笹貫わからせ(途中まで) 笹貫は三度捨てられた逸話を持っている。
一度目は竹藪の中、二度目は海の中、三度目は献上先の島津家。
一度目と二度目は自ら光ることで妖刀として己を打った刀工の下に帰ってきたが、三度目だけは刀工より召し上げられた樺山家に。
ここまでされて、人を好きだと言える刀は在るだろうか?
大慶との回想で表れた一つの懸念。薩摩、いや人を恨み嫌悪している節。強いては復讐者(アヴェンジャー)の要素。復讐と言えば小夜左文字だが、他の刀でも大なり小なり復讐心を秘めているものはいる。だが、その声色に滲み出たそれは到底看過されるものではない。
だから、突っ込んでみた。お前は人を好きなのかと。かの刀は言った、好きでもなければ嫌いでもないと。
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