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    みおみお

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    みおみお

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    以前、イラストで描いたモノを、小話にしました。
    幽ちゃん曰く、蔵さんが子ども扱いしてくる!というイチャイチャ話?

    #幽蔵
    kura
    #腐向け
    Rot

    今は、甘んじてやるからな。「おいで」と柔らかな声で言われ、そのまま素直に蔵馬がいる場所へと体が吸い寄せられた。

    ✳︎ ✳︎ ✳︎

    今日も蒸すな。と思いながら垂れる汗を拭うと、じゃりっとした不快な感触。一応、玄関のチャイムを押す前にズボンの膝を叩くと、思っていた以上に細かい砂が舞った。

    日々の鍛錬。といえば聞こえはいいが、同じような趣味の奴と手合わせという遊びを楽しみ、汗に砂埃がくっついてどろっどろの状態で何も考えずに蔵馬の一人暮らしの部屋に寄れば、「とりあえず、シャワーでも浴びておいで」と回れ右の要領で浴室へと行くよう指示を受けた。
    シャワーを浴びている間に、蔵馬は…置いたままにしてある…オレの服を持ってきてくれた。脱いだままの服は、洗っておくよ、と洗濯機を回し始めるのだから、相変わらず手際が良い。「わりぃな、さんきゅっ」とシャワーの音にかき消されぬよう大きめの声で蔵馬に返事をして、オレは頭から爪先まで泡だらけの体をシャワーで洗い流した。汗も砂も落ちるとさっぱりして、気分は良い。
    蔵馬が用意してくれたタオルで体を拭いたけれど、今日はどうにも暑いから。蔵馬が持ってきた服は下だけ穿く。洗った髪はそのまま、肩にタオルをかけて蔵馬がいるはずの部屋の方へと向かった。
    部屋に入れば床に座って本を読んでいる蔵馬と視線が合う。蔵馬は読んでいた本を床に伏せると、「おいで」と手招きをしてきたので、そこに引き寄せられるようにオレは蔵馬の前にストンと座ったのだった。

