訳ありません!あぁ、もうこんな時間ですか?自分、これから会議がありますので失礼させていただきます!あっ、困ったことがあれば、いつでもご連絡くださいね?自分、プロデューサー殿のためとあらば光の速さで手助けに参ります!それではまた〜!」
    敬礼〜☆とのこして七種くんは颯爽と去っていった。
    恋人ができたなんて、言ってないのに。別れたとも言ってないし。
    つくづく食えない人だ、と思う。彼の話術は目を瞠るものがあるが、度が過ぎると正直鬱陶しい。本人には絶対に言えないけど。
    女神様、だなんて。久しぶりに聞いたかもしれない。あんまりいい気しないんだけどなぁ、その呼び方。女神は男とほいほい付き合ったりしないだろうし。
    あぁ忘れてた。このあとは彼と用事があるんだった。レストランで食事、だったっけ?ちゃんとメイク、してかなきゃだめだよね。ちょっと、いや、かなり面倒くさい。



    ❖❖❖



    久しぶりにちゃんとしたメイクをしたから時間に少し遅れてしまった。こんなこと仕事なら絶対にありえない。あぁ、また仕事のこと。
    「ごめん、待たせちゃって」
    「いや、大丈夫」
    正直砕けた口調で話すのは少しむず痒い。いつも敬語で喋ってるからだろうけど。
    おしゃれな音楽が流れるレストランで私達はカチャカチャ音をたてて食事をする。会話は一つもない不協和音。
    う〜ん、これは。
    「あの、さ」
    「うん」
    「俺たち、別れよう」
    「………わかりました」
    やっぱり、別れ話だった。そうだともう少し早くわかっていたらこんなにバッチリメイクなんてしてこなかったのに。正直電話でも良かった。
    居たたまれなくなったんだろうか、彼はお代は俺が払っとく、と言ってそそくさと帰っていった。今回もあっけなく終わってしまったな〜なんて他人事のように思う私はやっぱりおかしいんだろう。今までで一番持ったほうだとは思う。
    メイク、ほんとに頑張ったのにな、服だって、可愛いの選んだのに。このまま着替えてメイクを落としてしまうのもなんだかもったいない。このまま仕事しようかな。ESは特にスーツ指定とかないし。別に職場に着ていってもおかしくない服だし。
    よし、そうと決まったら早速仕事に取り掛かろう。




    「あれ?あれあれあっれ〜?プロデューサー殿ではないですか!」
    「…七種くん」
    うげぇ、とつい出そうになった言葉は無理くり飲み込んだ。
    一番会いたくなかった人だ。昼間恋人との約束があるからと断っておいて、今ここにいるのはバチバチにメイクと服を決めた私。
    絶対に何か突っ込まれる。
    「ご予定があったんではなかったんですか?」
    「まぁ、その、早く終わって」
    別れました。だなんて教える義理はない。彼はただのアイドルで、同僚なんだから。
    あははと笑う私をよそに、七種くんはなにか考えていた。
    「それでは、自分にお時間いただけますか?」
    「…わかりました」
    断る義理もない。言っちゃえば本当は少し時間を持て余していたのだ。彼との約束に意外と私は浮足立っていたようで、仕事も少し空きがあったのだ。浮かれてたのかぁ、私。
    「とはいっても、今から予約は難しいので…」
    「あ、なら居酒屋行きません?」
    しまった。アイドル、ましてやあの七種くんが居酒屋なんか行かないよね。少しお酒を飲みたい気分だったから正直お酒が飲めたらどこでもいいんだけれど。
    「ごめん、やっぱり」
    「いいですよ」
    「え?」
    「居酒屋、行くんですよね?」
    「あ、はい」


