「あ、おとーさん!ももかん!!」
「これはダメ。正守のだからね」
「にいちゃんばっかズルい!」
「正守は風邪ひいてお熱あるから今寝てるんだよ。桃缶食べて早く治してもらわないとだからね。良守は今日は我慢だよ。わかった?」
「……うん」(にいちゃんいいなぁ…)
台所に戻ってくる修史さん。床にしゃがみこんでる良守。
「良守?!どうしたんだい?」
「よしもりお熱ある」
「え?ほんと?どれどれ?」おでこに手を当てる。
「うーん、なさそうだけどなぁ」
「でも、よしもりお熱なの」
「ほんとに?じゃあお熱計ってみる?ちょっと体温計取ってくるね」
台所を出ようとする修史。慌てて引き止める良守。
「計んなくてだいじょーぶ。でもお熱ある」
「急にそんなこと言ってどうしたの?良守」
「お熱…あるんだもん…」
(ははーん、さては桃缶が食べたいのかな?さっき正守が熱あるって言ったからか)
「そっか。良守もお熱なのか。じゃあ桃缶食べて早く治さないとね」
「うん!!」
「はい。どーぞ!」
「やったー!!ももかん!」モグモグ
「お熱ある子は桃缶食べたら苦いお薬飲まないとね」
「えっ?」
「良守お熱あるんだもんね」
「もも食べたら、よしもりお熱下がったからお薬いらない!!ほら」おでこを出す良守。
「どれどれ?あ、ほんとだね」
「でしょ?」
「じゃあお熱下がった子は夕飯までいい子にしててくれる?」
「うん!わかった!」
台所のイスをおりて茶の間にかけて行く良守と、笑顔で見送る修史さん。