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    佳芙司(kafukafuji)

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    リンク集【https://potofu.me/msrk36

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    POIPOI 71

    太陽覚醒のストーリーでナチュラルに手を繋いでてビビった記念。

    グラン視点→【https://poipiku.com/3176962/6283833.html

    #グラエマ
    graeme

    ゆめくろのグランフレア×エマちゃん(エマ視点) キーパーズボードにグランからのメッセージが来ていた。連盟本部での仕事が終わるのは何時頃になりそうか、という旨で、おおよその時間を伝えたら『迎えに行く。それと買い出しに付き合ってほしい』と返事が来た。
     そんな些細な約束なのに、なんだかとても嬉しくてキーパーズボードをぎゅっと胸に抱いてしまった。迎えに来てくれる人と待ち合わせするだけでどうしてこんなにうきうきするんだろう。
     報告書の受領、見積書の作成、請求書の金額確認、領収書の発行。書類仕事はどうしても連盟本部でなければ出来ない事も多い。限られた時間ではなかなか一日で終わらせられない事も多いのに、グランが待ってると思うとゲンキンなもので、いつもより仕事が捗ってしまった。今週までにやらなければいけない仕事はもうない。

    (自分で呆れちゃう。ほんと単純なんだから)

     それでも今日は浮かれていても許してほしい。だってグランから誘われるなんて滅多にないし、このところお互い忙しかったし、ゆっくり話せる機会も少なかったのだから。
     思わず早歩きから駆け足になって、グランの待つ広場に一直線で向かう。

    「お待たせ、グラン!」

     背の高い彼は人混みでもすぐに分かる。声を掛けると振り返ったグランが少し驚いたような顔をした。

    「言ってた時間より早かったな、エマ」
    「あ、うん。思ってたよりもすぐ終わらせる事が出来たんだ」

     まさか早く会いたくて無我夢中で仕事を片付けてしまったなんてちょっと恥ずかしくて言いにくい。

    「買い出しだよね? 何を買うのか聞いてなかったけど」
    「まぁ、いつもの食料品とかだな。じゃあ行こうか」

     そう言うとグランは手を差し出してきた。なんとなく流れでその手に自分の手を重ねて、何も考えずに手を繋いで歩き出す。
     二歩ほど歩いてハッと気付いて、それからその手を見つめた。

    「あ、あれ? なんで?」
    「どうした?」

     あまりに自然な流れすぎてうっかりしていた。顔まで熱くなって心臓もドキドキし始める。
     なんだろう、この状況。どうして私はグランと手を繋いでいるんだろう。なんでグランは私と手を繋いでくれているんだろう。

    「嫌だったか」

     急に立ち止まったまま、黙って手元ばかり見ていた私を気遣うようにグランが言った。私は慌てて首を振って否定する。だって全然嫌じゃない、嫌な訳がない。むしろ嬉しいくらいだ。

    「そうじゃなくて、えっと……手、大きいね、グラン……」

     そうじゃない。そういう話をしようと思ったんじゃない。
     でも口から出てくる言葉はこれしか出てこず、結局何を言おうとしていたか自分でも分からないままになってしまった。
     グランの手は私のそれよりも一回り以上大きくて骨張っていて、掌の固い部分はタコが出来ているのかゴツゴツしている。
     男らしくて格好良い、大人の手で、男の人の手だと改めて思う。私なんかとは比べ物にならない程大きな手が、今はしっかりと私の手を包んでいる。それだけの事なのに胸の奥が締められたみたいになって、戸惑う。

    「確かに、エマの手は小さいな。気を抜いたら握り潰しそうだから気を付けよう」

     真面目な表情でそんな事を言い出すから拍子抜けして、つい吹き出し笑いしてしまった。たまにこうして冗談を言うところも好きだ。
     本当に、大好きだな、と思う。

    「私達が手を繋いでるのって周りからはどう見えるんだろうね?」
    「そうだな……案外俺は人攫いに見られているかもしれないぞ」
    「ふふっ、それは困っちゃうかも」