    タクシーに揺すられて私と七種くんは居酒屋に向かう。あ〜私そういえばレストランでちょっと食べたんだった。吐きたくはないなぁ。
    窓の向こうを見て気を紛らわせる。視線を少しずらすと、窓に反射して映った七種くんが見えた。やっぱりどんな姿も様になるよなぁ。というか仕事はもう大丈夫なんだろうか。いつも夜遅くまで残ってるのに。
    「びっくりしましたよ、一瞬誰かと思いました」
    静かに、それでいてはっきりと彼の声は私の耳に届いた。
    「そんなにいつもと違いますかね」
    基本職場では隈を隠す程度のメイクをしている。アイシャドウだとかビューラーでまつ毛を上げてマスカラを塗る、なんてそんなことしてる時間があるなら寝たい。
    お洒落に興味がないわけじゃない。気分転換にメイク動画だったりSNSで可愛い服を見たりもする。その時間は楽しいし、仕事を忘れて没頭できる時間だ。気づいたら一時間ほど経っていて焦ったこともしばしば。何より私には瀬名先輩や嵐ちゃんといったモデルさんたちの教えもある。
    てっきり七種くんはまた女神がなんだの美しいだの目が開けられないだの、いつもの褒め殺しを言うもんだと思ってた。でもそれもすっかり鳴りを潜めて、なんか、ただの七種茨みたい。ただの七種茨ってなんだ。
    存外、彼も疲れているんだろうな。あ、今ガラスに反射した七種くんと目があった。なんとなく気まずくて目をそらす。綺麗な顔なんて高校時代に嫌になるほど見たのに、七種くんだと妙に緊張してしまう。
    彼氏と別れた後だというのにこうしてまた七種くんと飲みに行っている。こんなのだから男好きだのなんだの言われるんだろうなぁ。裏で自分が色々言われているのは知ってる。今に始まったことじゃない。高校時代だってまぁそれなりに嫌がらせなるものはあった。大事な書類を隠されたときなんかはちょっと、いやかなり怒ってしまったけれど。それでもアイドルに手なんて出してないからそこは褒めてもらいたい。いや、まず私がアイドルに手を出すわけがないんだけれど。
    「着きましたよ」
    ドアが開いて、外のキレイとは言えない空気が入ってくる。
    居酒屋と言ってもそのへんのじゃなくて、ちゃんとしたところだけど。
    「にしても意外だね、七種くんこんなところにも来るんだ」
    「まぁ、自分の立場上、こういうのは避けられませんからね」
    あぁそうだ、副所長だったっけ。
    今目の前でお酒を飲む彼は少しの違和感があった。
    と言っても、彼と食事、飲みに来るのはこれが初めてなんだけれど。
    高校生で、自分と同い年だった彼が成人した今、お酒をあおっている姿はやっぱりなんとも言えない違和感があった。
    「自分の話より、あなたの話をしません?」
    「え、私?」
    「失礼ではありますけど、単刀直入に聞きますね、恋人とお別れになりました?」
    やっぱり突っ込まれた。私の恋人事情なんて、そんなに気になることなのかな。
    彼は今、プロデューサー同士として、それとも同い年の同僚として話しているのだろうか。
    彼がそう思っていたとしても、私にはアイドルとしてしかきみは映らない。こんな話も、したくない。綺羅星の中には、あなたも含まれてるんだから。
    「うん、お察しのとおり、別れたよ」
    それでも話してしまうのは心のどこかで聞いてほしいという自分がいるからだろうか。よくわからない。
    「何人目ですか?あなた。結構な頻度で告白されてますよね」
    いつもの褒め殺しはどこに行ったのやら、彼は言いたいことだけを言う。まるで、友達みたいに。
    「え、ちょっとまってよ………う〜ん……ごめん、わかんないや」
    つられて私も友達みたいに話してしまう。砕けた口調は苦手じゃなかったのか。
    多分、お酒が回ってきてる。ゆっくり、じわじわと、お酒独特のなんとも言えない気持ち悪さが体を巡っていくのがわかる。
    「うわ、えげつないですね、あなた」
    「七種くんには言われたくないかな」
    「は?」
    何いってんだこいつ、みたいな顔して私を睨みつける。そんなににらまないでよ、言葉の綾じゃん。
    「七種くんはさ、今までいっぱい私の事食事に誘ってくれたよね」
    「ええ、そうですね。毎回断られていましたが」
    「それってさ、なんで?」
    「…あなたの懐に入りたいだけですよ」
    「……嘘ばっかり」
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