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    きょう

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    きょう

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    唐はじクリスマス。タイトルはマリ●て。

    #カラ一
    chineseAllspice
    #唐はじ

    特別でないただの一日「……男二人でホールケーキとかふざけてます?」
    玄関を開けると唐次が白い箱を抱えていた。
    世にいうクリスマスイブ。もうプレゼントを心待ちにする歳でもなくなった。
    「一人でホールケーキよりはマシだと思わないか」
    なるほど、確かにと納得しそうになった。だが、一人でクリスマスを過ごすことと、男二人でケーキをつつく絵面と、どちらが一体マシだろうか。
    いわく、仕事の取引先の関係上、ケーキを購入しなければならなかったらしい。
    初めて見る大きな白い箱に興味がないわけじゃない。
    毎年、父と二人では持て余すからと、ホールケーキではなくカットケーキを一つずつだった。
    「……な、ほら、チキンもあるから」
    ビニール袋を持ち上げて、ガザガサと中身を取り出す。派手な紙袋に包まれた大手コンビニの有名な鶏肉だった。
    「マツチキ……」
    「うまいだろ。マツチキ」
    「うまいですけど、なんか」
    クリスマスってもっと特別なんじゃなかったっけ。同じ揚げた鶏肉なら、この時期おなじみの有名なファストフード店じゃないのか。
    「ケーキがある、チキンがある。そして今日はクリスマスイブ!完璧じゃないか」
    「どこが完璧だよ」
    「クリスマスに一人で寂しいだろうから
    わざわざ来てやったんだぞ」
    「さっき一人でホールケーキ食べるよりマシだからって言ってましたよね」
    「…………」
    唐次がピタリと止まった。もう策が尽きたんだろうか。
    「ホールケーキ持ってチキン買って。もし、おれが今日家にいなかったらどうするつもりだったわけ」
    「はじめが……?あぁ、しまった。そういえばそうだったな」
    「え?本気でそこまで考えてなかったの?」
    「そうだなぁ。絶対家にいる気がしたし……なんでだろうな。お前とケーキ食べるってこと以外、想像つかなかった」
    「…………そ、う」
    この人のこういうところが、おれの弱いところをつつく。
    熱くなる頬を誤魔化すようにして大きく咳払いした。
    「ま、入んなよ。シャンパンはないけどさ」
    二人に不釣り合いなホールケーキと、コンビニで買ったチキン。
    そんなものでも、あなたがいれば特別になる――――、なんてことは全然なく、ホールケーキに胃もたれを起こしながら二度とこんなクリスマスはゴメンだと、心の底から思うのだった。
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    💘☺☺☺☺
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    ゆう月

    TRAINING内容も続きも無いです。
    カラ松が家を出て一人暮らしを始めてから数年たった頃の独り言です。
    (ポイピク練習です。)
    2021/1/5
    オレたち兄弟の中に筆まめな奴がいるとは思わなかった。

    実家を出てからずっと、正月は時給が良いからと帰らないオレの元へ、一松は毎年年賀状を送ってくる。型通りの挨拶に、干支とは関係のない猫の絵と足跡。それがサインのつもりなのか、いつも名前は書いてない。猫の絵は流石にすごく可愛いのだが、白い紙に黒一色の、ある意味色気のない葉書は、想い人に出すにしては書き手の不器用さを表しているようで微笑ましい。

    そう、あいつはオレが家を出る数日前に、やっとオレに告白したんだ。オレに冷たく、いや暴力的に振る舞ったのは、実はオレの事を好きだった愛情の裏返しだったのだと。兄弟の枠に収まらないほどの、過ぎた愛情の裏返しだったのだと。そしてその日、オレは血の繋がった実の弟を抱いた。

    いくら「最後なのだから。」「一度でいいから。」と、泣いて懇願されたからと言って、普通ならそんな事出来るわけがない。やはり自覚がなかったとは言え、オレの方も一松のことを、ずっと好きだったのだと今なら分かる。分かってしまうと、安易に会いには行けなくなってしまつた。

    世界的に伝染病の流行った今年、いや去年か。新春のイベ 574