プロポーズの日のネタ〜カゲハン♀ver〜「貴方が欲しいの。ずっとずっと、貴方だけが欲しかったの、手に入れたくて私だけを見て欲しくて。お願い、私のものになって?」
そう、数多の戦いで少し硬くなりながらも柔く白い可憐な手で、自分の袖で見えぬ両手を握り込んで彼女はまるでこの面札に隠れた目が見えているかのように上目遣いで言ったのだった
◇◇◇
思えば自分はこの少女を幼少の頃より見知っている。
可愛らしい小鳥が囀る様に語り、自分に懐いているのだろうと察せれる程には常日頃より傍に近寄ってくるので、里の老父達のソレと同じ様に小さな花の蕾を可愛がるように接してきた筈である。
あの蕾が、この様な強く美しい花を咲かせるとは誰が想像できた事だろう
「ね、カゲロウさん。おねがい」
ー嗚呼、可愛らしい。
里の英雄たる狩人達の中でも末の子とも言えるこの少女は、人に甘える術を自然に心得ている。…そして、甘やかされる事を自然に享受できる強かさをも持ち合わせている。
「…それがしが、良いと?」
「あなた【が】良いんです。」
くらくらしてきた気がする。
だかしかし、相手はえるふとは言え、少女である。
自分は若いとは言え、それなりに歳を重ねた竜人。
…倫理的に有りなのであろうか、いやまぁしかし可愛らしい。
ッスーーー、と歯を食いしばり細く息を吸い、苦悩する自分を見て何を思ったか彼女は小首を傾げ
「…ね。私はエルフで、カゲロウさんは竜人なのだから。年齢差なんて些末な事ですよね?…ソレに…私、あなたが望むなら古龍だって捻り殺して素材を持って来てあげます、災禍だって捻じ伏せてあげます。何度だって……だから、ね?カゲロウさん。」
嗚呼、げに恐ろしきかな里の老父達の育てし小さな気焔万丈の化身よ。
それと同時に恋に潤んだ仕草の何とまぁ愛い事。
思わず少し天を仰ぎ、またッスーーー、と細く深く息を吸う
「それがし、クララ殿の兄君に殺されはしませんかな…?」
「…?お兄ちゃん?…お兄ちゃんは私がカゲロウさん欲しいの知ってますし…、お兄ちゃんはお兄ちゃんで今教官と幼少期以来の大喧嘩を大社跡でしてるので…」
「大喧嘩。」
「教官がお兄ちゃんに求婚したんですけど、二人共認識すれ違ってて…それで。」
あなや。