大学生になった良守は、一人暮らしを始める。アパートは裏会のあっせんで格安に住める物件を紹介してもらった。
大学からもほど近く自転車で通学ができ、お菓子作りのためキッチンは広め、風呂・トイレ別が最低条件だったため、古さは特に気にはしていなかった。
引っ越してきてみてわかったが、希望通りの間取りとはいえ、隣との壁は薄く声や音がよく漏れ聞こえてきた。
とはいえ、生活音程度ではあまり気になることもなく、平穏な学生生活を送っていた。
良守の部屋は2Fにあがって奥から2番目だったが、一番奥の部屋つまり良守の部屋の隣の住人が若干問題ありだった。
いつも夜明け近くに帰ってくるようで、扉の閉まる音などで目が覚めることもあった。その程度なら我慢できるものの、隣に良守が引っ越してきたことがわかっているはずなのにテレビの音量など気にする様子もなく、音が駄々洩れだった。
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