     くすくす笑うと、ぱっと繋いだ手が離れた。
     あ、と名残惜しく思った瞬間にまた繋ぎ直されて、今度は指と指の間に彼の太く長い指が入り込んでくる。掌を重ね合わせて、指と指を絡めて、ぎゅっと握られた。
     これはいわゆる、恋人繋ぎ、というものではないだろうか。
     ちらりとグランの表情を見るけれど、グランは小さく笑って私を見下ろすだけだ。

    「これなら、流石に人攫いには間違われないだろう」

     距離が近い。
     見つめる目も声も、全部優しい。グランの体温を感じる。

    「……ハイ」

     何がなんだか分からなくて生返事になってしまう。グランの顔がまともに見られない。
     市場に着くまで、荷物が両手いっぱいになるまで、手を繋いでいられる時間がもうちょっとだけでも長く続いたらいい。
     私はこっそりグランの手を握り返しながら、ついそんな事を願っていた。



    〈了〉
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    佳芙司(kafukafuji)

    REHABILI園子さんは正真正銘のお嬢様なので本人も気付いてないような細かなところで育ちの良さが出ている。というのを早い段階で見抜いていた京極さんの話。
    元ネタ【https://twitter.com/msrnkn/status/1694614503923871965】
    京園⑰

     思い当たるところはいくらでもあった。
     元気で明るくて表情豊か。という、いつかの簡潔な第一印象を踏まえて、再会した時の彼女の立ち居振る舞いを見て気付いたのはまた別の印象だった。旅館の仲居達と交わしていた挨拶や立ち話の姿からして、慣れている、という雰囲気があった。給仕を受ける事に対して必要以上の緊張がない。此方の仕事を理解して弁えた態度で饗しを受ける、一人の客として振る舞う様子。行儀よくしようとしている風でも、慣れない旅先の土地で気を遣って張り詰めている風でもない。旅慣れているのかとも考えたが、最大の根拠になったのは、食堂で海鮮料理を食べた彼女の食後の後始末だった。
     子供を含めた四人の席、否や食堂全体で見ても、彼女の使った皿は一目で分かるほど他のどれとも違っていた。大抵の場合、そのままになっているか避けられている事が多いかいしきの笹の葉で、魚の頭や鰭や骨を被ってあった。綺麗に食べ終わった状態にしてはあまりに整いすぎている。此処に座っていた彼女達が東京から泊まりに来た高校生の予約客だと分かった上で、長く仲居として勤めている年輩の女性が『今時の若い子なのに珍しいわね』と、下膳を手伝ってくれた際に呟いていたのを聞き逃す事は勿論出来なかった。
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    佳芙司(kafukafuji)

    DONEこちらのアンケート結果【https://twitter.com/kafukafuji/status/1522554377923620865?s=21&t=2GIpbQxVqsX9lfYCnepBbA】
    「わざと見せつける」を元にして書いたグラエマ+ヴィクトル。
    本人らは故意とは思ってないけど周囲がそう感じる時あるよね、と。
    several coats of nail polish.(グラエマ) 発売当時、雑誌でも取り上げられて話題になったカラフルマニュキアのキャッチコピーは『あなたのココロで染まる指先。』だったかしらね、とヴィクトルは記憶を辿った。持ち主の心が宿るという水晶鏡片を砕いて魔術で加工したものを染料として使っているとかいないとか。
    「アンタも塗ってみてよ。何色になるのか見てみたいわ」
     カジノの営業時間前に買い物に行ったついでに、つい盛り上がって一緒に買おうとなったカラフルマニキュア。そのままだと一見ラメ入りの青紫系統のマニキュアで、星空のように見えるのに、ひとたび爪に乗せると色が変わるのだから不思議だ。
     鼻歌交じりにボトルを開けて小指から塗り始めながらヴィクトルは自分の爪先がオレンジ色に染まっていくのをまじまじと見た。なるほど今はこの気分らしい、今日のネクタイはこの色にあわせてみようかしら、等々と考えて手際良く片手を塗り終えた。
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    佳芙司(kafukafuji)

