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    naibro594

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    naibro594

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    🔧工房ダンムル(⏰🌇)
    バラスパ工房なのに薔薇ネタスルーとかできんやろというダズンローズデーネタ。
    本編終章微バレ。まだ本届いてもいないのに何やってんの?

    #🔧軸
    #ダンムル

    Dozen Rosespanner Day雪のちらつく寒空の下。昼の買い出しから戻った管理人の胸には、何やら大きな紙袋。
    <皆、差し入れだよー。一本ずつ持っていってね>
    自由に食べていいお菓子のカゴに盛りつけられた赤いキャンディは、よく見れば薔薇の形の細工が施されていた。
    「管理人殿、素敵なキャンディでありますな!」
    <うん。なんだか今日、薔薇のお祭りみたいでさ。あっちこっちで売ってたもんだから>
    仮にも薔薇の名を冠する工房だ。制服は真紅というよりはワインレッド、会長の裾に施された刺繍も金の薔薇ではあったが、華やかな勝利をと縁起を担ぐ意味合いもあり赤を選んだ。
    ばらばらに昼休憩を始め、飴を片手に食事へと向かう職員たちを見送って、ダンテは未だ作業を続けている恋人へと近づく。
    <ムルソー>
    「! はい、ダンテ。……お昼ですね。今中断しますので」
    <うん>
    そっと肩を撫で声をかければすぐに瞬きしたエメラルドがこちらを向いた。隠れて見えない口角を上げ、ムルソーがパソコンをスリープまで持っていく間に、とそっとデスクの奥へ手を伸ばす。
    <君はこれだよ。『管理人』じゃなく、私個人から。……でも十二本は多いかな。ちょっとずつ食べて>
    パソコンの横を飾るように置かれたカップには束ねられた色とりどりの薔薇飴。棒、形、包装に全体での共通はなく、どうしてか複数の店やメーカーが組み合わされているらしいそれにムルソーは小さく首を傾げた。
    白、黄、桃、緑、と花を一つずつ指でなぞる。赤だけが二本あるように見えたけれども、つまみ寄せて良くみると色の濃淡が異なった。
    「………………ふむ。ダンテ、これを」
    <えっ>
    より鮮やかな方を抜き取り差し出せば、カチリと音をさせ針が止まる。
    「いただいたものを返すことにはなってしまいますが……。せっかくならばあなたと共に食べたい。一本、付き合っていただけますか」
    <……………………う、うん……>
    何故だろうか。俯き花を挟んだままの手袋と黒い文字盤で覆われた奥の顔は恐らく今、この上ないほどに染まっている。見えないにも関わらず感じとり、ムルソーはその頬へと手を伸ばした。
    「ダンテ?」
    <な、なんでもない。なんでもないよ……。お昼、食べ、よっか……>
    熱い頬に体調不良を疑い、裏にして手の甲で再度触れれば慌てたダンテがハンバーガーの紙袋を顔面へと押しつけてくる。
    「あら? ダンテ、薔薇返してもらえたんだ〜。よかったじゃない」
    <うん……>
    営業帰りなのだろう、身を屈めたロージャが纏う僅かな冷気と共に囁いた言葉に、今度はムルソーの方が強張り耳まで赤くする番だった。

    ━━それ、あなたの愛の誓いに応えます、って意味だよ。

    「じゃ、あとはお昼休みにいちゃいちゃしたら〜? 私もグレッグとご飯食べに行こっと」
    言うだけ言って手をひらひら、機嫌よく立ち去った会長の置き土産に頭を抱えたままの男が二人。
    「…………知りませんでした」
    <うん、わかってる……>
    手袋の下、指の一本を彩るものを軽く弾く。
    「ですが。……知っていたとしても、同じようにしたでしょう」
    ついにダンテはムルソーの肩にぴったりと額をつけ情けなさも隠さず突っ伏していた。頭の火の見かけと同じくらいに顔中が熱く、今にも気持ちの溢れ出しそうな胸をどうにか抑えつけて、その逞しい体を覆う制服をぎゅうと握る。
    「今日の夜は……外食にしませんか」
    疲れていたり、気になる店があったり。様々なときになされる提案ではあったものの。
    僅かながら眉を下げ、どこかねだるような眼差しでなされたその意味を、ダンテはすぐに理解した。
    <うん。……ゆっくり、しよ>
    「はい」
    薔薇の飴と共に絡め合わせた左手同士、布越しに擦れる金属の感触もまた、穏やかな幸福を紡ぎだしていた。
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    naibro594

    DONE🔧工房ダンムル(⏰🌇)夏祭りお仕事の話。若干ロジャグレを含む。
    鯖の話で出た「しましょう」(決定事項)が好きです

    途中で食べてるのはドネルケバブ🥙
    ロジャは屋台で買い食いしまくるし従業員達にもたくさん食べさせます。グはさらにあーんつき。組んでるイシュが真面目にしてください!って言ってそう。
    Candy Love Bind工房からは少し離れたK社の巣へと続く検査場の前、いつもよりさらに増してオレンジ色に照らし出されたこの区で最も大きく治安のマシな裏路地。
    <わ……やっぱりまだ夜はちょっと涼しいね>
    路地を満たす灯りは暖かくとも、吹いた夜風はまだ幾分冷たいものだ。深い意味もなく出た言葉に隣の男が上着を脱ごうとする気配を感じ、ダンテは慌ててそれを制止した。
    <そこまでじゃないよ! ありがとう、ムルソー>
    インナーにもある程度は丈夫な加工が施されているけれども、やはり重ね着の方が安全だ。この工房の武器は大抵がエンジンを回し火花を散らすものだから、自らの得物からも敵の攻撃からも身を守るものは多い方が良い。
    予定された勤務区域まではもうすぐだ。喧騒に近づけば道の両端にたち並ぶ屋台に、浴衣姿で走り回る子供の姿。今見えているのは上澄みといえどこんなところは巣も裏路地もそう変わらないのだな、とダンテの見えない口角が上がる。
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