    「髪の毛、拭いてあげるよ」
    蔵馬はオレの背中側に移動すると、わしゃわしゃとタオルでオレの髪を拭き始めた。
    窓から風が入る。ぱたぱたとカーテンが音を立てて、頭から首筋へと垂れた水滴に風が当たり、それが冷えて気持ちがよかった。
    タオルごしに蔵馬の繊細な指が、適度な力を込めてオレの頭皮を刺激する。その適度な刺激に、んー、と堪らず声が出てしまう。
    「まるで、犬みたいだね」
    くくくっと喉で笑いながら、蔵馬の愉快そうな声が聞こえてきた。
    「髪を拭いてもらうのは、結構気持ちの良いものだよね」
    ちょうど、耳の後ろ。そこをガシガシと拭かれ、ちょっと擽ったい。
    「まだオレが母さんと風呂に入るくらい幼かった頃。母さんがこうやって風呂の後には髪を乾かしてくれていたのが、懐かしいなぁ」
    首筋から頭のてっぺんに向かって、髪を掻き分けて頭皮を拭いていく。そのリズミカルな動きが心地よい。
    「毛繕いは気持ちが良いものだよ」
    そうだなぁ。気持ち良いよなぁ…。と、その言葉をそのまま流してしまいそうになった。しかし、ちょっと待て。と入ってきた言葉を頭の中で整理しようとしたけれど、そういえば蔵馬は元々は狐だった事を思い出した。キラキラと光を返す銀色の尻尾が頭に浮かび、オレの頬を撫でるように揺れる。ふわふわで柔らかい尻尾。そうか、毛繕いとかするんだ。今度、オレもやらしてもらおう。と納得し一人で約束をし、結局気にする事をやめようとした。いや、しかし、やはり待て。と思う。
    「おめぇーよぉー」
    頭をくいっと後ろに傾ける。オレを見下ろす蔵馬の穏やかな顔が見えた。
    「オレのこと、ガキだとおもってんだろ?」
    「ん?」
    髪を拭く手を止めて、首を傾げながら目を開いて訊いてくる姿に、あーこいつ可愛い、と思ってしまう。
    「小さなガキと同じ扱いで、オレの髪を拭いてんだろ?」
    「そんなことないですよ」
    やだなぁ。なんて言いながら笑うから、絶対に嘘ついていると思う。こいつは自分の笑顔の攻撃力と防御力を十分に理解しているから、こうやって人当たり良さげに笑って誤魔化しているに違いない。
    「いーや、幽ちゃんってば、泥だらけで帰ってくるし、髪も拭かずに風呂から出てきて、全く手が掛かる子なんだから。とか思ってるだろ?」
    「母さんでもあるまいし」
    そんな事、思ってないですよ。とはぐらかしながら、蔵馬の止まっていた手は乱暴にわしゃわしゃとオレの髪を掻き乱し、終いにはタオルを顔にかけてきた。
    おいっ!コラっ。と顔にかかったタオルを剥がそうとすれば、スルっと蔵馬の腕がオレの首に回る。背中に、ふわりと蔵馬が伸し掛かる。柔らかいシャツの生地が素肌に触れて気持ちが良い。
    「気持ちよさそうにしている君の声は、可愛いかったな」
    耳元で、そんなことを甘く囁かれたら。オレの中にあった意識は一気に弾けて消え、その空いたところに違う情がむくむくと膨らんでいく。結局、誤魔化されてあげる。
    「なぁ…」
    「ん?」
    後ろに伸ばした腕で蔵馬の顔を引き寄せて、そのくちびるを自分のくちびるで触れる。触れ合って、触れ合って、背中に乗る蔵馬が体を預けてきたように感じたから、その柔らかなくちびるを喰んで、くちづけを深くする。
    粘液が混ざる音と、蔵馬の熱の篭る息遣い。耳がその音に酔い、体に熱が灯る。体の向きを蔵馬の方へと変え、引き寄せた腕とは反対側から腰に背中にと腕を回すと、ぎゅと抱きつかれた。蔵馬の手が背中を掻いてくる。
    それに応えるように、吸い付いてくちびるを塞いでみるが、これだけではもう物足りない。
    さんざん堪能したくちびるから、ゆっくりと離れてみると、蔵馬の潤んだ翠色の瞳と視線が合う。たまらずもう一度、軽くくちびるに触れてしまう。
    「次は、おめぇのこと、気持ち良くさせてやる」
    雪崩れるように蔵馬を床に引き倒す。床にひっくり返った蔵馬はオレを見上げ、赤く腫れたくちびると潤んだ目を細めて妖艶に笑ってきた。
    「…お手柔らかに」
    耳に届いた蔵馬の声に、ずくりと欲が擡げる。オレは蔵馬の首筋に顔を埋めると、余裕をかます蔵馬のくちびるを吐息で黙らせた。
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    みおみお

    DONE以前、イラストで描いたモノを、小話にしました。
    幽ちゃん曰く、蔵さんが子ども扱いしてくる!というイチャイチャ話?
    今は、甘んじてやるからな。「おいで」と柔らかな声で言われ、そのまま素直に蔵馬がいる場所へと体が吸い寄せられた。

    ✳︎ ✳︎ ✳︎

    今日も蒸すな。と思いながら垂れる汗を拭うと、じゃりっとした不快な感触。一応、玄関のチャイムを押す前にズボンの膝を叩くと、思っていた以上に細かい砂が舞った。

    日々の鍛錬。といえば聞こえはいいが、同じような趣味の奴と手合わせという遊びを楽しみ、汗に砂埃がくっついてどろっどろの状態で何も考えずに蔵馬の一人暮らしの部屋に寄れば、「とりあえず、シャワーでも浴びておいで」と回れ右の要領で浴室へと行くよう指示を受けた。
    シャワーを浴びている間に、蔵馬は…置いたままにしてある…オレの服を持ってきてくれた。脱いだままの服は、洗っておくよ、と洗濯機を回し始めるのだから、相変わらず手際が良い。「わりぃな、さんきゅっ」とシャワーの音にかき消されぬよう大きめの声で蔵馬に返事をして、オレは頭から爪先まで泡だらけの体をシャワーで洗い流した。汗も砂も落ちるとさっぱりして、気分は良い。
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