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    kuduchan

    @kuduchan

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    DONEどこか遠い場所フィリピンでマイキーが死んだ時、イザナは荒れ狂った。その訃報を流したテレビに向かって、目の前にあったスマートフォンを投げつけ、画面が割れた。亀裂は画面に影を落とし、音だけはなんの異常もなく、不気味に流れていた。
    「なんでそんなとこにいるんだよ」
    フィリピンはイザナの父の故郷らしい。そしてイザナにも、その血が流れている。浅黒い肌と銀色の髪は、フィリピン人というよりは、どこか別の土地、人種の血も混じっているように見える。イザナの故郷も、両親の顔も、彼にまつわるルーツを本人はおろか、誰も知らない。
    「誰だよ、どこのどいつが殺したんだよ。鶴蝶、テメェ調べてこい」
    ヒステリックな怒号が飛ぶ。しかし鶴蝶は慣れたもので、狼狽えることなく部下たちに電話で指示を出した。おそらく数日で調べ上がるだろう。その間、イザナは殺意を込めた言葉を繰り返していた。
    「テメェがマイキーを見張ってなかったせいだってわかってんだろうな」
    「悪かっ」イザナの拳が鶴蝶の頬を捉える。手加減のない怒りがこもっていた。
    「テメェみたいな役立たずだけじゃ不安だろ。稀咲にも伝えとけ」
    吐き捨てるように言って、イザナは頭をかかえた。この場 5231

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    MOURNING14巻時空のはっかいの話 はちみつはちみたいな描写はあるっちゃあるけど本題ではない。八戒には兄が二人いる。一人は血の繋がった兄、柴大寿。もう一人は血の繋がらない兄貴分、三ツ谷隆だ。
    両親が不在の家で、兄はこの家の長だった。母と離婚した父が三人の子どもを引き取った後、具体的にどこで何をしているか、幼い頃は良くわかってはいなかった。周囲より頭一つ抜け出たマンションは、子供だけで住むには、とても広かった。良くも悪くも、金に不自由はしなかった。金が全てではないということを早々に知れたのは、良かったと言えるだろう。しかも立派な兄がいて、美しく優しい姉がいる。けれど、どんなに人から羨まれようが、八戒は家が嫌いで嫌いで仕方なかった。何が、と問われれば、答えは一つ。兄、大寿が恐ろしかった。
    大寿はトイレの電気をつけっぱなしだとか、門限を数分破ったとか、買い物に抜けがあったとか、些細なことで手を上げた。同学年と比較して、大寿は明らかに身体的に恵まれていた。小学生の頃から中学生と間違われるほどに。しかし、そんなことお構いなしに、手加減せず殴った。顔や体から、痣が消えたことはなかった。そして殴ってから、オレはお前らに期待しているから強くあたるのだと言って、頭を撫でる。その手は、今さっきまで 5921

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    DONE千冬の家の話子どもが欲しいと、生まれる前は思っていた気がする。それを期に結婚しようと言ってくれた元旦那が好きだったからかもしれない。飲酒も喫煙も止めたし、つわりはきつくて、よく吐いた。我慢が嫌いな私が、どうして腹が膨らみ続けたあの十か月を過ごせたのか、今となってはよくわからない。
    千冬は手のかかる子だった。人と比べたら、そう酷いものではないかもしれない。けれど、夜泣きが私には苦痛だった。いくらあやしても泣き止まず、築年数の経った壁の薄いアパートでは迷惑がかかるから、夜中に私と千冬だけで、外まで散歩に出たこともある。子どもが生まれる前、ネイルサロンにも通い、綺麗だとよく褒められた爪は、短く貧相になっていた。髪も、服も、鏡に映る自分は、日に日にみすぼらしくなっていく。
    離婚は旦那の浮気が原因だった。癇癪を起した私が離婚届を突き付けたら、そのまま離婚になった。馬鹿みたいにあっけなかった。親権でもめるかと思いきや、相手は子どもに執着はなかった。千冬がようやく単語らしい単語が話せるようになった頃だった。
    私には、頼れる家族がいない。母も女手一つで私を育てたのだから、私にもできるはずだ。
    託児所のある水商売の 3077

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    DOODLEばじくんと松野くんについて場地君が亡くなったと聞いたのは、芭流覇羅との対決から数日後のことだった。それを聞いたとき、壱番隊はどうなるんだろうと思った。俺ら壱番隊は、場地君が突然芭流覇羅に行くと言ってから、頭がいないまま宙に浮いていた。副隊長の松野君は場地君が絶対に帰ってくると信じて疑っていなかったから、俺らもそう信じていたし、総長だって場地君を取り戻す気でいた。だから場地君が自分で自分を刺した瞬間を見ていても、死ぬっていう実感がなかった。だって俺らは松野君や総長みたいに場地君の近くに行ったわけじゃない。ドラケン君だって、腹を刺されても少し入院したら何事もなかったように戻って来たし、今回も同じようになるって思っていた。ぶっちゃけ芭流覇羅の一虎とかいうヤツとマイキー君の間に何があったのかも全然わかんねぇ。でも総長があんな風に人を殴っているのは初めて見た。オレ達の頭の本気は、オレが想像していたよりもずっとずっと強かった。
    きっと松野君も総長も、場地君があの時死んだんだと、きちんとわかってたはずだ。松野君はこれからどうするんだろう。東卍を辞めちゃうんだろうか。
    松野君と場地君はいつも一緒にいた。松野君は誰がどう見ても場 3439