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    佳芙司(kafukafuji)

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    リンク集【https://potofu.me/msrk36

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    POIPOI 71

    前にピクシブに投稿してたやつ。20201212

    #オスアキ

    No offense.(HeriosR/オスカー×アキラ)

     ちょっと油断していた。
     脇腹を擦られたり、肩甲骨をなぞられたり、背骨のでこぼこしたところを撫でられたり。なんだかマッサージされているみたいに気持ちよくて、純粋に安心しきっていた。初めのうちは本当にそういうつもりで、自分からも触り返したり頬と頬をくっ付けたりしていたのに、すっかり忘れてされるがままになっていた。眠くなっていた訳ではない。と、思う。多分。

    (はっ……ずかし、なんだ今の)

     気を抜いていたからといって、いくらなんでも大袈裟過ぎたと咄嗟に手で口を抑える。ただ、ほんのちょっとだけ腹筋から胸の辺りを撫で上げられただけなのに。
     こんな反応をしてしまったせいか、オスカーも手を引っ込めてしまった。申し訳なさそうな表情をしているのが更に居た堪れなくて、顔ごと背けて目を逸らす。呆れている訳ではなさそうで、というよりは、寧ろ心配されているんだと分かる。自分がした事は不快に感じさせてしまうような事だったのではなかったかと考えている。言われなくても分かってしまう。
     オスカーがそっと手首を掴んでくる。外そうとしているんだろうと分かるが、まだ恥ずかしさの方が強くて、このまま素直に外されてやる訳にはいかないと力を込める。二、三度抵抗したところでオスカーが手を離した。

    「アキラ」
    「やだ」

     沈黙。
     口を抑えたまま喋ったからきちんと伝わったかどうかは分からないが、態度で察してくれ、と思う。とりあえず暫くこのまま放っといてほしい。
     視界に入れないようにしているのに、困っていますと言わんばかりの空気だけは伝わってくる。俺だって困っている。
     だって、あんな声を出したらまるで待ちかねていたみたいじゃないか、物足りなく感じていたと思われて仕方ないじゃないか。

    「手をどかしてくれ、アキラ」

     ずるいヤツだ。
     オスカーは真面目だとか、誠実だとか、律儀だとか、そういう部類の大人だとも思う。たまに予想外の反応が返ってくることがあっても、いい加減に適当なあしらわれ方をした覚えがない。こういう関係、になってからはより一層気を遣われているなと感じることもある。必要以上にこちらの様子を窺っているような気もする。きっとここで本気で嫌がったらあっさりやめるんだろう、俺に無理強いをさせたくないから、嫌がることをしたくないから。
     アキラ。呼びかける声が優しい。だから、そういうところだ。

    「このままだと、お前にキスが出来ない」

     なんだそれ。
     そういう困ったような顔を見せるのはずるい。本当に。分かってやっているんだろうか。
     オスカーの左手がもう一度伸びてくる。右手首、というより腕を掴まれて、オスカーの指の輪がぐるりと腕を一周していて、なんか前にもこんなことがあったな、と思い出す。その親指が擦るように腕の内側を撫でてきてくすぐったい。機嫌が直るのを待っている、と言いたげに促しているような。

    「お前、本当、そういうズルいこと平気でする。……」

     これ以上意地を張っていても何もいいことはない。そっと手を外したら、ああよかったと言わんばかりのホッとしたような笑顔になった。そんな顔を見せられたら、なんだか俺一人で意地張って馬鹿みたいじゃないかという気分になってくる。
     いつになったら放してくれるんだろうかと思っていた右手はそのまま強制的に恋人繋ぎにされていた。だからそういう、普段そんなことしない癖にこういう時だけそんな、こっちが照れるようなことしやがって!
     他にも色々言いたいことがあるのに、このまま数秒後に忘れる予感だけは確かだった。

    〈了〉
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    佳芙司(kafukafuji)

    REHABILI園子さんは正真正銘のお嬢様なので本人も気付いてないような細かなところで育ちの良さが出ている。というのを早い段階で見抜いていた京極さんの話。
    元ネタ【https://twitter.com/msrnkn/status/1694614503923871965】
    京園⑰

     思い当たるところはいくらでもあった。
     元気で明るくて表情豊か。という、いつかの簡潔な第一印象を踏まえて、再会した時の彼女の立ち居振る舞いを見て気付いたのはまた別の印象だった。旅館の仲居達と交わしていた挨拶や立ち話の姿からして、慣れている、という雰囲気があった。給仕を受ける事に対して必要以上の緊張がない。此方の仕事を理解して弁えた態度で饗しを受ける、一人の客として振る舞う様子。行儀よくしようとしている風でも、慣れない旅先の土地で気を遣って張り詰めている風でもない。旅慣れているのかとも考えたが、最大の根拠になったのは、食堂で海鮮料理を食べた彼女の食後の後始末だった。
     子供を含めた四人の席、否や食堂全体で見ても、彼女の使った皿は一目で分かるほど他のどれとも違っていた。大抵の場合、そのままになっているか避けられている事が多いかいしきの笹の葉で、魚の頭や鰭や骨を被ってあった。綺麗に食べ終わった状態にしてはあまりに整いすぎている。此処に座っていた彼女達が東京から泊まりに来た高校生の予約客だと分かった上で、長く仲居として勤めている年輩の女性が『今時の若い子なのに珍しいわね』と、下膳を手伝ってくれた際に呟いていたのを聞き逃す事は勿論出来なかった。
    1487

