剣のお稽古「結丹できたら次は何をするべきだと思う?」
「剣の鍛錬」
「正解だ。さっそくお前が相手になってくれるか?」
藍忘機は渋る様子を見せた。魏無羨は気にせず人差し指と中指を合わせ、随便の剣先を藍忘機に向ける。魏無羨と手合わせをする事になってしまい、藍忘機は早々に決断した。
「あ!」
随便が避塵に負け、遠くへ飛ばされてしまった。魏無羨は戻ってくるように指示を出す。
チャン、と随便は鞘に収まった。
「こら藍湛。ちゃんと相手をしてくれよ。あんな一瞬じゃ鍛錬にならない…藍湛?」
「君に」
「ん?」
「二度と君に剣は向けたくない」
藍忘機の心中を聞いた魏無羨は己はなんと惨い事をしたのだと、たった今察した。
「悪かったよ、藍湛。もう剣の相手はしなくていいから」
「うん」
心なしか顔色の悪い夫の頭を引き寄せ、自分の胸に収まるように抱え込む。
「沢蕪君、元気になったかな?あの人に稽古を頼んでみようか」
「それがいい」
「よしよし藍湛。泣くなよ」
「泣いてない」
子どもをあやすように頭を撫でられ、揶揄われたと感じた藍忘機はむっとした顔をする。
思ったことをすぐに実行してしまうクセを、ほんのちょっとは直した方がいいかなと反省した魏無羨だった。
fin.