    TRAININGエマ視点→【https://poipiku.com/3176962/6268101.html】

    『Let’s take the long way home sometimes.』
    ゆめくろのグランフレア×エマちゃん(グラン視点) マイスターボードにメッセージの着信を知らせる音が鳴った。先程エマに送った、仕事が終わったら迎えに行くという旨のメッセージに対する返信で『なるべく早く仕事を終わらせるから』とスタンプ付きで書かれていた。
     忙しいだろうに、わざわざ返事を送ってくれる気遣いが嬉しい。小さな約束を交わせる事がこんなにも心をあたたかくして満たされるなんて、今まで知らなかった。迎えに行く事を許される事も、帰りが待ち遠しいと思う人がいる事も、全部この上なく喜ばしい。
     エマは連盟本部所属のギルドキーパーとして、国を越えて様々なギルドと連携を取り、調整と便宜を図る役目を担っている。更には自分達『月渡り』のためにも日々駆け回っている。只でさえ忙しいのだからと、彼女の負担を減らすためにも報告書の提出時にはミスのないよう注意深く確認し、送られてくる依頼書だけでなく請求書や明細書にもきちんと目を通すようメンバーに徹底させている。クロウは努力しているようだがイツキやノアにはなかなか難しいようで、ルージュは言わずもがなのため、なんとか体裁を取りまとめるのは結局リーダーの自分の役割だ。
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    佳芙司(kafukafuji)

    MOURNING出来上がってるオスアキのオスカーが昨夜の名残をジェイに見られてしまう的なアレ。
    男の勲章?(オスアキ前提オスカー+ジェイ)

     エリオスタワー内のジム設備があるフロアにて、こそこそとロッカールームに入っていく背中を見つけた。人目を気にするような、それとなく周囲を伺っているような。ただそのたった今入室していった人物がオスカー・ベイルだったので、ジェイ・キッドマンは思わず、んん? と声に出して首を傾げた。
     ジェイは以前、同チームのグレイ・リヴァースとトレーニングをした際に『人の目があると落ち着かないからロッカールームに人のいない時に着替えている』と話していた事を思い出した。彼は自分の筋肉のつきにくい体質や筋力不足を気にしていたようだが、果たしてかのオスカー・ベイルが、それを気にするような男だろうか。否や寧ろ逆であろう。
     オスカーがシャツを脱いでエリオスタワー内のジム器具を利用している様子は何度も見かけているし、自己鍛錬と研鑽に妥協のない男だから、まだまだだと冷静に己を見つめる事はあれど、人目から隠れて着替えようとするほど卑屈になる事はないだろう。ここは間を置いてから入るべきかと思ったが、もし何か思うところがあって体を縮こまらせているのならば、その悩みを聞くくらいは出来るし、何か人にいえないような怪我を負っているならば早急に確かめなければならない。
    1885

    佳芙司(kafukafuji)

    CAN’T MAKE【エリオ腐R】一進一退のお付き合い始めたばかりのオスアキ。書き続けるの飽きたので区切りのいいところでおしまい。
    恋人はじめ(オスアキ)あれ? と思った時には遅かった。
    たった今自分は何を言ったんだったか。思い返してアキラは瞬く間に顔を真っ赤に染め上げた。ぱくぱくと口を開いては閉じ、言葉にならない声が口から零れ落ちる。

    「あー、や……そのっ、お、俺は……っ!」

    言い訳しようとアキラは必死になって言葉を探ったが何も見つからない。熱が頬に集中してまともに頭が回らない。どうしようもなくなって両手で顔を覆うしか出来なかった。

    「うううう……」

    ヘナヘナとその場に蹲って回想する。どうしてあんな事を言ったんだ、うっかりにも程がある、馬鹿か俺は。頭の中で自分に文句を言う。しかし後悔してももう遅い。言ってしまった事は取り消せないのだ。

    「アキラ」

    思ったよりも近くから聞こえてきた声に驚いて勢いよく顔を上げると、更に思っていた以上に近くにオスカーの顔があった。じっと目を覗き込むように見られ、思わず後ろに身が引けた拍子にバランスを崩して尻餅をついた。その瞬間オスカーに肩を掴まれたアキラはなんとか背中から倒れずに済んたが、オスカーの顔を見上げる格好になって息を呑む。
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