Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    Tyon。

    五悠を書いています。
    誰かに刺されば嬉しいです!

    @yon_472

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 67

    Tyon。

    ☆quiet follow

    五悠です。
    悠仁くんに触れられなくて悩む先生のお話②

    #五悠
    fiveYo

    いいよ② しばらく悠仁に会っていない。というか、高専に行っていない。低級呪霊のくせに、地方にまで僕を寄越す呪術界は本当に使えない。
     おかげで悠仁との横浜デートは実現していないし、ドライブデートも出来ていない。せめて、ドライブくらいは連れて行きたいな。

    「悠仁に会いたい…」

     2週間の出張を終えて、やっと東京の自宅へ戻ってきた。明日は土曜日だし、学生たちも休み。時刻は20時。スマホを取り出し、悠仁に掛けた。
     コール音の後すぐに、元気な声が迎えてくれる。

    『五条先生、お疲れサマンサー!』
    「悠仁もお疲れサマンサ〜」
    『あれ?先生、本当にお疲れ?』
    「2週間も悠仁に会えてなかったから、さすがにね〜」
    『本当?なら、今から会う?』

     意外にも悠仁の方からのお誘い。疲れた心身にはよく沁みる。

    『あぁ…でも、疲れてるもんな。やっぱり、ゆっくり休んで!』
    「悠仁に会ったら、疲れも吹っ飛ぶよ。今から迎えにいく」
    『まじ?分かった!』
    「校門前で待っててね」

     通話を終えて、すぐに支度をして家を出た。好きな子に会うための道のりは、心が弾む。
     悠仁の姿が見えるのを楽しみに、暗闇の中をヘッドライトで照らす。立派な筋肉を持った健康男児でも、好きな子を辺鄙な山奥で待たせるのは心配だ。
     徐々に車通りの減る夜道で、強めにアクセルを踏んだ。



    ◻︎◻︎◻︎



    ガチャ
    「五条先生、お疲れ!」

     校門に着き、悠仁が車のドアを開けて、元気に言ってくれる。これが見たくて、出来るだけ早く来たんだよ、僕は。

    「悠仁もお疲れ様」
    「車で来てくれて、ありがとうね」
    「悠仁に早く会いたかったからさ」
    「俺もだよ!」

     歯を見せニカッと笑う笑顔は、夜なのに辺りを明るくしてくれる。本当に疲れは吹っ飛んでいく。助手席に座った悠仁がシートベルトを閉めたのを確認して、アクセルを踏んだ。

    「先生、なんか良いことあった?」
    「んー?」
    「なんか嬉しそうだからさ」

     ドライブデートって初めてかも。その初めての相手が、大好きな悠仁なんだから嬉しいに決まっている。

    「そんなの、悠仁に会えたからに決まってるでしょ」
    「本当に?俺も先生の運転姿見れて嬉しい!」

     「かっこいい!」なんて今まで散々言われてきたはずなのに、悠仁に言われるのは特別だ。


     久しぶりに会ったからか、車中での悠仁はたくさん話をしてくれる。恵や野薔薇、先輩たちの話、コンビニの新作のスイーツが出てた話、たくさんの話を共有してくれる。
     会話をしていれば時間はあっという間に過ぎていく。程なくして、目的地に到着した。

     レインボーブリッジの夜景が、綺麗に見える場所。何かのTVか記事で夜景スポットとして取り上げられていたこの場所。
     男子高校生を相手に、こんなロマンチックな場所は場違いかもしれない。それでも、悠仁なら喜んでくれる。そんな気がして、ずっと彼を連れてきたかった場所。

    「すげぇ、きれい!」
    「でしょ〜。悠仁なら喜んでくれるかと思って」
    「うん!すごい嬉しい!ありがとう、せんせ!」

     喜ぶ顔を見れてよかった。何をしても笑顔で楽しむ悠仁を見れば、やっぱり好きだと実感する。
     
    (あぁ、キスしたい…)

     頬に触れようと手を伸ばした。
     しかし、それに気づいた彼が顔を背ける。

    「え…」
    「あっ!ごめん!違うんだ!」
    「…嫌、だった?今のは、最強の僕でも傷ついたんだけど」

     反射的にしてしまったという彼は、直ぐに弁解に入った。反射的にしたって言うのも傷つくんだけどな。

    「本当にごめん!嫌だとかじゃなくて…」

     口籠る悠仁が、薄暗い車内でも耳まで真っ赤にしているのが分かる。

    「……恥ずかしくって」

     いつも余裕な彼が、モジモジしながら話す。

    「俺さ、普段隠してるんだけど、先生のこと好きなんだよ」
    「…うん」
    「先生が思ってるよりだよ。すっごい好きなんだ」

     彼からの急な告白に、うまく言葉が出ない。すごく嬉しい。でも、これまで触れ合うのを避けられていたことが不思議に思える。

    「先生ってさ、強いし、見た目もかっこいいし、本当に最強じゃん。そんな手の届かない人を好きになっちゃって、近くにいれればそれだけで良いって思ってたんだ」

     そんなある日、告白された。答えは"YES"の一択。「いいよ」とすぐに返事を返した。
     でも付き合うってなんだろ、好きと付き合いたいって同じ気持ちなのだろうか?
     俺の好きって、アイドルを追う気持ちとは…少し違う。一緒にいれば安心するけど、家族とも違う。大きな背中を見ていると、愛おしさが溢れてくる。この人に触れてみたい。もっと近くで見ていたい。肌に、触れてみたい。こんな風に思うのは、俺が変だから?

     それに気づいた途端、僕が近くに来ると恥ずかしくなるようになったと悠仁は言う。

    「先生のこと好きだから…緊張しちゃって…」

     赤面する顔を両手で覆う悠仁。
     可愛いけれど、どうにかしなければ死活問題だ。この問題を対処しなければ、僕はずっと悠仁に触れられない。下心を彷徨わせる羽目になる。早く、悠仁を克服させなければいけない。

    「悠仁、なら今から慣れようか」
    「え?」
    「まずは、手を繋ごう。ここなら誰も見てないよ」

     悠仁の前に左手を差し出す。悠仁はその手を見つめて、戸惑うも右手を重ねてくれた。

    「…うん」
    「どう?嫌だ?」
    「嫌じゃない!でも、緊張する…ただ嬉しい…!」

     悠仁はまた余った手で、顔を覆う。耳まで真っ赤にしているし、握った手は熱い。それだけ彼が僕を意識している証拠だ。

    「じゃあ、今度は両手ね。はい」

     余った彼の左手の行き場を見つけてあげれば、悠仁の顔がよく見える。しかし、視線は泳いでいる。

    「悠仁、僕を見て」

     その視線を僕に向けて欲しくて、掛けていたサングラスを外す。悠仁の頬に触れ、こちらを見るように顎を持ち上げる。

    「くぅ〜恥ずかしい…」

     ギュッと目を瞑ってしまった。でもこれは、これでアリかな。
     唇に唇で触れた。

    「んっ?!」

     驚いて目を見開いた悠仁の瞳が、やっとこちらに向いた。

    「隙あり」
    「ちょっと!」

     緊張と驚きで潤んだ瞳には、クルものがある。早く次の段階に行きたい。

    「どう?一度触れちゃえば、なんて事ないでしょ」
    「…うん、まぁ。でも」

     そう続け、視線を這わせる悠仁を待つ。

    「今度はちゃんと、キス…したい」

     悠仁と視線を合わせ、近づく。近づけば、そっと目を閉じてくれる。そんな彼の唇に再び触れた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💘💘😍💯👏👏💴💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works