Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    歩/零

    使い方いまいちわかってないかもしれない
    https://marshmallow-qa.com/_ayumu_?utm_medium=url_text&utm_source=promotion

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 😍 👏
    POIPOI 9

    歩/零

    ☆quiet follow

    理解者であり共犯者。
    宮城+水戸。CPではない。

    あとで加筆すると思う。

    #宮城リョータ
    lyotaMiyagi
    #水戸洋平
    yoheiMito

    今日はダメな日だ。
    早々に自分に見切りをつけた俺はすべてを放棄するべく屋上へと向かった。ダメになってもバスケだけはちゃんとしなければならないし、したいと思っているので。その為の体力温存だった。
    たまに俺はこうなる。多分知らず知らずのうちに溜め込んでいる諸々が許容量を超えた時に訪れる。あまり限界という言葉は好きではないのだが、バスケ以外に関しては己にメンタルの限界値があるということは自覚せざるを得ない。
    IH前の赤点以来、授業は真面目に受けるようになっているのだが、こうなってしまった俺にはもう何も頭に入ってこない。頭に入ってこないだけならいつもと同じじゃないかと思われそうだが、英語の授業でもないのに言葉が理解できなくなるのだ。言っている言葉は音として分かるのにスッと理解はできなくて、やろうと思えば無理矢理できなくもないのだが普段の何倍もの脳の労力を使うことになり疲労が増して溜まるという負のループになる。何を言っているのか理解できねーかもしれないが俺も解らねえ。
    自分の席で寝られればいいのかもしれないが、授業や教師という問題以外にも教室という場所は居るだけで何かとコミュニケーションが発生する。こうなった俺はもう会話すら億劫になるレベルの体たらくだった。インプットアウトプット機能が停止している。
    不本意だがめちゃくちゃ端的に言ってしまえば今の俺の頭は使い物にならない。今バスケをやらせたら酷いプレイしかできない自信がある。つまりさっさと割り切って休む方へシフトしてしまったほうが得策ということだ。それがサボりにつながるのが悲しいところだが背に腹は代えられない。
    メンタルは体調にも影響するのか、普段ならなんてことない屋上までの階段を昇る身体が重く感じる。やっとの思いで踊り場まで辿り着き一つ溜息を吐く。誰かいたらダリイなと思いながら開けた扉の先は無人でほっと小さくもう一度息を吐いた。
    しかし部活開始のぎりぎりまで寝るつもりでいるので途中で乱入者に邪魔されたらたまらない。給水タンクの裏まで回り込む。ここは意外と穴場で、このスペースの存在を知る者は少ないらしく滅多に人が近寄らない。
    物音がしないので誰もいないだろうという俺の予想に反してそこには先客がいた。コンクリの床に胡坐をかいて座り込み、タンクに背を預けて煙草を吸っている人影がある。多分自分のいるほうが風上だったせいで煙の匂いに気付けなかった。

    「あれ」

    踵を返そうとしたが上履きの立てた微かな音に振り向いた顔は水戸洋平で、無意識に強張っていた身体が一気に脱力した。

    「宮城さんもサボり?」

    出来ればいて欲しいと思っていた相手がいたときの安心感ったらない。さっき誰もいないといいと思ったばかりだがこいつだけは例外だった。首だけで頷いて見せると水戸は片眉だけ僅かに上げてみせた。

    「…その顔はダメな日だ?」
    「ん」
    「どーぞ」

    微笑いながら吸っていた煙草をアスファルトでもみ消すと、少しだけ座っている位置をズレてスペースを空けてくれる。躊躇わずにそこに滑り込んで隣に同じように座ると遠慮なく肩に頭を預けた。

    「そこでいいの?結構ひどい顔してるけど。横になったほうがいいんじゃない」

    上から覗き込んでくる水戸の雄弁な目にほんの一瞬逡巡して、でもろくに頭が動いていない俺はすぐに考えることをやめて横になった。こいつが言うならそうなんだろう。
    心得ているとばかりに伸ばされた片脚にいつものように頭を乗せて目を閉じる。もう片足のほうに乗せているのであろう雑誌を静かに捲る音がする。
    紙の乾いた音をBGMに俺の意識はすぐにとぷりと沈んでいった。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    歩/零

    TRAINING洋三ワンドロワンライ 5/18「ケーキ/カレンダー/留守電」

    高校生×大学生
    ※水戸の家庭環境および誕生日を3月あたりに捏造しています
    ※90年でも96年でもどちらでも
    Aセクな感じで書こうと思ったはずなのに、ただの初めて恋を知った少年になってしまった
    ※何でも許せる方

    遅ればせながらHBD
    バイトを終えて帰宅した水戸はいつも通り居間の電気をつけた。居間といってもワンルームなので他にあるのは狭い台所と風呂トイレだけだ。高校に上がると同時に始めた一人暮らしは自分だけの城で、バイトへ行く前と何一つ変わらず水戸を迎えた。
    少し前からの癖でちらりと壁にかけられたカレンダーを見やる。どこかの会社の名前が入った貰い物のシンプルなそれは色味も物も少ない部屋に馴染んでいる。何もかもが見慣れたいつも通りの自室の中、カレンダーにつけられた赤丸だけが浮いていて、視界に捉えるたびにそわそわとした。



    そもそもこれを書き込んだのは水戸ではない。
    前回水戸の部屋に三井が来ていた時のことだ。進学した大学でもバスケを続けている三井だが、その日は体育館の点検だか学校の何だったかで(要は忘れた)部活が休みになり、突然湘北のバスケ部に顔を出した。習慣で友人たちと見学をしていた水戸は、せっかく休みなのにバスケしてたら休みにならねえじゃん、と心の中だけで笑いながら後輩たちと楽しそうにプレイしている三井を眺めていた。
    3111

    歩/零

    TRAINING洋三ワンドロワンライ 5/5「かさぶた/火をつける」

    ※洋→←三
    ※三に自分は相応しくないと思っている洋の独白
    ※三はほぼ出てきません
    ※流血表現あり
    建物と建物の間の路地、喧嘩するにはうってつけのような場所に壁に寄りかかって座り込んでいる。周囲はここで誰かが暴れましたよと言わんばかりの散らかりようで、逃げて行ったやつらの痕跡といえば勝ったもののちょっと立てそうにない自分と、血の付いた刃物だけになっている。
    無意識に手で押さえている脇腹が熱い。ガキの喧嘩で刃物なんか出してくるんじゃねえっつんだよ。

    別に調子が悪いわけではなかった。いやうそだ、少しぼーっとはしていた。気温とか空気感とか色々とあまりにもあの日と似通っていて、望んでもいないのに壊れたビデオテープのように何度も彼の顔を繰り返し思い出していた。
    注意力が散漫になっていたのだろう、ぶつかったぶつかってないのありがちな諍いは、ヒートアップする前に相手の数人のうちの一人から上がった「お前水戸だろ」の声を発端にあっさり殴り合いに切り替わった。どこで買ったか覚えていない恨み――というよりただの逆恨みから始まった小競り合いは結果としてどいつも大した事はなかったが、粘着そうな雰囲気をした一人が刃物を持ち出したことにより空気が一変した。
    1753

    related works

    recommended works