winner 基本、一度眠ったら起きるべき時間まで目を覚さない。それでもこうして予期せぬ刻に微睡むのは間近に居る恋人が所以だ。
本来、この布団ではなく隣の寝台で眠っているべきである恋人。
それが、時折こうして俺の隣に潜り込んで居る。
誘いではないのは百も承知だ、そういう意図があるとき、この恋人ははっきりと俺に言うのだから。
ひとり用の布団、身体の殆どをその外に晒して、それでも瞼を伏せたまま寝息を立てている背中を焦燥と共に撫でるのは何度目か。
今日は、まだ冷たくない、良かった。
安堵しながら腕の中に、しっかりと、抱き込みながら──
また負けてしまった、と、俺が臍を噛んでいるなど、お前は知る由もないのだろうな。
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