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    江 谷

    過去のあれこれを供養してます。

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    江 谷

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    『キミにうたう「すき」のうた』(http://sukinouta.web.fc2.com/)さまより【黒子と火神に7のお題】をお借りしました。(黒バス)

    2.22cmの壁「火神君、血が出てます」
    「えっ?」
     一・二年混合の紅白戦中、黒子が火神に走り寄って来て知らせた。
    「首の後ろのとこ」
     黒子は自分のうなじを指差しながら言う。
    「多分、切れてます」
    「え、マジか!」
     火神が自分のうなじを手で触る。
    「いや、血ィ出てねぇけど」
    「多分、乾いたんだと思います」
     しゃべりながらも、二人の視線はエンドラインを見つめている。スローインに備えてお互いが動く。
     コートにボールが戻ってきた所で終了のホイッスルが鳴った。
     メンバー入れ替え後、火神はリコに指示を仰いだ。
    「カントク、すんません、なんかオレ、血ィ出てるらしいんスけど」
    「えっ、どこ? ワセリン、今切らしてるのに」
     リコが救急箱を確認しながら、やっぱ無いかぁと呟く。
    「どっから血が出てるって?」
    「や、首の後ろから……」
     火神がリコに背中を向ける。
    「首の後ろ……って、しゃがんでくれなきゃ見えないわよ」
     あ、そうか、と火神がおとなしくその場にしゃがむ。
    「あっ、ほんとだ。でも、もう乾いてるみたいよ? 絆創膏ならあるから貼ってあげるわ」
     その時、少し離れたところで主将の日向がリコを呼んだ。
    「はーい、今行くー! 黒子君、悪いけど火神君の首のとこ貼っといてあげて」
     リコは絆創膏を黒子に渡して、小走りに行ってしまった。
    「じゃあ、貼ります」
     黒子はペリペリと紙包装を剥がた。

    「なあ、いつから気付いてたんだ?」
     火神がしゃがんだまま、首を下げた姿勢で後ろの黒子に聞く。
    「何がですか」
    「血が出てたって」
    「ああ。さっき火神君が紐を結び直してる時に」
     確かに試合前、シューズの紐を結び直した。そういえば、その前のゲームでは、ゴール下での接触があった。切れたのなら、その時かもしれない。
     黒子が火神の首に絆創膏を当てる。左右の剥離紙を引っ張って貼り付けた。
    「できました。もういいですよ」
    声を合図に火神が立ち上がる。黒子の目の前が途端に暗くなった。
    「……デカイですね」
     思わず黒子が呟いた。
    「あぁ?」
     振り向いた火神に見えたのは、黒子の頭だ。
    「20cm 違いますもんね」
    「22cm な」
    「………………」
     火神の顔を見ていた黒子が、ふと視線を足元へ落とした。

    「火神君。シューズが」
    「? なんだよ、シューズが」
    「よく見てください」
     黒子の言わんとすることが分からず、火神がはてなマークを飛ばしながら再びしゃがむ。
    「こうすれは、ボクの方が高いです」
    「はぁ!?」
     すぐに立ち上がろうとする火神の頭を、黒子が片手で押さえ込んだ。
    「黒子、何のつもりだテメェ……」
    「なんか悔しかったので」
     怒った火神が立ち上がろうと、さらに足に力を入れるが、黒子もそれを力を入れて押さえ込む。
     二人の足と腕が震えている。
    「離せよ黒子……!」
    「壁なんかありません……、横になれば……一緒です……!」
    「意味わかんねェよ!!」

     ホイッスルが鳴った。
     急に黒子が手を離したので、火神がよろける。その隙に黒子は走って行ってしまった。
    「やっぱ、気にしてんのか……」
     火神は後ろ頭をかきながら、ゆっくりと立ち上がった。
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