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    oz_on_e

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    璃月の歴史っぽいものを書きたかったようだ

    #原神
    genshin
    #甘雨
    ganYu
    #璃月
    glazedMoon

    薄明の頃むかしむかし、その港がようやく街の体をあらわし始めた頃、人々は未だ満足に文字を書くことが出来る者が少なく巨大な共同体を営むことに難儀していた。文字だけではなく物事の名称を知らず、仕組みを解せず、岩王帝君は人々の新たな日々の暮らしと安全を確保してやることが忙しく、細かな作業に目を配る者を必要としたが──気位の高い仙人たちには難しい役割だった。しかし、あるときまだ少女の姿をした者が人々の前で筆を取り、岩王帝君が示した役職とその職務を細かに書き出しては人々に読み聞かせ、慣れぬ作業を彼らが一度には覚えきれぬ事柄を丁寧に記録したのだった。以降、文字の読み書きを学んだ者たちがそれを伝えあい、ようやく人々は自らの集団を組織する方法を覚え始めた。
    岩王帝君が外敵から彼らを守り、指針を伝えるたびに書物は厚くなり改良が加えられ、少女は書籍の編纂を彼らに教えた。
    黎明のその頃、特に人望が厚く聡明だった者が人間の中から七人、少女と共に綴られる文書を囲むことになる。──怯えながら彼らの前へ進み出て筆を取った少女の頭上には明らかな角があり、人ではないことを物語っていたが、半分は彼らとも血を同じくしていた。
    少女の名を甘雨、神の眼を得る僅かに前。
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    oz_on_e

    MEMO #鍾甘ワンドロ に先日投稿したものです。
    800年程度前、ちょいちょい璃月で宴会をしていたという初代七神エピソードより。
    明らかになっていない時系列も多いので捏造を含みます。いずれはもう少し長い話として書き直したい。
    「──来年、ですか? おそれながら四回目の宴では皆様より、百年前には通達がほしいと仰られておりました。あまりに急なのでは……」
    「あの時は忘れていたが、もうじき絶雲の千年桃花が咲く時期になる。これを逃す手はあるまい」
     厳密に言えば岩王帝君が『忘れる』ことはそれこそ摩耗でもなければありえないが、単純に一時的な失念をしていることはあるらしい。
     よい宴になるだろう、と、すでに楽しげな顔で酒の手配についてなどを語りはじめた主君を前に、甘雨は思いとどまらせることを諦めた。──またいくつかの国からは文句が届くだろうが、こうなっては早めに日取りを決めて各国に知らせを出すしかないだろう。

     ──時は、璃月港に不思議な旅人が訪れるより千年足らずを遡った、岩王帝君が健在であった時代。魔神戦争が終結し、国の姿も現在の形をあらわしはじめた頃。初代・俗世の七執政──七柱の神々は璃月の地に時折集っては語らう慣習が出来ていた。
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    oz_on_e

    MEMO浮世の錠フレーバーに関連する月海亭秘書さんの半回想モノローグ。恋にもなりきれない思慕。セリフらしいセリフもありません。雰囲気で読んでください。※以前にTwitter連投したものの微調整になります。
    独白かつてより、その姿は余りに目にする機会が多かったものだから──天神像ですら"其れ"を模すものとなっている。石錠を眺め、諦めることなく解析を試みようとするあの方の肖像。”忘れていいのだと言われたのだがな”と、あの方は昔呟くと、自嘲の様に笑ったことを覚えている。
    私の記憶の始まりでは、まだその姿を見ることはなく……あの方は敵だらけの大陸で弱く脆い人々の守護者として、恐るべき力を震い続けた。それこそがあの時代に求められた神の強さだったけれど、山岳の奥で静かに暮らしていた幼い私は畏怖を抱いてしまい、訪れる彼に自ら声を掛けることなど、しばらく出来なかった。
    留雲真君の足もとに隠れ、震えている私を困った顔で見下ろすあの方の姿を忘れられない。──今のように、何気ない言葉を口に微笑み頭を撫でてくれるような所作はあの頃には身に付けておられなかった。勿論、終わりの見えない戦いに身を投じ槍を握るあの時期に、穏やかさを得る余裕などなかったはず。
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