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    佳芙司(kafukafuji)

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    POIPOI 79

    140SSにしていたものの本文

    清秋の候(オスカー×アキラ)


    「真っ赤だな、燃えてるみたいだ」

     呟く声が弾んでいるようで思わず振り返った。そんな思いで見上げていたのか、と。目に見えて分かる季節の変化に何かを感じてわざわざ声に出す、予想外だと思ってしまうということはつまり、いつの間にか侮っていたのかもしれない。オスカーは気付かされる、そして同時に思い至る。
     アキラは間違いなく恵まれた家庭で育てられた子供なのだ。親に手を引かれ或いは抱かれて慈しまれた記憶、四季の移り変わりを眺める余裕、木の葉の色を見て連想する感性。そのどれも、当たり然のように手に入るものではない。
     ――眩しい。
     わざわざ異能を手に入れて異形のもの共と戦う必要のない存在。守られるまま生きていったとしても何の問題もなかったであろう人生。間違いなく愛されていた、命。
     きっと何処かで、あたたかく燃える炎を見たのだろう。たとえば暖炉の傍で、または焚火を囲んで。或いは真っ赤な夕陽を燃える炎のようだと語った誰かとの帰り道か。
     心に思い出を通して世界を見る、横顔は。

    「眩しいな」

     目を眇めた先で、新緑の眸がまたたいた。


    〈了〉
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    佳芙司(kafukafuji)

    CAN’T MAKE【エリオ腐R】一進一退のお付き合い始めたばかりのオスアキ。書き続けるの飽きたので区切りのいいところでおしまい。
    恋人はじめ(オスアキ)あれ? と思った時には遅かった。
    たった今自分は何を言ったんだったか。思い返してアキラは瞬く間に顔を真っ赤に染め上げた。ぱくぱくと口を開いては閉じ、言葉にならない声が口から零れ落ちる。

    「あー、や……そのっ、お、俺は……っ!」

    言い訳しようとアキラは必死になって言葉を探ったが何も見つからない。熱が頬に集中してまともに頭が回らない。どうしようもなくなって両手で顔を覆うしか出来なかった。

    「うううう……」

    ヘナヘナとその場に蹲って回想する。どうしてあんな事を言ったんだ、うっかりにも程がある、馬鹿か俺は。頭の中で自分に文句を言う。しかし後悔してももう遅い。言ってしまった事は取り消せないのだ。

    「アキラ」

    思ったよりも近くから聞こえてきた声に驚いて勢いよく顔を上げると、更に思っていた以上に近くにオスカーの顔があった。じっと目を覗き込むように見られ、思わず後ろに身が引けた拍子にバランスを崩して尻餅をついた。その瞬間オスカーに肩を掴まれたアキラはなんとか背中から倒れずに済んたが、オスカーの顔を見上げる格好になって息を呑む。
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