幸せの朝 眩しさを感じ、目が覚める。カーテンの隙間からは、柔らかい光が入り込んでいた。ベッドに並んで眠っている恋人を起こさないよう慎重に寝返りをし、寝顔をじっと眺める。
昨夜は久しぶりの情事だったため、お互いが箍を外し激しく求め合った結果、躰は少し怠く感じた。素肌にサラリとした布団の感触を感じながら、幸せの怠さだと甘んじる。
(あ…、髭生えてる)
いつもは手入れをされて肌触りの良い頬に、髭が生えていた。恋人と肌を合わせるようになってから、己の頬には生えづらくなった髭の感触を楽しむように、指先で撫でながら触ると、眉間に皺を寄せて唸る。そこでやめれば良かったのだが、ついつい可愛く見えて髭だけでなく、厚みのある唇をふにふにと押して悪戯をする。
「ん〜〜……みのる、おれであそぶなよ…」
何時もは包容力が溢れる頼りがいのある恋人の、寝起きのふにゃふにゃした声音が可愛らしく思え、頬を緩めながら謝る。
「ん、将広ごめん」
「今、何時…?」
「5時過ぎだよ」
「まだ、寝れるな……ん、ほら、もっとこっちにおいで」
寒いだろ。と掛け布団を持ち上げて、こっちにおいでと迎え入れてくれる。怠い身体をモゾモゾと動かし、野辺の素肌とくっつく。温かな体温を感じながら、胸いっぱいに空気を吸い込んだ。
(優しい匂い。好きだなぁ…………あゝ、幸せだ)
何度もふたりで迎えている朝なのに、毎回幸せに思えるのは何改だろう。と考えながら、愛しい人の心音と寝息に耳を傾けつつ瞼を閉じた。
おわり