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    みぃ☆

    DONE第8回キスブラワンドロライ
    お題は『年の瀬』でキースの家を大掃除する話。甘々キスブラ

    読み切りですが、続きっぽいものを1日と3日(R18)で書く予定。
    「今日こそはこの部屋を片付ける。貴様の家なのだからキリキリ働け」

    年の瀬が差し迫った12月のある晴れた日の朝。
    キースがまだベッドに懐いていると、部屋まで迎えに来たブラッドに首根っこを捕まえられ強引に引きずりだされた。
    ジュニアの「キースが暴君に攫われる~」という声をどこか遠くに聞きながら、車の後部座席に放り込まれる。車には既に掃除道具を積んであったようで、すべての積み込みが完了すると、ブラッドは急いで車を発進させたのだった。

    「まずはゴミを纏めるぞ」
    家に到着早々ブラッドは床に転がった酒瓶をダンボールに入れ宣言どおりに片付けを開始する。次に空き缶を袋に集めようとしたところで、のそのそとキースがキッチンに入ってきた。
    「やる気になったか」
    寝起きというよりもまだ寝ていたキースをそのまま連れ出したのだから、恰好は部屋着のスウェットのままだし、髪もあちこち跳ねてボサボサだ。
    「まずは顔でも洗ってシャキッとしてこい。その間に俺は……」
    ぼーと歩くキースは、無言のままブラッドの背後を通り越し冷蔵庫の扉を開ける。
    水と缶ビールばかりが詰め込まれた庫内が見え、ブラッドは呆れた溜息を尽く。
    「ま 3484

    佳芙司(kafukafuji)

    TRAININGエマ視点→【https://poipiku.com/3176962/6268101.html】

    『Let’s take the long way home sometimes.』
    ゆめくろのグランフレア×エマちゃん(グラン視点) マイスターボードにメッセージの着信を知らせる音が鳴った。先程エマに送った、仕事が終わったら迎えに行くという旨のメッセージに対する返信で『なるべく早く仕事を終わらせるから』とスタンプ付きで書かれていた。
     忙しいだろうに、わざわざ返事を送ってくれる気遣いが嬉しい。小さな約束を交わせる事がこんなにも心をあたたかくして満たされるなんて、今まで知らなかった。迎えに行く事を許される事も、帰りが待ち遠しいと思う人がいる事も、全部この上なく喜ばしい。
     エマは連盟本部所属のギルドキーパーとして、国を越えて様々なギルドと連携を取り、調整と便宜を図る役目を担っている。更には自分達『月渡り』のためにも日々駆け回っている。只でさえ忙しいのだからと、彼女の負担を減らすためにも報告書の提出時にはミスのないよう注意深く確認し、送られてくる依頼書だけでなく請求書や明細書にもきちんと目を通すようメンバーに徹底させている。クロウは努力しているようだがイツキやノアにはなかなか難しいようで、ルージュは言わずもがなのため、なんとか体裁を取りまとめるのは結局リーダーの自分の役割だ。
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    佳芙司(kafukafuji)

    CAN’T MAKE【エリオ腐R】一進一退のお付き合い始めたばかりのオスアキ。書き続けるの飽きたので区切りのいいところでおしまい。
    恋人はじめ(オスアキ)あれ? と思った時には遅かった。
    たった今自分は何を言ったんだったか。思い返してアキラは瞬く間に顔を真っ赤に染め上げた。ぱくぱくと口を開いては閉じ、言葉にならない声が口から零れ落ちる。

    「あー、や……そのっ、お、俺は……っ!」

    言い訳しようとアキラは必死になって言葉を探ったが何も見つからない。熱が頬に集中してまともに頭が回らない。どうしようもなくなって両手で顔を覆うしか出来なかった。

    「うううう……」

    ヘナヘナとその場に蹲って回想する。どうしてあんな事を言ったんだ、うっかりにも程がある、馬鹿か俺は。頭の中で自分に文句を言う。しかし後悔してももう遅い。言ってしまった事は取り消せないのだ。

    「アキラ」

    思ったよりも近くから聞こえてきた声に驚いて勢いよく顔を上げると、更に思っていた以上に近くにオスカーの顔があった。じっと目を覗き込むように見られ、思わず後ろに身が引けた拍子にバランスを崩して尻餅をついた。その瞬間オスカーに肩を掴まれたアキラはなんとか背中から倒れずに済んたが、オスカーの顔を見上げる格好になって息を呑む。
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