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    じょじ

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    じょじ

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    今日の進捗と戒め

    オレの目下の悩みを聞いてくれ。
    オレの恋人の話だ。恋人の話って言うと惚気だと思うだろ?確かに惚気には違いない。何せオレの恋人サマと来たらべらぼつに強くて格好良く、男前の大男。……体格に差があるのは男として悩ましいところだが、それは兎も角、そんな男前だのに可愛い所もある、なんて完璧な恋人だ。片想いに一年、告白して付き合うことが願いかなったということもあり、オレたちはそれはそれは清らかで穏やかな関係を経たあと、つい先日晴れて体の関係を持つことが出来た。ハジメテはソレはもうソウゼツなもので、お互いがお互い、男同士だなんて初体験なもんだから入れるまでにも相当な努力と根気が必要だった。それでも抱かせてくれ、というオレに対して少々、いや、多少、いやだいぶ拗れた話し合いの元、結局受け入れてくれた大寿の気持ちを思えば、そんなこと些細なもんだろう。初めて繋がった時なんて、涙がでるほど嬉しかった。(実際ちょっと泣けた。)そんなオレを優しく暖かく、かつ男前に抱き締めてくれた大寿に愛しさが込み上げたオレは、絶対幸せにすると胸に誓った。
    そんな順風満帆なオレたちに、悩みなんて無いように見えるだろう。
    だけど悩みってのは次から次に出てくるもんだ。
    悩みってのは、そう。セックスのことだ。やっと繋がれたは良いが、オレが大寿の中で果てた後、毎回大寿はちんこを扱いて漸く達する、というパターンになっていた。本当は同時にイくのが理想なのだが、大寿はまだケツでイくことができないのだ。本人は「オレの才能が無いんじゃねぇか」と言うがこれはオレにとって由々しき問題だった。肌を重ね合わせるだけで気持ちがいいのは確かだ。何もセックスだけが全てではない。……それはオレだって分かってる。むしろオレが抱かれる方になれば上手くいくのでは、と思わないでもないが、それは最終手段としてとっておきたかった。別に大寿に抱かれるのが嫌な訳では無い。(大寿のちんこのデカさにビビってる訳じゃない、決して。)だけどどうせなら、一緒に気持ちよくなりたいだけだ。あわよくば大寿を喘がせたい。ぐちょぐちょのぐちゃぐちゃにしてオレとのセックスが気持ちイイと言わせたい。それだけだ。




    今日もデートの後、大寿の家でお泊まりのコースを決め込んで、今日こそは、とベッドの上で気合いを入れて準備する。まずはローションのボトルにゴムの箱。それからタオルと水を用意した。大寿はまだ風呂場にいる。オレのために準備をしてくれていると思うとそれだけでも興奮するのだが、それはまだ早い。気を落ち着かせようと深呼吸したところで、寝室のドアが開いた。
    「おかえり、大寿く、ん?」
    「……あ?」
    そこに居たのは大寿だ。間違いなく大寿であるはずだが、何か違う。濡れた髪は短いし、盛り上がった筋肉は何処か痩せて細く見える。緩んでいる、というわけではない。顔もなんだか大人びていて、数年経ったらこんな感じになるんだろうな、そういう風に変わっていた。
    大寿の方も違和感があるらしく、オレを頭からジロジロと見ては不審者でも見るような顔をしている。
    「……テメェ、……三ツ谷、だよな?」
    「大寿だよね?」
    「…今いくつだ?」
    「っと、……18…」
    「……オレは28だ」
    となると、10年後の大寿、というわけだ。とんでもない状況だったがオレは思わずじっくりと大寿を眺めてしまった。水気が滴る大寿はとてつもなく色っぽい。重ねた年齢の分まで色香が漂ってくるようだ。オレの視線に気が付いた大寿はフッと笑う。その笑い方もまた色っぽくてドキッと胸が高鳴った。
    「ガキだな」
    大寿の口から出てきた言葉にオレはカチンとクる。確かに今は大人の姿かもしれないけどな。大寿はオレへ近づいてくると顔を寄せて覗き込んだ。その顔は確かにオレの良く知る大寿なのに、雰囲気がまるっと違うことでなんだか別人を見ているみたいだ。
    「……さしずめ、オレとのセックスに悩んでる頃だろ」
    「なっ」
    さっきまで意気込んでいたこともあって、言葉を詰まらせる。図星を突かれたところで大寿は得意げな顔をして「やっぱりな」と言った。本当に未来の大寿だとすると、未来でオレはこの悩みを打ち明けでもしているのだろうか。それはどうも男としての沽券に関わるんじゃないだろうか。
    「オマエ、一人でどうにかしようと思ってんだろ」
    「……こういうのは話すモンじゃねえだろ」
    呆れたように言う大人の大寿に、なんだか説教されている気分になって思わず背筋が伸びる。
    「セックスは二人でするもんだ。一人でどうにかなると思ってんじゃねぇよ。オレを気持ち良くしたきゃな」
    「ってことは、そっちのオレは大寿に相談したのかよ?」
    「いや、オレは…」
    聞くと大寿は言葉を切って顎に手をやると何か考え込むように俯いた。そうして顔を上げたかと思えば、にやりとする。ああ、この顔は見たことがある。なんか悪い事を考えてる顔だ。まるで肉食獣が獲物を前に笑ってるような。オレの良く知る金の瞳に獲物を映して……。
    「三ツ谷ァ、教えてやろうか。オレの気持ちいいトコロ」
    ――その獲物は、オレだ。



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