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    Okoze

    @jkanaemill

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    Okoze

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    人が賑やかに楽しそうにしてるの苦手で人の輪を離れてしまいがちいん。
    エジプトへの旅中の、自分なりに考えてみる試み。
    輪の真ん中でにこにこしていてね。
    ※徹頭徹尾、承花です。

     インドの路上で結婚式に遭遇した。

     陽気な音楽に誘われて、おい、なんかやってるぜ。すげー楽しそうだ。浮かれたポルナレフにのこのこ付いて行った僕がバカだった。
     いや。
     お祝いの宴はとても明るく舞う人たちの輪に巻き込まれて…意外なことにとても楽しかったのだけれども。

     こんな事、日本ではまず無いだろうな。
     いつもなら遠巻きに見ているだけなのに。
    賑やかな場所も、人の集まりも苦手な僕は少しづつ離れて遠くへ距離をとる。
     いつだってどんな場所だって居心地が悪いのは…僕のせいだ。

    最初のうちはそう思っていたのに。
     祝福の場、居並ぶ人たちの心からの笑顔に囲まれているうちになんだかどうでもよくなってしまった。

    おめでとう。ありがとう。さぁ踊ろう。

     そうだよな。本当はとてもシンプルな事なんだ。
    入れ替わり立ち替わり笑顔の女にも、男にも、くるくると回されて楽しくなってしまって…
     少し離れた場所から見ている承太郎の視線に気がついて我に返った時には僕もポルナレフも花まみれになっていた。
     南半球は花の季節。
     外からもウェルカムなインドの婚礼で、旅人で客人な僕らにどうぞどうぞと次から次に花かざりが降って来たのだった。

    「もー!君のせいだぞ」
    「そう照れんなって」
    お前も楽しそうだったじゃねーか。
    その通りなので言い返せずに眉間に皺が寄る。
    おのれポルナレフ。

    「うむ いつも あれくらい笑っているといいぞ花京院」
    「ワシも混ざりたかった」
    「アヴドゥルさん…ジョースターさんまで やめて下さい」
    さっきからずっとこちらを黙って、凝視してくる承太郎の視線がいたたまれない。うう、消えてしまいたい。
    「花なんて…僕には似合いませんよ」
    「なんで?花もらって嬉しくない人間なんていないじゃろ」
    ワシ誕生日にはお前さんたち以上に花まみれになっとるわい。
    胸を張るジョースターさんに毒気を抜かれる。
    「ジョースターさんはそうでしょうけれど…」
    僕は違うと思います。
     みんなに囲まれているこの場所がくすぐったくて、一秒でも早く離れたい気分になっていた。

    「そんなこたぁねーだろ」
    意外な声が上がる。
    え。
    「名前に似合ってるぜ」
    何を言い出すんだ承太郎…
    「どういう意味だ?カキョーインって名前と花が関係あんのかぁ」
    「Kanji…なるほど 日本の文字には一字づつ意味があると聞いたことがある」
    「へ?音だけでもいーんじゃないの」
    おっとぉ今のはダ洒落じゃあないよ。おどけて見せるジョースターさんに承太郎が やれやれだぜ… 小声で呟く。
    大きなため息をひとつ吐いてから
    「アヴゥドゥルの言う通りだ 漢字一文字に意味がある」
    この花京院は
    「Ka が花って意味なんだぜ」
    僕を真っすぐに見ながら続けてそう言った。
    瞬間、頭のてっぺんまで血がのぼる。

    な、なにを言い出すんだ君は!

    花冠を手に真っ赤になってる僕の左右から
    「へぇーーー そいつぁ知らなかったぜ」
    「おお…それはまたなんと風雅な」
    「フルー・ド・リスみたいなやつぅ?…いやあれは紋章じゃったわい」
    何故か感嘆している声が上がる。なんだ。なにが起こっているんだ。
    くるっとこちらを振り返ったみんなから一斉に視線を集めている僕。
    目を輝かせているみんな。…な…な…
    「そんなこと言うなら
    き、君だって名前に 天 を冠しているじゃあないかッ!」
    一転。今度は承太郎に視線が集まる。
    「マジでぇー 承太郎」
    「それは知らなかった」
    「初耳じゃぞい」

     それがどうした。
     全く悪びれない様子で僕にヌシヌシと向かってくる。
    なんだ。やる気か。
    苦情も攻撃も受け付けないぞ!
    いやむしろ受けて立つ!

    そう思って口を引き結んだ僕の手から花冠をむしり取ると、大きな手が乱暴に頭の上に花を降らせた。
    「だから似合ってるってんだろーが」
    俺もお前もな

    ぐっと首ごと引き寄せられて近づいた耳元で、僕にだけ聞こえるようにそう言った。

     ふわふわした頭でみんなから伸びてくる手に、花ごとぐしゃぐしゃにされながら思ったのは、ここは円の中心で僕のすぐ横に君がいるってこと。

     近いよ。
    でも…すごくうれしいよ

     僕を見て笑う君を見て もしかしたら今、僕はとてもしあわせそうな顔をしてしまっているのかも知れない そう思った。
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