そして夜が来る同じ布団で兄弟が眠っている。
そう言われたら、まず微笑ましい場面を想像するだろう。小さな子どもが身を寄せ合って、仲睦まじく就寝している。
思わず破顔してしまうような愛らしさに、嫌悪感を抱く人間などいない。
しかしそれが、成人した男兄弟だと言われたらどうだろう。
むさ苦しさに困惑するはずだ。キモチワルイ、と一蹴する人だっているだろう。
あるいは、何か特殊な事情でもあるんだろうか、と慮ってくれるかもしれない。
どんな反応であれ、まず、疑問を持つはずだ。どうしてそうなったと。
こう思う感覚は正常なはずだろ?おれが特別おかしなこと言ってるわけじゃないんだよ。
しかし、一枚の布団を分け合って眠る男兄弟たちがどれほど異常であるか、おれは兄を説き伏せることができずにいた。
そして今日も、スゥスゥと眠る兄を背後にため息をつく夜が来てしまった。