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    Okoze

    @jkanaemill

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    Okoze

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    文庫版3に素描がいっぱい掲載されているのですが、
    その中に背中合わせな2人の一枚があってですね…いっとう好き。

    3TVのOPもEDも登場する 砂漠の夜 。
    南半球から見た星空を一緒にみているのかなとか、
    温度を分けあっててほしいなとか考えてました。

    ※Twitter挙げ作品。徹頭徹尾、承花です。

     「やはり夜は冷えるね」

     新月が近いせいか星がよく見える夜だった。
    砂漠を渡っていく風にはためいた白のストールを巻き直し彼と肩を並べて歩く。交代の時間。焚き火から遠ざかると世界の明度が一層深くなる。
    監視ポイントを目指して進むと闇は濃さを増し天の輝きも瞬きを強めた。

    「こんなすごい星空は見たことがないな」
    「ああ」
     周りが見渡せる小高い砂丘から見上げた夜空に僕たちは押し黙った。
    美しいものを前にすると人は言葉をなくすというのはあながち間違っていないのだなと頭の隅で思って、チラリと横を盗み見ると承太郎もこちらを見ている。
    大好きな深い碧色の瞳がまばたきと共に星を映して閃く。

    彼もまた星なのだ。
    そう思うと自然と笑みがこぼれた。
    夜風を避けるように砂丘の中腹辺りで腰を下ろそうとすると
    「てめぇはそっち向いて座りな」
    有無を言わせない雰囲気に 黙って従う。
    直後。ヌシヌシとやって来て勢いよく真後ろに座られた。ドスンと分厚く広い背中が当たって体重をかけてくる。
    「ちょっと君」
    重いぞ 抗議のつもりで寄りかかり返すと小さな笑い声。
    「この方が温けぇだろうが」
    「それはそうだけど」
    くっつけた背中から心臓の音が聞こえてしまわないだろうか。


    「って君 体温高いな」
    まぁな いつもの帽子に手をやる仕草が見えないのは残念だけど、こちら向きの方が遠くまで見渡せるようだ。
    そう考えてこの配置にしたのかな。さすがだ。
    座り直すと右側からどっどっと力強い鼓動が伝わってきた。
    「助っ人ってどんな人かな」
    「さあな」
    明日になりゃ分かる事だぜ。
    それもそうか…。


    温かい背中にすりと首を預けるように寄りかかると 闇夜に慣れた目に足元の砂が動いていくのが見える。

    僕の背後から前へ。

    風に運ばれて砂丘の稜線で小さく舞う砂を目で追いかける。

    あ。
    風よけになってくれたんだ。




    僕がさっき寒いと言ったから。


    「君はやさしい人だな」

    かなわないよ。

    返事が無い。

    答える必要が無いくらい彼にとってはそれは当たり前の事なのかも知れない。



    「ありがとう」
    硬ばった背中から やれやれだぜと深い溜息ひとつ聞こえてきて 僕は 声を抑えて笑い出してしまった。
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